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ワルシャワ国立フィルと共演! 牛田智大(ピアノ)インタビュー

SPICE

(C)Ariga Terasawa

昨年(2024)秋に展開した室内楽プロジェクトでショパンのピアノ協奏曲2曲を六重奏で披露した牛田智大。
その演奏が評価されて日本ショパン協会賞を受賞し、ショパンのピアノ協奏曲の演奏において、今もっとも注目を集めるピアニストだろう。
その牛田が、来る8~9月に、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の日本ツアーでショパンのピアノ協奏曲第1番を披露する。

8~9月、来日するワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団とショパンのピアノ協奏曲第1番で共演する牛田智大。同楽団は、5年に一度開催されるショパン国際ピアノコンクールで最終審査の演奏を担い続け、世界で最もショパンを理解しているオーケストラ。牛田自身も、現在ワルシャワのショパン音楽大学に籍を置き、作曲家の祖国ポーランドの空気を吸いながらあらためてその作品と向き合っている。

「ワルシャワ国立フィルはワルシャワでもよく聴きに行きます」

いい意味でオールドスタイル。古き良き時代の香りがするオーケストラだという。

(C)Grzegorz Mart

「現代的でスマートというよりは、時間をゆったりとって、音楽の中にある要素をひとつひとつ踏みしめていくような、人間味のあるオーケストラなんです。弦楽器がすごく魅力的で、弦の呼吸がすごく広くて深い。息の長いフレージングと、すすり泣くようなシルバートーンの甘い音色が魅力です」

同オーケストラとはすでに2016年にも、同じショパンの協奏曲第1番で共演している(指揮:ヤツェク・カスプシク)。

「すごく弾きやすかったです。呼吸が広いので、ソリストがすごく自由になれるんです。今回の指揮者アンナ・スウコフスカ–ミゴンさんとはまだ面識がないのですが、指揮をしている映像をいくつか拝見して、すごく面白い、クリエイティヴなアイディアをいろいろ持っている方だなという印象なので楽しみです。ショパン音楽大学を出た方なので、親近感もあります」

(C)Grzegorz Mart

2022年10月からポーランドと日本を行き来して、ショパン音楽大学でレッスンを受けている。

「基本的には、1年の約半分、春から夏をワルシャワで過ごして勉強に集中して、秋から冬は日本で仕事をするという感じです。
ポーランドという国の雰囲気なのかもしれませんが。すごくのんびりした環境で、向こうで勉強していると肩の力が抜けて自由に音楽に向き合えるように感じます。時間をゆったりと、大胆に自由に使えるので、いろんなアィディアが出てくる。向こうで集中的に勉強する期間が自分の活動の大事な糧になっています」

ワルシャワで学ぶことを選んだのは、ポーランドを代表するピアニストのピオトル・パレチニに師事するため。ショパン・コンクールをはじめ、数々の国際コンクールで審査員を務める名伯楽だ。

「最初に先生に出会ったのは、まだ9歳の頃なんです。日本で定期的にレッスンをしていただいて、私の音楽家としての核みたいなものを最初に育んでくださったのはパレチニ先生でした。初めて会った頃に、『もっと静寂を大切にしなさい』と言われました。ピアノを勉強していると、力強く、もっと音量を上げなければという呪縛にとらわれることが結構多いんです。でもそうじゃなくて、静寂を大事にしなさいと。そういう発想の転換を与えてくださった先生です。私もそのあとロシアの先生に習うようになったので、スケールの大きいパワフルな弾き方を勉強する期間が長かったんですけれども、もう一度原点に戻って、パレチニ先生のところで静寂に向かう音楽を磨き直すのはいいんじゃないかなと思って、先生のクラスを選びました」

さる5月には第19回ショパン国際ピアノ・コンクール本大会(10月)の出場者が発表され、「ショパン」への関心が高まっている。ワルシャワが湧きたつよりも先に、ここ日本で、注目の演奏を聴くことができる。牛田とワルシャワ・フィルが互いに深く呼吸を交わしながら紡ぐショパンの協奏曲に耳を傾けたい。聴き逃せない公演だ。

取材・文=宮本明

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