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〈忠犬ハチ公像〉をつくった彫刻家・安藤照、没後・戦後80年にしてはじめてその活動の全貌が紹介される展覧会《渋谷区立松濤美術館》にて

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〈忠犬ハチ公像〉をつくった彫刻家・安藤照、没後・戦後80年にしてはじめてその活動の全貌が紹介される展覧会《渋谷区立松濤美術館》にて

 渋谷駅での待ち合わせ場所といえば、《忠犬ハチ公像》のモニュメントの前、と相場が決まっているが、それが2代目であることは意外と知られていないのではないだろうか。初代《忠犬ハチ公像》は、彫刻家・安藤照(1892~1945)によるもので、他に《西郷隆盛像》(鹿児島県鹿児島市)など、現在も語り継がれるモニュメントを制作している。

 

 安藤照は、多くの彫刻家が輩出した昭和戦前期という時代の、中でもその活躍が期待される存在だった。1917年、東京美術学校に入学し、在学中に〈帝展〉で彫刻家としてデビューした。1922年帝展特選、1926年には帝国美術院賞を受賞して頭角をあらわした。1934年《忠犬ハチ公像》、1937年《西郷隆盛像》(鹿児島市)など、後世に伝えられるモニュメント制作した。しかし、その道半ば1945年5月、渋谷区代々木の自宅兼アトリエが空襲にさらされ、自身も帰らぬ人となった。動物が好きだった安藤は犬や兎など、動物の彫刻を多く制作した。また、鹿児島市で生まれた安藤は、生まれ故郷でも活動を展開し、地元の名士たちの肖像彫刻やモニュメントの制作にも励んだ。

 本展では、誰もが知る《忠犬ハチ公像》の陰に隠れ、あまり語られて来なかった安藤照の活動を網羅的に紹介する東京では初となる回顧展である。戦火を逃れた現存作品約30点のほか、彼のライバルであった同世代の作品も展示される。

 「ただ黙々と仕事をして居ります」と語った安藤の作品は、戦時下という不安定な時代に逆らうかのごとく、素朴で静謐である。知られざる彫刻家・安藤照の仕事に注目したい。

▲安藤照《忠犬ハチ公》制作年不詳 鹿児島市立美術館蔵(左)、安藤照《裸婦座像》1942(昭和17)年 鹿児島市立美術館蔵(右)

黙然たる反骨 安藤照─没後・戦後80年 忠犬ハチ公像をつくった彫刻家─

会期:2025年6月21日(土)~8月17日(日)
休館日:月曜日(ただし7月21日、8月11日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)
会場:渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)
7月27日(日)には愛知県美術館の館長・平瀬礼太氏による記念講演会「戦時期の彫刻」や8月1日(金)、2日(土)には彫刻家・伊藤一洋氏の夏休みこども美術教室などが開催される。
お問い合わせ:03-3465-9421
HP:https://shoto-museum.jp/

 

 

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