猫も『捻挫』することがある!痛めているサインや対処法を解説 骨折との見分け方も
猫も捻挫する!!部位や症状について
関節がしなやかで捻挫とは無縁のイメージがある猫。しかしながら、猫も捻挫をすることがあります。
初耳という飼い主さんために、まずは捻挫を起こす部位や具体的な症状、骨折との見極め方について紹介していきます。
1.猫の捻挫はしっぽにも
『捻挫』と聞いて真っ先に思い浮かぶ場所は足首ですよね。
猫の場合は足はもちろんのこと、股関節や肩、首や顎、しっぽにまでリスクが付きまといます。
例えば人に踏まれる・ドアに挟まる・高所からの着地ミスなどがきっかけとなり、その原因によって損傷した部位の関節や靭帯に炎症が起こります。
柔軟性に優れた体とはいえ、ある意味全身にその危険があると想定しておいてください。
2.歩き方の異変で察知しよう
捻挫のリスクは全身に及ぶと断言したものの、実際に多い損傷部位はやはり足です。ここで少々厄介なのが、見た目ではわかりにくいことです。
例えば人間が足首を挫いてしまった場合、腫れや赤みが顕著になりますよね。ところが、猫の場合は被毛で覆われているため、これらの症状が見えにくいのが特徴です。
そこでチェックしてほしいのが、歩き方の変化です。足をかばいながら歩いていませんか?怪しい部位に触れると痛がる、あるいは触ること自体を拒否していませんか?
これらの異変があれば、捻挫をしている可能性があります。また患部に触れた際、熱を帯びていることも特徴として挙げられます。
3.骨折は元の形状への自然治癒が難しい
猫は人間とは異なり、骨折との判別も難しいところです。その見極め方のポイントは以下の通りです。
✔数日経っても回復しない
✔足を地面につけようとしない
✔痛がり方が激しい
捻挫の場合はどちらかというとびっこを引く歩き方をします。一方で、全く地面に足がつけられないのが骨折です。
骨折は自然治癒することは可能ですが、曲がった状態で癒合したり元の形状に自然に治ることが難しいため、数日経っても回復する様子が見られないでしょう。
捻挫の場合は、家猫であれば安静にすることで痛みや腫れが少しずつ解消されます。(程度による)
これらを加味したうえで骨折や脱臼が疑わしい場合は、速やかに診察を受けてください。
愛猫が捻挫をしてしまったら
人間が捻挫をした場合、安静・冷却・圧迫・拳上の英語の頭文字を取った『RICE』が基本の応急処置になります。
猫の場合も安静が基本となるのですが、人間と異なり、言い聞かせて安静にさせることは難しいです。
ケージがあればケージ内で安静にすること、もしくはキャリーケースの中で安静にすることを優先させましょう。
痛みによる食欲不振や元気消失が見られる場合は動物病院を受診し、痛み止めを処方してもらいましょう。
大切な愛猫を捻挫から守るには
捻挫は日々の生活の中で予防することが可能です。次のポイントを押さえ、大切な愛猫を捻挫から守ってあげましょう。
✔肥満にならないように暴食させない
✔最低でも1日1回は運動させる
✔好むようであればシニア猫にはマッサージを
まず、肥満による体重増加は捻挫のリスクを上昇させます。加えて運動不足もまた、靭帯や腱の損傷を招く要因になります。
また。長毛種の猫がフローリングで生活する場合は、足裏の毛をカットしておくと怪我の予防に繋がるので取り入れてみてください。
関節が固まりやすい高齢期の猫に対しては、日頃から全身を温め、マッサージを施しましょう。温める手段としては蒸しタオルが有効です。
いきなりマッサージをすると逆に捻挫をさせてしまう恐れがあるので、必ず関節を温めてから行うようにしてください。
まとめ
あまり耳馴染みのない猫の捻挫。きっかけは些細なことが多く、高所へのジャンプや降下の失敗などが原因の一つになることが挙げられます。
腫れや痛みを伴うという点では人間と共通しており、安静にしていても治る気配がない場合は骨折やその他の怪我、あるいは他の病気を疑いましょう。
猫の場合は痛みから食事が取れなくなることがあります。まる数日間絶食状態になると肝臓にダメージが及ぶため、仮に骨折が除外される事案であっても診察を受けるようにしてください。
捻挫は早期対処はもちろんのこと、普段の生活の中で予防することも大切です。愛猫を捻挫から守るためにも、太らせない・運動嫌いにさせない・適切なケアをすることを実践するように心がけましょう。
(獣医師監修:葛野莉奈)