県高校総体前特集 バレーボール男子(4)大分工業 自力を磨き直し、新戦術で頂点へ 【大分県】
県高校総体の組み合わせが決まったバレーボール。男子は31日から3日間の熱戦が繰り広げられ、夏の王者を決める。大分南が頭一つ抜けているが、シード校に変わりはなく、力を付けている。第4回は新戦術で連覇を狙う大分工業。
「今年のチームは特徴がないのが特徴」。江崎裕之監督がそう語る大分工業。確かに大エースがいるわけでも、守備が際立っているわけでもない。それでも、真面目さ、一生懸命さはどこにも負けないと胸を張る。レギュラー、控え関係なく全員がバレーボールと真摯(しんし)に向き合い、粘り強く戦いながら常に頂点を争ってきた。
4月に開催された全九州バレーボール総合選手権大会の県予選(以下、九総予選)でも順当に勝ち上がったが、ライバル大分南との決勝戦で多くの課題が浮き彫りとなった。第1セットは大分南の勢いにのまれ、持ち味を発揮できないままダブルスコアに。続く第2セットは一時リードを奪ったものの、要所でのミスが続き、ストレート負けを喫した。「特に1セット目はうちの悪いところが全て出た。例えば、ジャンプサーブで崩されたわけではないのに崩れたような形になって…。ああなったらどうしようもない。半分も力を出せなかった。結局は自力の差。シンプルに弱いから負けた」と江崎監督の評価は厳しい。
九総予選は力を出し切れずに終わった
現在のチームは3年生7人、2年生10人、1年生10人。中心は2、3年生だが、1年生も九総予選で貴重な経験を積んだ。特に注目したいのが、県内では世代トップクラスの実力を誇る井野本勇斗。江崎監督は「強打を打てるし、守れるし、つなげられる。今後チームの中核になる選手」と大きな期待を寄せている。井野本以外も今回登録された1年生は全員がスターティングメンバーになっても問題ないほどの力を持っているというから心強い。もちろん、合格点には遠いと評された2、3年生も自らの課題と向き合いながら殻を破ろうと必死にもがいている。
チームとしては戦術の再構築に着手。「今年はこれまで自分たちがやってきたバレーでは勝てない。相手がそれに対応する力を持っている。高さ、パワーでも差がある」(江崎監督)。詳細はまだ明かせないというが、県高校総体では新たなスタイルで躍動する姿を見せてくれそうだ。県新人大会、九総予選と大分南に遅れをとってきただけに、県高校総体の連覇は絶対に譲れない。
キャプテンでセッターの山口蓮太(3年)は「自分はコートの中では司令塔。今、何ができていないのかを一つ一つ整理しながら、優勝に向けてしっかり準備を進めている」。得点源として活躍する和間志苑(しおん、同)は「目標は連覇。九総予選で生かせなかったことを実践して、必ず果たしたい」と闘志を燃やしている。
大分工業の強さの源は、絆とチーム力。試合に出場する選手も、サポートに回る選手も、全員が一つの目標に向かって突き進み、頂点に駆け上がる覚悟だ。
絆とチーム力で勝利を目指す大分工業
(甲斐理恵)