【7月1日から開催中】イグアナ!イグアナ!イグアナ! 爬虫類画家・三澤柊哉初個展「降鱗」
鱗の質感や模様が細密に描き込まれた爬虫類画・計24点が並ぶ、爬虫類好きにはたまらない展覧会が札幌「TO OV cafe / gallery」で開催中です。今回が初個展となる三澤柊哉さんは、第98回道展で新人賞を受賞した注目の若手作家。爬虫類への愛がつまった作品をお見逃しなく!
爬虫類の顔を堪能できる圧巻の細密画
グリーンイグアナ、レッサーアンティルイグアナ、アオジタトカゲ...。「TO OV cafe / gallery」の扉を開くと迎えてくれる爬虫類画は、計24点。昨年10月に開催された第98回道展で、銅版画《億年争闘》が新人賞を受賞したことも記憶に新しい三澤柊哉さんの初個展は、彼を長年惹きつけてやまない爬虫類の魅力が存分につまった注目の展覧会です。
「表情のわからなさや、鱗の質感や模様など、爬虫類の存在自体に想像力を掻き立てられます」と三澤さん。自宅でも10数匹の爬虫類を飼育しており、展示作品の中には飼育しているグリーンイグアナを描いたものもあります。
「できるだけその子の特徴を生かしたい」と三澤さん。飼育しているだけに、ときには触ったりもして観察した結果から生まれる細密画には、細かな鱗の並びや、実はスベスベしている箇所の質感など、見れば見るだけ引き込まれる感覚が。
ペン画とは異なる、独特の雰囲気を持つ銅版画作品
専門学校で銅版画を学び、「ペン画より深いタッチになり、その細かな表現で独特の雰囲気を出すことができるところに惹かれた」と言う三澤さん。個人的なイチオシは、アクアチントとエッチングを用いて制作された《警戒》(上の写真の左端)!アクアチントならではの黒の濃淡が、三澤さんの描くグリーンイグアナの雰囲気にマッチして何とも格好良い。会場でぜひ実物を見てほしい一枚です。
イグアナを詳しく解説した自主制作本も展示
子どもの頃から恐竜や爬虫類に夢中だったという三澤さん。小学4年生でトカゲを飼い始めてからは日々実物を観察し、飼っていない爬虫類は即売会などに足を運んでは観察。さらに雑誌や図鑑を飽くことなく眺め続けて12年。そんな彼の爬虫類への興味は、自主制作した「IGUANA REFERENCE BOOK」としても結実。
「差はあるがトイレの場所や自分の名前を覚えて簡単なコミュニケーションが取れる個体もいる」など、グリーンイグアナの特徴や種類が解説されており、これに目を通してから各作品を見るのもおすすめです。
「展示を見て、爬虫類に少しでも興味を持ってもらえたり、好きになってもらえたりしたら嬉しいです」と三澤さん。土日は在廊されているそうなので、ぜひ作品の感想を伝えてみてください。
ちなみに「TO OV cafe / gallery」から徒歩5分のところにある「ギャラリー創」では、7月5日(土)から三澤さんの銅版画の先生である西村明美さんの個展「rubyculus」が開催(7月20日まで)。こちらもぜひ!
三澤柊哉初個展「降鱗」
■開催日:2025年7月1日(火)~13日(日)
■開催時間:
・火曜、水曜、木曜:10:30~19:30(ラストオーダー19:00)
・金曜、土曜:10:30~20:00(ラストオーダー19:30)
※最終日は16:00まで
■会場:TO OV cafe / gallery(札幌市中央区南9条西3丁目2-1マジソンハイツ1階)
■入館料:無料
■休館日:月曜日
【ライタープロフィール】
松田 仁央(ライター)
2007年から2010年まで「WG」というフリーペーパーを発行しつつ、2010年からフリーランスのライターとして活動。舞台芸術と美術が特に好きです。2002年頃からギャラリー等で絵画を中心に作品を購入しています。ここでのレポートが、誰かが「自分の一枚」に出会うきっかけになったら嬉しいです。