不登校 横須賀で過去最多 子どもの「困りごと」 どう支援
横須賀市立小中学校で、昨年度の不登校児童生徒数が1278人で過去最多となったことが分かった。教育を取り巻く環境が複雑化する中、子どもが困りごとを相談できる体制の確保と保護者への支援も求められている。
結果は神奈川県が実施した23年度「児童・生徒の問題行動・不登校等調査」から、同市教委が市内の状況をまとめ先月発表したもの。23年度の不登校児童生徒は前年度に比べ203人増加し、過去5年で最大の増え幅となった。全体の児童生徒に占める割合は5・16%。全国の3・8%、神奈川県の3・76%と比べても割合が大きい。三浦市でも不登校は増加傾向で、特に小学生では前年比で2倍以上増加しているという。
増加の要因としては、一般的にコロナ禍以降の学校活動の減少や、他者との関わりが希薄になった社会変化などが挙げられる。横須賀市支援教育課の原口尚延課長は「学校に行けない・行きたくない理由が自分でも分からない子も多い」と話す。「学校に行くこと自体がゴールではないが、子どもの『困り感』が数字に表れているのは事実。それらを一つ一つケアする体制が重要だ」としている。
学校内外に支援体制
市教委は中学校全校と一部小学校に別室登校ができる相談室のほか、それぞれのペースで学習等ができる「教育相談教室」を市内5カ所に設置。スクールカウンセラーも各校に配置しているが、訪問日や時間が限られているのが課題だ。
三浦市でも不登校や教育の相談を受け付ける「教育相談室」や「相談指導教室」を設けている。
「特例校も選択肢」
不登校・引きこもりに悩む若者の支援を行うNPO法人アンガージュマン・よこすかの島田徳隆理事長は、横須賀市の不登校支援について「先進的」と評価しつつ、今回の結果を受け「上手く機能していない可能性も」と顔を曇らせる。既存の学校に通うのは難しい子もいる中、現在大和市などで運営されている不登校の子を対象とした「学びの多様化学校」の設立も「一つの手段なのでは」と話した。
「保護者ケアも」
不登校に悩むのは当事者の保護者も同様だ。不登校の子を持つ小林怜奈さん(池田町)は「我が子が学校に行けない責任を自分に強く押し付けていた」と過去を振り返る。同じ境遇を持つ親同士の交流で立ち直ったことから、「必要な時に駆け込める『親の居場所』も必要」と保護者へのケアの重要性を説いた。