住宅ローン控除はいつまで利用できる?対象期間や最大控除期間、申請方法などを解説
戸建てやマンション購入の際に、住宅ローンを組む方も多いでしょう。その際に住宅ローンの残債によって一定額を控除できる仕組みがあります。しかし、「仕組みを知らない」「対象期間や申請方法がわからない」場合は損をする可能性もあるでしょう。 今回は住宅ローン控除の適用条件、対象期間、申請方法などについて解説します。住宅ローン控除について知りたい方は参考にしてみてください。
住宅ローン控除とは?いつまで利用できる?
住宅ローン控除とは、どのような制度なのでしょうか?ここでは、住宅ローン控除の内容や利用期間を含めてご紹介します。
住宅ローン残高の一部を所得税・住民税から控除する制度
住宅ローン控除は、1972年から始まった「住宅取得控除」を元にした制度です。これまでに何度も改正され、現在は2024年(令和6年度)に改正された内容が最新となります。 基本的に住宅ローン控除という制度は、住宅ローンを利用して家を購入した場合、ローン残債に応じて住民税と所得税が控除される制度です。正しくは、「住宅借入金等特別控除」といいます。 住宅ローン控除にはさまざまな条件があり、適用該当となる場合は年末のローン残高の0.7%にあたる税金が戻ってくるのです。以前は控除率1%の10年間控除でしたが、2022年改正後に0.7%が最大13年間控除されるようになりました。 所得税から控除されますが、控除しきれない場合は住民税からも税金が控除されます。新築に限らず、中古物件の購入でも利用できるのがポイントです。
利用対象期間は2025年までに延長
当初の予定では、住宅ローン控除は2021年に終了を予定していた制度でした。しかし、その後に税制改正が実施されたことで、利用対象期間が2025年までに延長されました。 4年間延長された背景には、新型コロナの影響によるダメージが関係しています。下降する経済回復のサポートや景気の持ち直しの動きを確実なものにするためです。 さらに、期限延長の背景にはカーボンニュートラル実現への観点も含まれています。省エネ住宅の普及が重要との認識から、住宅ローン控除適用によって低炭素住宅への住み替え促進も期待されているのです。
控除期間は最大13年
現在、控除期間は最大で13年です。 13年控除に該当するのは、新築住宅と買取再販住宅が対象です。しかし、これらも一定の水準を満たした住宅が対象となります。また、中古住宅の場合は控除期間が10年です。
新築住宅を購入した場合の適用条件
新築住宅を購入した場合、住宅ローン控除期間は13年間となりますが、適用されるにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。適用条件はどのようになっているのでしょうか? 【適用条件】・ 2022年1月~2025年12月までに新築住宅に住む方・ 住宅ローン返済の期間が10年以上であること・ 借り入れた人の所得合計金額が2000万円以下・ 床面積の1/2は居住用であること・ 登記簿に記載されている床面積は50平方メートル以上であること・ 2つ以上の住宅を保有している場合、主な居住用にしていること・ 現行の耐震基準を満たしていることこれらの内容に該当する場合、控除の対象となります。
住宅ローン控除はいつまでに申請すればよい?
住宅ローン控除は、ぜひ受けたい制度だと感じる方も多いでしょう。そこで気になるのが申請のタイミングです。いつまでに申請すべきでしょうか。
新築に入居した翌年1月~3月15日までに申請する
住宅ローン控除を受ける際には、新居に入居した翌年の確定申告で行います。これまで申告していなかった会社員であっても、住宅ローン控除を受ける際には確定申告が必要です。 還付申告だけを行う会社員などは1月~3月15日までです。毎年確定申告を行う個人事業主などは、所得税の申告納税と一緒に2月16日~3月15日までに申請します。
2年目以降は年末調整が始まる11~12月頃までに申請
2年目以降の場合、自営業か会社員かで申請方法や期日が異なります。毎年確定申告をしている自営業の方は2年目以降も必要です。ほかにも給与や退職金以外に年間20万円以上の所得があった場合は確定申告をしなければなりません。 一方のサラリーマンは年収2000万円以上なら各自確定申告が必要ですが、給与所得のみの場合は、年末調整と併せて申請書類を会社側へ提出することで、住宅ローン控除の申請が可能です。 10月または11月くらいになると、社内への書類提出が何度もありますが、不備が見つかった場合再度書き直しになるため注意しましょう。
住宅ローン控除の申請方法
住宅ローンは、家を買ってそのまま住んでいるだけでは申請が受けられません。住宅ローン控除を受けたいなら申請する必要があります。ここでは申請方法についてご紹介します。
必要書類を準備する
住宅ローン控除を申請するには、まず必要書類を用意しましょう。必要な申請書類は以下の通りです。・ 確定申告書・ 源泉徴収票・ 本人確認書類(マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票+運転免許証またはパスポートなどの本人確認書類)・ 住宅借入金等特別控除額の計算明細書・ 建物、土地の登記事項証明書・ 建物、土地の不動産売買契約書の写し・ 住宅ローン残高が証明できる残高証明書さらに、一定の耐震基準を満たした中古住宅の場合、耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写しを契約した不動産会社から受け取りましょう。認定低炭素住宅や認定長期優良住宅の場合も認定通知書の写しが必要です。 これらの書類は、すぐに用意できないものもあります。確定申告の際に慌てないように早めに情報を確認しておくと安心です。
管轄の税務署に必要書類を提出する
上記の書類が用意できたら、税務署で「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」、「確定申告書」の用紙を受け取り、必要事項を記載していきます。最初に作成しておきたいのは「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」です。 計算明細書は、住宅ローン控除を受ける際に提出する明細書であり、不動産の売買契約書、登記事項証明書、住宅ローン借入金残高証明書を確認しながら記載していきます。これにより、住宅ローン控除額が計算できるだけでなく、控除の適用かどうかが判断できるのです。 確定申告書に関しては、国税庁が設けているウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」から申請すると、項目ごとに説明されている部分もあるのでわかりやすいでしょう。記入例などを比較しながら行うと情報を入力しやすくなります。 しかし、慣れていない場合は時間がかかるだけでなく、どの部分に何の金額を記載するのかわからなくなってしまいます。このような際には、確定申告の時期に税務署の窓口で説明を聞きながら記載していくのもおすすめです。 ただし、確定申告の時期になると例年混みあって時間がかかります。事前に記載できる部分については記載しておき、わからない部分だけを聞くようにすると比較的スムーズに申請できるでしょう。
指定口座に振り込まれる
確定申告が終了すると、還付金は1ヶ月~1ヶ月半程度で指定口座に振り込まれます。e-Taxで申請した際には、3週間程度と少し期間が短くなります。 もし、確定申告書類に不備があった場合は1ヶ月ほど後に再手続きの通知が届きます。この場合、最初から手続きをしなければならないため、指定口座に振り込まれるまでには時間がかかるでしょう。 スムーズな手続きをしたい場合は、早めに書類の用意と記載方法を調べたり確認したりしておきましょう。
まとめ:住宅ローン控除について理解を深め、忘れずに申告しよう
今回は、住宅ローン控除の利用期間や適用条件、控除期間、申請方法などについて解説しました。住宅ローン控除は、新築住宅や中古住宅であっても条件を満たしていれば対象になります。利用対象期間も延長され、税金から長期間控除を受けられるのはお得でしょう。 しかし、新築住宅を購入したからといって自動的に税金が控除されることはなく、きちんとした手順で申請を行わなければ還付されません。前述の書類を用意し、確定申告を行って確実に受け取りましょう。