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【横浜市西区】伊勢山皇大神宮 「四神旗」を復元 皮着せ技法の再現で

タウンニュース

復元された白い四神旗=右=と古くから伝わる旧四神旗=左=について説明する阿久津宮司

伊勢山皇大神宮=西区宮崎町=に古くから伝わる「四神旗」が、このたび復元された。明治期の独特な技法が使われていたことなどから、これまで復元は困難とされていた。来年5月15日の例祭で一般に初披露される。

四神旗とは青龍、朱雀、白虎、玄武という四方の神(四神)を描いた4本の旗で、神前儀飾などに用いられる。同神社に伝わる四神旗は横約55cm×縦約1m43cm。白を基調に金糸や銀糸を使った刺繡で、4頭の聖獣が縫われている。色を使ったものが多い中で、白を基調にしたものは珍しいという。詳しい年代は不明だが、明治以降の作品だと推察される。

四神旗は、経年劣化で布のほつれや汚れが目立つようになっていた。だが、明治以降に用いられた特殊な「皮着せ」(芯糸に上質の絹糸を巻き付ける撚糸(よりいと)方法)という技法が使われていること、金糸・銀糸と呼ばれる普通の四神旗には使われない糸が用いられていることから長年、補修は困難と考えられてきた。

「補修困難」覆す

補修や復元の可能性を探る中、京都で祇園祭の山車を飾る刺繍などを手掛ける樹田紅陽さんにたどり着いた。樹田さんに改めて四神旗の調査を依頼したところ、皮着せが京都の刺繍技術者に伝承されていることが分かり、復元可能と回答を得た。昨年1月から取りかかり、約1年半かけて復元。10月14日に「四神旗復元奉告祭」が執り行われ、同神宮に奉納された。

皮着せという糸づくりから取り組み、「最初は撚りが不安定で失敗することもあった」と振り返る樹田さん。「威勢のよい図案で、細やかな配慮が見られる」と評する元の作風をくずさぬよう、工房の弟子と計4人で慎重に縫い進めていった。

復元された四神旗を前に阿久津裕司宮司は、「昔の四神旗の姿が偲ばれ、『うちのは特別』だとより一層感じた。神社の役割でもある、”文化継承”ができたことも、ありがたい」と感慨深げに話す。今後、同神宮の例祭、新嘗祭、祈念祭という重要な神事に用いられる。

細やかな刺繍で再現された青龍
10月14日に奉告祭が行われ、同神宮に奉納された
(左から)樹田さんと阿久津住職

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