【日本各地のご当地鍋】周防大島の魚介とミカンのマリアージュ! 平成生まれの絶品フルーツ鍋「周防大島みかん鍋」【山口県】
日本各地にある、地域特有の具材や調理法でつくられる「ご当地鍋」。今回は、鍋にミカンが入った「周防大島(すおうおおしま)みかん鍋」を紹介します。鍋にミカンが丸ごと浮かんでいるという、びっくりな鍋ですが、これが意外にもおいしい! お取り寄せもできるので、寒さが厳しい冬にこそ、ぜひ味わってみてください。
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2006年に開催されたイベントで誕生した「周防大島みかん鍋」
瀬戸内海に浮かぶ周防大島は山口県ミカン生産量の約8割を担うことから「みかんの島」として親しまれている。周防大島が誇る温州ミカンと瀬戸内の新鮮な魚介がタッグを組んだ話題の鍋が「周防大島みかん鍋」だ。
2006年10月に開催された「周防大島まるかじり」というイベントで誕生したご当地グルメで、「ミカン産地としてのアイコンをつくりたい」との思いから開発された。ミカンが丸ごと浮かんだその見た目に仰天する人もいるかもしれないが、実際に食べた観光客からは評判が高く、リピーターも多い。
この鍋には定義がある。その一つは「鍋用ミカン」が使われていること。JA山口の選定基準や広島県環境保健協会の検査をクリアし、残留農薬が検出されず、なおかつ味が濃く皮が薄いものが鍋用ミカンとして採用されていて、安心安全の証として「鍋奉行御用達」の焼印が押されている。
二つ目は、地魚のつみれに、ミカンの果皮を練り込んだ「みかんつみれ」が入ってること。三つ目は、ミカンの果皮入りの「みかん胡椒」を添えること。それ以外にも、周防産100%のみかんジュースが入った「みかん白玉」など、工夫が満載だ。
魚介類は瀬戸内近海のものが多く、魚介から出ただしにみかん胡椒がピリリときき、爽やかな柑橘が香りとともに楽しめる。締めは、ふわふわのメレンゲ雑炊で。最後の一口まで満喫できる鍋はお取り寄せも可能。
ミカンは皮ごと食べることもでき、熱いので少し冷まして口直しとして食べるのがオススメ。
締めは、泡立てた卵白を入れ、といた黄身をかけた淡雪メレンゲ雑炊で。
【ライター・横澤寛子からひとこと】
蓋を開けた瞬間は、とんでもない!と思うかもしれませんが、食べるといい意味で予想が裏切られます。香りがフワッと広がる「みかんつみれ」から雑炊まで、一つひとつがていねいにつくられていて美味です。
「みかん鍋」のつくり方をご紹介!
「みかん鍋」は市販の白だしをベースに、自宅でも再現できます。
【材料(3~4人分)】
鍋用みかん:4個(SSサイズ以下で農薬洗浄された果実)
地魚のつみれ:12個(みかんの皮を少量練りこんだもの)
みかん胡椒:少量をだしに溶く(なければ柚子胡椒で代用も可)
季節の地魚:適量(マダイ・カワハギ・瀬戸貝など)
エビ:4尾
ハクサイ:1/2
長ネギ:1本
シイタケ、シメジ、エノキタケなどのキノコ類:お好みで適量
水菜:適量(できあがる直前に盛り付ける)
だし汁:白だし120ccを900ccの水で割る
【つくり方】
1 小玉のみかんをよく洗浄する。
2 魚介や野菜などは食べやすい大きさに切り、シメジやエノキタケはほぐしておく。
3 鍋にだし汁を入れ火にかけ、煮立ったらみかん、野菜など加えて煮込む。
4 アクをていねいに取り、味を調えたら水菜を盛り付けて完成。
【オススメポイント】
この鍋の最大の特徴が「ミカン」。お鍋と柑橘類の相性のよさ、魚介の生臭さの緩和や香り付け、さらには高い栄養価など、メリットがいっぱいです。美肌効果や風邪の予防によいとされるミカンですが、実は果皮にこそ高い栄養価が含まれており、ヘスペリジンなどに代表される有効成分の多くは、果肉でなく皮を食べることで摂取することができるのです。
文/横澤寛子
※この記事は、田舎暮らしの本 2025年1月号をもとに加筆しています。