西武・今井達也の高めストレートが凄い!脱力フォームから驚異の空振り率
継投で「ノーヒットワンラン」達成など12球団トップの被打率.123
西武の今井達也が好調な滑り出しを見せている。
3月28日の日本ハムとの開幕戦は味方打線の援護に恵まれず敗戦投手となったものの、9回2失点と好投。4月4日のソフトバンク戦に7回無失点で初勝利を挙げると、11日の日本ハム戦でも8回無失点、18日のソフトバンク戦では8回1失点ながら平良海馬とのリレーでプロ野球史上61年ぶり5度目の「ノーヒットワンラン」を達成した。
ここまで4試合に登板して2勝1敗、防御率0.84。防御率はチームメイトの隅田知一郎に次いでパ・リーグ2位、被打率.123は両リーグの規定投球回到達者でトップに立っている。
球速は変わらないのに被打率.193に良化したストレート
言わずと知れた夏の甲子園優勝投手。作新学院高から2016年ドラフト1位で入団し、2023年から2年連続2桁勝利を挙げた。元々は指にかかったキレの良いストレートを投げるオーバースローだったが、フォームのマイナーチェンジを繰り返し、現在はスリークオーター気味の力感のないフォームからズバズバと剛球を投げ込む。
20日に放送された日本テレビ『Going! Sports&News』ではフォームについて自ら解説。低いリリースポイントから高めにストレートを投げることで、浮き上がるような軌道を実現したことを明かした。
実際、今井のストレートはどれくらい進化しているのか。データから分析した。
球速は2024年が平均152.7キロ、最高159キロだったのに対し、2025年は平均152.1キロ、最速158キロとほとんど変わっていない。投球割合も46.2%から47.5%とほぼ横ばいだ。
それにもかかわらず、被打率は2024年の.232から2025年は.193に良化している。なぜか。
高めストレートの空振り率が大幅アップ
続いてストレートの空振り率を比較した。下の表を見てほしい。
空振り率は2024年の7.7%から2025年は9.9%に上昇している。今季の規定投球回到達者でストレートの空振り率が12球団トップなのは村上頌樹(阪神)の12.3%、伊藤大海(日本ハム)が12.2%で続いており、今井の9.9%も5位と高い。
しかし、さらに凄いのが高めに限定したストレートの空振り率だ。2024年は10.8%だったが、2025年は15.1%に大幅アップ。投球割合は31.2%から33.2%と微増程度だが、やはり浮き上がるストレートが大きな武器となっているのは間違いない。
187三振を奪って最多奪三振のタイトルを獲得した昨季は奪三振率10.93だったが、今季はここまで7.31に低下。つまり、三振を取るためのストレートではなく、脱力して小さい出力で最大の成果を出すためのストレートと言える。
実は昨季は1回に計11失点しており、7回の12失点に次いで多かった。ところが今季は初回いまだ無失点。今季の計3失点は7回(2失点)と9回(1失点)のみで、課題だった立ち上がりの不安を解消している。それも力みのないフォームと無関係ではないだろう。
5月の誕生日を迎えてもまだ27歳。年々進化を遂げる9年目右腕は今季、一体どんな成績を残すのか。5度目の先発となる25日のオリックス戦(ベルーナドーム)も注目される。
※成績は2025年4月24日現在
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記事:SPAIA編集部