みりん干しがスイーツに!? 港町・氷見で「もったいない」から生まれた新感覚チーズケーキ【中村海産】
イワシやアジなどの小魚をみりんなどに漬け込んで乾燥させた「みりん干し」。
甘じょっぱい味わいが特徴で、干物や刺身などよりも好んで食べるという方もいるのではないでしょうか。
そんなみりん干しを使った斬新な商品が、富山県内随一の港町・氷見で誕生しました。
甘辛い味わいを活かし、さらにフードロスを解消するべく生まれたのは…
なんとスイーツ!!??
魚臭さは? みりんの風味は??
気になりますよね。
開発への想いとあわせて取材しました。
みりん干しの新たな可能性を
創業100年超! みりん干しの「中村海産」
みりん干しは冷凍技術がなかった大正時代前期に魚の保存方法のひとつとして日本中に浸透したと言われています。
富山県氷見市にある中村海産もその頃に創業した老舗。1921(大正10)年から続くみりん干し専門店です。
原材料にこだわり、ソフトな食感が特徴のみりん干しを製造・販売しています。
みりん干しというとアジやイワシをイメージしますが、中村海産ではシシャモが売り上げの7割を占めるそう。子持ちのメスと比べて需要の低いオスのシシャモをなんとか活かそうと開発したもので、すっきりとした甘さが特徴です。
焼いたあと冷めてもおいしく、魚のうま味を存分に味わえます。
そんなみりん干しですが、中村海産が独自に行ったアンケートでは大学生の4割が「みりん干しを知らない/食べたことがない」と回答したんだとか。
時が経つにつれて、だんだんとみりん干しが食べてもらえなくなってきている…と、5代目社長の中村康紀さんは危機感を覚えました。
また、みりん干しは製造の過程で割れたり欠けたりして商品にならない規格外品が1日に5~10kgも出てしまうんだそう。もったいないですし、これを廃棄するにも費用がかかります。
「カラフトシシャモからいただいた命を捨てるのも心苦しかった」(中村さん)
そんな想いをきっかけに、新しい商品開発がスタートしました。
若い人にもみりん干しを食べてほしい。
フードロスを解消したい。
そして、イタリア料理のシェフと共にみりん干しを使った商品を開発し、生まれたのがスイーツの「UOGASHI」シリーズだったのです。
新感覚スイーツが続々!
言われないとわからないかも…濃厚&繊細なチーズケーキ
UOGASHI流チーズケーキ
こちらは2024年10月に発売したみりん干しスイーツ第1弾のチーズケーキ。
規格外品のみりん干しから作ったペーストのコクとイタリア産マスカルポーネが絶妙なバランスで融合した逸品です。
濃厚なのにくちどけはなめらか。チーズのやさしい酸味は感じつつ、ボトム生地を食べるとみりん干しの塩気や魚の風味を感じます。
ただし、スイーツとしての完成度が高すぎて、「みりん干しが入っている」と言われなければそうとはわからないほどのかすかな余韻です。
「魚感をどこまで出すのか、出さないのか。単純にスイーツとしておいしいっていうところから始めて、実はみりん干しが入っているとわかった方が感動がうまれるのかなと」(中村さん)
第2弾は大人のおつまみ かりんとう
UOGASHI流かりんとう
スイーツ第2弾として開発したのは、かりんとう。
こちらはチーズケーキとは打って変わって、みりん干しをしっかり感じる味わいです。
スパイスを効かせたみりん干し生地にキャラメルをコーティングしてココアパウダーで仕上げています。
外はカリッと中はサクッとした食感で、甘さの中にみりん干しの風味を感じ、後を引くほろ苦さが。スパイスのアクセントが効いていて、お酒にぴったりな大人のおつまみといった印象です。
かりんとうは「UOGASHI」シリーズの開発拠点となっている「氷見×パニノテカ」でのテイクアウト販売のみですが、もうすぐECサイトでも販売予定。
また、氷見×パニノテカではシェフの気まぐれでさまざまなみりん干しスイーツに出会うことができるそうです。
UOGASHI流チーズケーキ 250g 3200円(税込)
UOGASHI流かりんとう 1パック 120g入り 1000円 (税込)
出典:KNBテレビ「ワンエフ」
2025年2月7日放送
【中村海産】
住所 富山県氷見市伊勢大町2丁目13-5
営業時間 8:00~16:00
定休日 水曜、日曜、祝日