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まともな金融政策への鍵? 「中立金利」とは?

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、1月30日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。「中立金利」をキーワードに、日銀による政策金利の利上げについて語った。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「日銀が先週開いた金融政策決定会合で、物価や景気をコントロールするのに使う政策金利、これを0.5%程度とする追加の引き上げを決めました。きょうは佐藤さんに『中立金利』とは何か、という話を中心に、今回の利上げについて語っていただきます」

長野智子「利上げのニュースは『アップデート』でも取り上げて。ガソリン代も物の値段も上がっている、生活が苦しいのに住宅ローンもまた上がっちゃうね、みたいな話をしていました。どうなんでしょうか、この利上げ」

佐藤治彦「金利を上げると景気を冷ます、とよくいわれます。そこでいま出てきている新しい概念が『中立金利』という考え方です。日本ってほぼゼロ金利、マイナス金利のときもあったじゃないですか。それが0.25%だった、先週0.5%に上げた。金融引き締め、と言ってしまうんですよ。景気を冷ます方向に動いているね、と言うんですけど、じつは金利には『中立金利』というものがあるんだ、と」

長野「はい」

佐藤「中立、真ん中の金利。つまり景気を押し上げるわけでもなく、冷ますわけでもない。中立的な金利水準というものがあるんだと。コロナのときアメリカが金利をすごくいじって、きのうもパウエルさんが『金利を下げません』『今回はこのままです』と言って」

長野「はい」

佐藤「なかなか金利を上げたあと下がってこないね、と。インフレの問題云々があったのに下がらない、もしくは上がらないね、というときにいわれていたのが『中立金利』という考え方で。アメリカの中立金利はコロナの経済、コロナの時代を過ぎたことによって、非常に上にシフトしたのではないか、といわれていたんです」

長野「ああ」

佐藤「アメリカの金利は、いまいわれている4~4.5%が政策金利であれば、平常運転というか。経済を温めよう、でも冷まそう、でもない。ちょうど中立的な金利にいまFRBはとっているんだ、という考え方で。日本ではどれぐらいか、というと、1~2.5%の間に中立金利はあるのではないか、といわれています」

長野「景気の緩和的でも引き締め的でもない金利が1~2.5%」

佐藤「いま0.5%上げたので、まだまだ金融緩和の状況に日本はあるんだ、と説明できるんです。中立金利よりまだ低い金利なので」

長野「つまり日本の金利はまだまだ低すぎると?」

佐藤「おっしゃるとおり。植田日銀総裁は、アベノミクスの長い長い、異次元の金融緩和の流れの中で起きてしまった様々な問題を正常化しようとしてきている。その中でマイナス金利ってどう考えても異様だということはわかっていただけると思うんです」

長野「はい」

佐藤「では0.25%はどうなの、と。人が自分のお金を銀行に預けて1年に0.1%も金利がつかない。どうなんだ、と思う人はいっぱいいたでしょう。それを正常なところに持っていこうとしている。正常なところ、中立金利まで持っていけば今度、景気が悪くなったとき、植田日銀総裁は金利を下げるという選択ができる」

長野「いまじゃ下げられないですもんね、低すぎて」

佐藤「金融政策としてまともなことをするために、まず中立金利まで戻そうよ、ということを植田日銀総裁はしているんですね」

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