秦野市の八重桜で新商品「秦野八重」開発 ブランド力創出に向け海外の販売ルート確保に挑戦
秦野八重桜協会(野村剛之(たかし)代表)が、11月12日(火)から17日(日)にフランスのコルマールで開催される「第49回ジャパンウィーク2024」に、秦野市の八重桜を使った乾燥八重桜「秦野八重」を出品する。秦野の八重桜をPRしブランド力を向上させるとともに、海外に販路を開拓することで価値を向上させ、地元経済に還元することを目的としている。
ジャパンウィークは日本の生活文化、芸能、美術、音楽、ファッション、スポーツなどの紹介を通じて、開催都市の市民に楽しみながら日本文化を知ってもらう国際交流イベント。日本側の公益財団法人国際親善協会と、開催地側の都市や州自治体によって共同開催されている。
持続可能な産業に
八重桜協会の設立は、野村さんが運営する会社「INNOVATIONOFFICEZEN(イノベーションオフィスゼン)」や、代表を務める市民団体「SpinningHadano(スピニングハダノ)」での活動がきっかけ。野村さんはこれらを通し様々な地域課題と向き合う中で、全国屈指の生産量とされる秦野の八重桜の摘み手の高齢化や、安く買われている状況を知った。
「例えば乾燥桜の商品が30g数千円で売られていますが、秦野の八重桜は今年で1kg1千円ほど、安い時で650〜700円くらいで買われています」と話す野村さん。これでは後を継ぐ担い手がいなくなり、秦野の特産である八重桜が衰退してしまうと危機感を抱き、課題解決のため有志とともに今年4月、協会を設立した。
バイヤーと商談も
今回、ジャパンウィーク出展にあたり、市内の農家と交渉を重ね八重桜180kgを仕入れることに成功した。適正価格に戻したいという思いで、買取価格は倍の1kg2千円に設定。これを昔から秦野で行われている手法で塩漬けにし、塩分濃度を調整して100kgほどの乾燥八重桜にした。
パッケージは日本らしさを強調するため焼き印をした桐箱を用意し、中は品質保持のためアルミの袋を採用した。出展にあたり、資料作成のため行政とも何度も打ち合わせをしたという。
フランスでは13日から15日まで展示会の出展を行うが、12日にはパリで欧州のバイヤーとの商談会にも臨む同協会。「大手のバイヤーが相手なため100kg単位で商品が必要で、その確保と準備が大変だった」と野村さんは話す。
目下の目標は、海外への販売ルート確立。その後、海外での実績を持って日本でも新たな販路を開拓し、ブランド価値と卸売価格向上を目指す。経済基盤を築くことで、秦野の八重桜の未来の担い手につないでいくことを目的としている。
「今は有志の団体ですが、来年度には公益法人化を目指したい。これはそのための第一歩。失敗はできない」と意気込む野村さん。同協会では現在、CAMPFIREでクラウドファンディングを行っているほか、市内の協賛社も募っている。