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地域の医療課題解決へ病・医院、行政がタッグ “連携推進法人”設立目指し釜石市で準備委発足

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 地域の医療機関が連携し、医師の相互支援や医療機器の共同利用などで経営の安定化、患者の安心につなげる「地域医療連携推進法人」設立への取り組みが釜石市で始まった。3日、市内の医療法人や医師会、市などによる設立準備委員会が発足。会則や体制、法人の名称を決め、連携方針を確認した。今後、一般社団法人として組織化し、2025年度内に同連携推進法人の認定を得たい考え。認定されれば県内では初の事例となる。

 準備委は医療法人楽山会(せいてつ記念病院、佐藤滋理事長)、独立行政法人国立病院機構(釜石病院、岡田千春審議役)、医療法人仁医会(釜石厚生病院、釜石のぞみ病院、鹿野亮一郎理事長)、医療法人社団KFC(釜石ファミリークリニック、上村明理事長)、一般社団法人釜石医師会(小泉嘉明会長)、釜石市(小野共市長)で構成。3日に開いた準備委設立総会で、会長に楽山会の佐藤理事長、副会長に医師会の小泉会長を選出した。

 法人の名称は「釜石スクラムメディカルネット」に決定。“ラグビーのまち釜石”にちなみ、手を取り合い、スクラムを組んで地域医療の充実を図りたいとの思いが込められる。ロゴマークにもラグビーボールやスクラムをイメージしたデザインが採用された。

設立準備委は医療法人、医師会、市などの6者で組織


法人のロゴマークは4デザイン案からD案(写真右)を選んだ


 「地域医療連携推進法人」は地域内で医療機能の分担、連携を進めるため、国が2017年度に創設した法人制度。釜石保健医療圏(釜石市、大槌町)では人口減少に伴い患者数が減少。少子高齢化による労働人口の減少もあり、医療従事者の不足など各医療機関は多くの経営課題を抱える。そうした厳しい状況下でも、住民が求める医療提供体制を維持していく必要があると、同市の医療法人が中心となり、同連携推進法人の立ち上げを決断した。

 同市で目指すのは、回復期から慢性期、退院後の在宅医療までを担う各医療機関の連携。推進法人に参加する5病院・診療所は機能的重複がないことから、それぞれの医療資源を最大限に活用し、機能分担と業務連携を推進する。急性期からの受け皿としての役割を果たし、介護事業との連携で「地域包括ケアシステム」の充実を図る方針。具体的には▽医師の相互支援▽医療従事者の確保、育成▽医療機器の共同利用▽医薬材料、医薬品の共同交渉、購入▽在宅医療の充実―などを掲げる。

 準備委は今後、同連携推進法人の認定に必要な法人格(一般社団法人)取得に向け動く。連携推進法人の認定可否は、一般社団法人から申請を受けた都道府県知事が、医療審議会の意見を聴取して決定する。

設立準備委の佐藤滋会長(写真右上)が議長を務め、提出議案を審議した


 準備委会長を務める楽山会の佐藤理事長は「多くの課題はあるが、まずは一つ一つ向き合い、前に進めていければ。回復期、慢性期の医療を担っている私たちがスクラムを組み、必要とする方々が不自由のないようにしていきたい」と話した。

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