赤ちゃんの「向き癖」で気になる頭のかたち…専門治療できる外来が札幌に誕生
赤ちゃんを持つ親が気になる、わが子の「頭の形」。
その悩みに応え、必要な治療につなげようと、札幌市の病院が動き出しました。
連載「じぶんごとニュース」
ここは、札幌市手稲区にある「道立子ども総合医療・療育センター」。
2024年8月、少し珍しい名前の外来を新たに設けました。
その名も「赤ちゃんの頭のかたち外来」。
常に同じ方向を向いて眠るなど、「向き癖」でゆがんでしまった頭の形を治します。
北海道立子ども総合医療・療育センターの吉藤和久医師がその背景を教えてくれました。
「向き癖は自然経過とケアをする事によってほとんど治るが、中には自然に治らないくらい変形してしまう赤ちゃんも少数だがいる」
「赤ちゃんの頭のかたち外来」では、赤ちゃんの頭のゆがみについて、保護者の相談に応じるほか、手術が必要な病気か診断したり、専用のヘルメットでゆがみを矯正したりします。
札幌市に住む川田さん夫婦は、次女の光莉ちゃん(9か月)の頭の形が気になり、ヘルメットを使った治療を始めました。
父親の川田和久さんは「頭の形が、上の子よりも下の子がすごい歪んでいるというのもあって、心配になって…」と話します。
母親の川田香帆さんも「女の子だし、親の手で無くしてあげたほうが、私たちも『できることはやった』と後悔もなくなるし」と訪れた理由を話してくれました。
実際の治療は?
治療では赤ちゃんの頭を3Dスキャンし、データをもとに専用のヘルメットを制作。
1か月に1回、成長に合わせて調整を繰り返し、半年ほど装着して、ゆがみの解消を目指します。
光莉ちゃんも、お風呂とご飯の時以外は、常にヘルメットを着けて生活しています。
着けていることにも慣れ、嫌がらなくなってきたといいます。
これは光莉ちゃんの頭を上から撮影した画像です。
内側が治療を始めた時の形で、右側が若干へこんでいます。
治療から4か月経った現在の形は、外側の線で、ゆがみが小さくなってきたことがわかります。
北海道立子ども総合医療・療育センターの吉藤和久医師は「改善具合は結構いいほうですね。標準よりは、ちょっといいんじゃないかな」と話します。
母親の川田香帆さんは「少しでも良くなっていると治療をやって良かったなって」と胸をなでおろしていました。
実は、この病院でも、これまでは相談を受けても、ヘルメット治療ができる本州の病院を紹介していました。
道内での治療を望む声が多く寄せられたことから「頭のかたち外来」を始めたということです。
保険が適用されないため、55万円かかるのが課題ですが、これまでに23人の赤ちゃんが治療を始めています。
「赤ちゃんの頭のかたち外来」は毎週金曜日に開いていて、病気によって起きたゆがみを早く見つけるためにも、気軽に受診してほしいと話しています。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年4月16日)の情報に基づきます。