「魚の1日」を考察してみた <カワハギ>の睡眠時間や寿命から紐解いてみる
「犬の1日は、人間の1週間に相当する」
一度は聞いたことのあるフレーズだと思います。
では、魚の1日はどうでしょうか。人間と同じ1日24時間の中で生きているのかどうか。そんな疑問を、睡眠や寿命から紐解いて想像していこうと思います。
といっても、様々な種類の魚たちがいて、それぞれ寿命も活動時間も違います。そこで今回は、筆者がダイビング中によく遭遇するカワハギについて考察します。
カワハギは全国の沿岸部に生息する海水魚
カワハギはフグ目カワハギ科に属する海水魚。日本全域の沿岸に生息していて、体長は最大で30センチになります。
ウロコではなく、ザラザラとした丈夫な皮に覆われているのが最大の特徴。頭にツノがありなんだか愛らしい見た目をしています。
カワハギの睡眠時間は人間と同じくらい?
カワハギは昼行性なので、夜に岩陰や砂地に身を寄せて睡眠をとります。
鳥羽水族館の飼育日記によると、カワハギの仲間であるテングカワハギは10時間近く眠っているのだとか(テングカワハギの寝姿-鳥羽水族館)。
また、カワハギ釣りにおいては、カワハギが寝ているため、薄暗くなってから早朝までの釣りは推奨されないようです。つまり、夜間を中心に、人間と同じかそれ以上の時間を睡眠時間にあてていると言えるかもしれません。
先日、ダイビングをしていると、砂地にペタッと横になってお昼寝しているカワハギに遭遇。近づくと慌てて起き上がって逃げていきました。
人間と同じように昼下がりにも眠気があるのでしょうか。カワハギは見れば見るほど、知れば知るほど、人間味があるのです。
魚の寿命は種類によって大きく違い、1年だけ生きるものもいれば、数100年を生きると言われる種類もいます。諸説ありますが、カワハギの寿命は平均すると5年ほどと言われており、生まれてから1年未満で大人になる早熟タイプです。
カワハギはどんな時間を生きているの?
筆者の考えでは、カワハギは人間と同じく24時間の中で生きているように思います。朝になって日が上り、海が明るくなって目を覚ます。エサを探しに泳いで、たくさん食べて、たまに昼寝をする。
ダイバーに遭遇して少し近寄ってみたり、貝殻を口に入れたり出したりして遊んだり、1日を満喫して日が暮れ始めたら寝床を探して、暗くなったら眠りにつく。
このようにして、光や水温を感じて過ごす──。そんな繰り返しのような気がします。
朝日と共に目を覚まし、日没と共に眠りにつくというのは、まるで人間のようですが、生まれてから1年未満で大人になるのを考えると、犬の成長スピードに似ているような。
しかし、寿命は犬より短い訳で、もしかすると「カワハギの1日は、人間の数ヶ月に相当する」のかもしれませんね。
(サカナトライター:shell)