“関東一の祇園”と称される「熊谷うちわ祭」が熊谷市街地で7月20~22日に開催。12台の山車・屋台が集結!
江戸時代から続く八坂神社例大祭「熊谷うちわ祭」が、2025年7月20日(日)~22日(火)に埼玉県熊谷市の中心市街地ほかで開催。12台の山車(だし)・屋台が勇壮な熊谷囃子(ばやし)を響かせながら巡行する。「関東一の祇園」とも称される華やかな祭りをぜひ現地で体感しよう。
祭りの日にうちわを配ったことが由来
熊谷八坂神社は文禄年間(1592~1596)に京都の八坂神社を勧請し、現在の鎌倉町にある愛宕神社に合祀された古社。夏祭りの記録が文書で残るのは江戸中期の寛延3年(1750)のこと。当時寺社ごとで行っていた祭りを一斉に行えるよう、町民から役人へ願い出たところ許可されて、現在のうちわ祭の形態が作られたといわれる。
天保年間(1830~1844)には熊谷の祭りはいっそうにぎやかになり、神輿が新調されて全町合同の神輿渡御が始まった。また祭りの日には買い物客に赤飯の振る舞いが行われ、祭りの名物となった。ところが明治35年(1902)ごろには、料亭『泉州楼』の主人が赤飯の代わりに日本橋の老舗『伊場仙』から買い入れた渋うちわを配ったところ、またたく間に人々の評判に。その後各商店でも屋号などを記したうちわを配り、「買い物はうちわ祭の日に」とまで言われるようになった。
12台の山車・屋台が勢ぞろい!
お祭りのハイライトは12台の山車・屋台の運行。分かりやすく説明すると、上部に大きな人形が据えられているのが山車で、人形のないものが屋台。第弐本町区の山車が一番古く、天保年間の製作といわれる。熊谷うちわ祭で曳かれる山車はすべてが三輪で、四輪に比べてスムーズに曲がれて小回りが利くのが特徴だ。それらの山車・屋台が3日間市街地を巡行し、その豪華絢爛さから「関東一の祇園」といわれている。
期間中、それぞれの日に12台の山車・屋台が集結する催しが。初日の20日(日)の夕方には熊谷駅北口駅前広場に集まってお披露目する「初叩き合い」、21日(月・祝)には国道17号を封鎖して練り歩く「巡行祭」、22日(火)にはお祭り広場に集まってお囃子を奏で合う「曳っ合(かわ)せ叩合い」が見どころだ。「3日間の中で12台の山車・屋台が集まるのは、やはり熱気があって壮観の一言。熊谷の熱い部分を体現しているのかなと思うので、ぜひ見ていただきたい」と話すのは熊谷市商業観光課の贄田(にえだ)さん。
そのほかにも日中は各町で山車が巡行していて、山車同士がかち合うとお囃子を打ち鳴らす「叩き合い」が偶発的に行われる。公式ホームページでは各山車の位置情報を示すGPSを掲載するということなので、推しの山車があればチェックして現地へ向かおう。
「祭りの期間中、神様が一時的に滞在される行宮(あんぐう)がお祭り広場に設置されます。参拝していただくと、祭りのシンボルともいえる青色のうちわをいただけます。うちわを手に巡っていただければ」と贄田さん。そのほか、今年新たにうちわ祭オリジナルグッズを製作。駅構内の熊谷駅観光案内所では、正面から見た山車・屋台をデザインした付箋(12種類、20枚入り400円)やTシャツ(5000円)を販売しているので、おみやげに購入してみては。
開催概要
「熊谷うちわ祭」
開催期間:2025年7月20日(日)~22日(火)
開催時間: 20日(日)の初叩き合いは18:30~、21日(月・祝)の巡行祭は17:00~19:00、22日(火)の曳っ合せ叩合いは20:00~
会場:埼玉県熊谷市中心市街地ほか
アクセス:JR高崎線・秩父鉄道熊谷駅から徒歩5分
【問い合わせ先】
熊谷市商業観光課☎048-524-1111
URL:http://uchiwamatsuri.com/index.html
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。