すりおろし大根が香る“山の芋とろろ”が絶妙!三田市『水無月亭』の名物・雲水そば 三田市
日増しに暑さが募る今日このごろ。市内より気温が低く涼しいと言われる三田市の奥座敷・永沢寺(えいたくじ)地区へ名物・雲水そばを食べるため車を走らせました。
お店の名前は『水無月亭(みなづきてい)』。同地で長年営業を続ける、手打ち蕎麦で名高いお店です。
訪れたのはちょうど新緑が眩しい季節。広大な花しょうぶ園(休園中)を見渡す小高い場所にある、レトロな外観が味わいを見せる木造建屋です、
どこか懐かしい“食堂感”を感じられる店内は、日本の粋を感じさせます。
店内はセルフサービスで注文は中央のカウンターから。敷地内には同店のほかに「永沢寺そば道場」や、日本最古級のそば打ち大会が行われる会場などがあり、”蕎麦”とは切っても切れない場所です。
オーナー店主の和田さんは御年84歳。50代から”そば道”の普及に励み「そば道場」の指導者、そして「素人そば打ち関西名人大会」に審査員として長年携わっているお方。そんな店主”打ちたて”の蕎麦を目当てにお客さんがやってきます。
現在9割を輸入外国産に頼っているそば粉ですが、同店では市内で収穫した貴重な蕎麦の実を石臼挽きした自家製粉を使い、つるつると食感がよい「二八そば」で提供。寒暖差が激しい三田の気候はそばの栽培に向いているそうです。
1989年開業当時は定食など一般的なメニューでの営業でしたが、そば打ちが趣味の友人から「花しょうぶ園の来場者へそば打ち実演をしたい!」と提案を受けたことがきっかけで、手打ち蕎麦専門店に。最盛期は数千人が訪れたという同園で、効率よく出せる食事としても理にかなっていたお蕎麦は主力メニューへと成長。「一日に70キロものそば打ちをしたこともあった」と話してくださいました。
同店名物「雲水そば」の名前は、修行僧を「雲水(うんすい)」と呼ぶことに由来します。向かいに建つ曹洞宗の古刹『永澤寺(ようたくじ)』で雲水が口にしていた質素な食事に思いを馳せたとか。
冷蕎麦にとろろをかけた「雲水そば」。丹波篠山の特産品「山の芋」を使った”とろろ”は、長芋に比べて風味濃く甘さが勝り、強い粘り気があるのが特長です。
とろろには大根おろしが混ざっていて、さっぱりとした辛みを味わえます。
薬味に刻みネギとわさび、うずらの卵もお好みで。
とろろとネギが絡み合う蕎麦をつるつると啜ると、暑さも吹き飛んでしまいそう。店主は「蕎麦は啜って、豪快に音を立てて食べるのが本流」だと話します。そば文化が盛んな東の方が、ずるずるっと上手に食べる人が多いそうです。
季節の天ぷらがセットになった「天ざるそば」もおすすめ。
”湯がきたて”は艶やかで喉越しも最高!まずはお蕎麦からいただきたいですね。
肉厚の椎茸にピーマン、かぼちゃにエビが2尾ついた「盛り合わせ」。季節の地元食材を揚げたてで提供しています。
お米が食べたい人は、山の恵みたっぷりの「山菜ごはん」も。
食事の後、そば打ち大会の会場を案内していただきました。「我こそは!」と腕っぷしに自信のある人が北は北海道、南は沖縄と全国から集まります。2024年(第28回)は大阪府の男性がチャンピオンに輝きました。
ここでは年3回、「全麺協」が主催するそば打ち名人の段位認定会(初段から3段)も行われています。
そのすぐ隣には「そば道場」があります。
自分で打ったそばが食べてみたい!という方は挑戦してみては(事前予約要)。所要時間は試食を含めて2時間程度、麺の持ち帰りも可能だということです。
店内から眺める風景にも癒される『水無月亭』。緑が美しいこの季節、三田の奥座敷・永沢寺までドライブしてみてはいかがでしょう。
場所
食事処 水無月亭(みなづきてい)
(三田市永沢寺76)
営業時間
11:00~15:00
定休日
月曜〜金曜日
※土日のみ営業
※そのほか、季節に合わせた営業あり(要確認)
駐車場
あり(無料)
営業日
原則、土曜日・日曜日(5・6月)
・7月からの営業日は公式サイトをご確認ください
そば打ち体験
(そば道場)
・事前予約が必要
・水曜日を除く全曜日受付可能(予約枠に空きがあれば)
・予約・問い合わせ Tel 079-566-0053(そば道場)