大相撲藤沢場所30回記念 次への期待 万雷の拍手で 来年の実施に向け最上氏問う
春の風物詩として人気の大相撲春巡業藤沢場所の30回を記念する大会が12日、遠藤の秋葉台文化体育館で開かれた。巡業は1年ごとの契約で節目を迎えた今回、来年の開催可否にも注目が集まった。あいさつに立った勧進元の最上重夫氏が会場で31回目の開催を問うと、期待を込めた大きな拍手が返ってきた。
大相撲藤沢場所は1990年に初開催。きっかけは春日野親方(元横綱栃錦)との縁。最上氏が会社員時代に出会い、起業後も関係が続く中、「巡業の勧進元にならないか」と誘われたという。当然、興行の経験もなく、資金に余裕があったわけでもない。だが「誰もが楽しめ、生まれ育った地域の恩返しになる」そして講演依頼も「最上くんのためなら」と快く受けてくれる春日野親方の気持ちに応えようと腹をくくった。今では全国最長の30回を記録する名物巡業となり、今回は日本相撲協会から感謝状も贈られた。
「栃錦(春日野親方)との約束は10回だった」と最上氏は笑う。「準備から本当に大変でやめようと思ったことも何度も」と話す。だが「毎年訪れる多くのファンの期待、開催を応援してくださる人の支えがあり続けられた」と振り返る。
同時開催される献血キャンペーンも今年20回目となった。「続けられたのも献血をやらねばという思いもあった」。人を救うのは人だけだの思いに共感し2006年から藤沢場所と連携して実施。過去最高を更新し続け、県赤十字血液センター(横浜市)の大久保理恵所長は「これで多くの人の命が救われている」と謝意を示している。
今年も盛況5400人来場
30回大会には約5400人が来場。毎回人気の公開稽古や相撲甚句、トーナメント戦が行われたほか、今年は小学生から高校生まで力士に挑戦できる「わんぱく相撲」が復活。巡業ならではの多彩な内容を楽しんだ。
あいさつに立った最上氏は「勧進元として終わりも考えた」と前置きし「来年もあってほしいですか」と会場に問うと満場の来場者から万雷の拍手で答えが返ってきた。後日取材で尋ねると「多くの方々が待ち望んでいることは事実。関係者らを含め前向きに考えていきたい」とした。