独特の画風光る 上越市出身の安井賞受賞画家、横尾茂展 本町7「きものの小川」で10月15日まで
上越市浦川原区横住出身の洋画家、横尾茂(1933〜2012)の個展が2025年10月11日、上越市本町7の「きものの小川」2階で始まった。曲線を多用し、モチーフをデフォルメした独特の画風の油彩画やデッサンが並び、初出品で新人洋画家の登竜門「安井賞」を受賞した横尾の画業に触れることができる。
《画像:横尾の油彩画やデッサンが並ぶ「きものの小川」2階》
浦川原で農業をしながらも絵を諦められず、画家を目指し20歳で上京した横尾は、文化学院や大森絵画研究所で絵を学び、1977年に43歳で「里のひろみとうちのはあちゃん」で第20回安井賞を受賞した。
その後も精力的に創作に励む傍ら、上越市美術展覧会など複数の自治体展の審査員を務めるなどし、2012年に78歳で亡くなった。古里の浦川原区総合事務所にはロビーに飾られた大作の「曙」や国旗掲揚台の石彫など、複数の横尾作品が残る。
《画像:浦川原区総合事務所に飾られている横尾作品「曙」(左)、「帰って来た少女(A)」》
絵画展を企画したのは、上越市中央4に町家を購入し、長年自宅のある栃木県小山市と上越を行き来しながら生活している田辺周一さん(78)。直江津の家に飾る地元の画家が描いた絵を探すうちに、横尾の絵と出会ったという。東京都町田市の横尾の自宅に残された作品や資料を遺族から預かるなどして、準備してきた。
《画像:絵画展を企画した田辺さん》
町家の和室や床の間に、初期作品を中心に油彩画とデッサン計33点が並ぶ。横尾は安井賞を受賞した1970年代以降、塗り重ねた絵の具を削るという独自の技法で描き続けた。
写真家でもある田辺さんは「何と言っても横尾のオリジナリティーに引かれた。洗練されているように見えて、泥臭さがある」と横尾作品の魅力を語り、「地元出身の横尾茂という絵描きがいたことを知ってほしい」と来場を呼び掛けている。
15日まで。時間は午前10時〜午後4時。入場無料。
《画像:町家の和室に馴染むデッサン》