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みんなで体験!多彩な岩手の芸術文化 釜石でフェスタ 伝統から現代まで「魅力、再発見」

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 芸術体験フェスタin釜石・大槌は18、19の両日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。県内各地の文化芸術団体や個人が歌、踊りなど多彩なステージで観客を魅了した。見て、聴いて、触れて、やってみる―。さまざまな体験企画も用意され、来場者が思い思いに楽しんだ。

 フェスタは第77回岩手芸術祭の関連企画で、県が主催し、県芸術文化協会が運営を担当した。釜石、大槌の2市町と両市町芸術文化協会、TETTOとの共催。岩手芸術祭美術展と小中学校美術展で入賞した作品が17日から3日間展示された。

 18日は舞台公演が行われた。釜石市合唱協会による「岩手県民の歌」で幕開け。県央・沿岸地区で活動する小柳玲子バレエ教室の生徒ら8人による可憐でしなやかな舞、「チャグチャグ馬コ」や「わんこそば」といった岩手の風物を情緒豊かに舞踊化した県邦舞協会のステージと続いた。民謡を歌い継ぐ大槌一心会の若手3人は伸びやかな歌声を披露。盛岡市の団体によるスピード感あふれるチアダンス、切れ味のあるジャズダンス、心あたたまるフルート演奏などもあった。

華麗な踊りを披露した小柳玲子バレエ教室の生徒


岩手県邦舞協会は地域の魅力を詰め込んだ演目を見せた


 県内各地の郷土芸能を楽しめる機会に観客は興味津々。「浦浜念仏剣舞」(県指定無形民俗文化財)は大船渡市三陸町浦浜地区に伝えられている念仏踊りで、鎮魂を思わせる静かな舞に多くの視線が注がれた。岩泉高郷土芸能同好会の生徒約20人は岩泉町小本地区で五穀豊穣(ほうじょう)などを祈り舞われてきた「中野七頭舞」を披露。「先打ち」「薙刀(なぎなた)」など7種類の道具を手に、農民の営みを軽快なおはやし、躍動的な踊りで表現した。

 「杵(きね)」を持ち、収穫の喜びを体現した岩泉高2年の外舘愛美さん(同会副部長)は「笑顔で踊るので、その楽しさが伝わったらうれしい」と頬を緩めた。他の部活動との掛け持ちで参加する生徒が多く、練習は週3回。「知っている人がいなくなると歴史が途切れる。絶やさないよう、いろんな人に興味を持ってもらえるよう活動していきたい」と伝承への気持ちを強めた。

息ぴったりな岩泉高郷土芸能同好会の「中野七頭舞」


透き通った歌声を響かせたキッズコーラスあぐどまめ


 地元釜石からは鼓舞櫻会(桜舞太鼓)が出演。会所属の新舞踊グループ「桜華颶美(はなぐみ)」とにぎやかなステージを繰り広げ、会場を沸かせた。「うまく踊れた」と満足げな久保樹李さん(唐丹小6年)は、キッズコーラスあぐどまめ(大槌町)のメンバーとしてもステージに立った。「歌も踊りも楽しい。決めるところでしっかり動きを止める、かっこいい踊りができるようになりたい。聞いている人に気持ちが伝わるように歌いたい」と背筋をピンと伸ばした。

 19日は体験イベント。川柳や俳句、水墨画、脳活書道、茶道、パステル画、クラシックギター、鹿子踊(ししおどり)など20種類以上のプログラムがあった。マクラメ編みのブレスレットづくり、機織り機を使った「さをり織り」体験は女性たちに人気。和太鼓など伝統芸能は親子連れが楽しんだ。

機織り機を使った「さをり織り」体験に熱中する女性


「好きな曲を自分で奏でたい」とギター演奏に挑戦


臼澤鹿子踊を体験する子ども。頭をつけて踊ってみた


 生け花に触れた勝又愛さん(10)は、ハランやスイトピーなど花材をバランスよく配置し、「みんな仲良し」と出来栄えに大満足。大正琴や短歌などを体験した80代女性は「いろんなものを習得している人たちの活動を知ることができた。続けてやってみようかと思うものもあった。いくつになっても始められるし、やればできる。楽しい道を求めていきたい」と元気に笑った。

箏を弾く楽しさを伝えた岩手三曲協会釜石支部メンバー


 箏(こと)に触れる機会を提供したのは、岩手三曲協会釜石支部。名取を含めた7人が遊びながら弾く、音を出す楽しさを伝えた。親子で連弾を楽しむ姿もあったといい、「いい宣伝になったと思う。音をつくる面白さを感じてもらえたかな」と事務局の紺野節子さん。敷居が高いと思われがちだとし、「時代に合わせて進化させていかなければ」と話した。最近は地域の小中学校などで出前授業を実施。「気軽に触れてもらえるようにしたい」と、仲間と継続への思いを共有した。

スポーツ雪合戦の体験会。子どもたちが熱戦を繰り広げた


 TETTO前広場ではスポーツ雪合戦の体験会(18日)も開かれた。7人一組のチームに分かれ、相手チームに雪玉を当てて全滅させるか、チームフラッグを奪えば勝ちという競技。国際大会ジュニアの部で優勝経験を持つ小中学生チーム「ウル虎ジュニア釜石」のメンバーがデモンストレーション。市民が白熱する競技を興味深そうに見つめた。

ひょっこり顔出し⁉防護壁にはりついて接近戦に挑む子ども


 体験では、お手玉のような室内競技用の専用球を使った。初体験の菅原一慧君(釜石小1年)は「ボールを投げるのが楽しかった。またやってみたい」と面白さを体感。チームメンバーの髙木琉之介君(双葉小3年)は「試合で勝つのが楽しい。仲間が増えたらうれしい。一緒にやろう」と誘っていた。

 釜石芸文協の河東眞澄会長は「多様な体験をきっかけに興味、面白いものを発見してもらえたら。それが趣味になり、生きがい、仲間づくりにつながればいい」と期待した。

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