癒やされる木工芸 繊細なウッドバーニング 名張の吉住さん
夫婦二人三脚
電熱ペンなどで木を焦がして絵や模様を描く技法「ウッドバーニング」。三重県名張市桔梗が丘5番町の吉住博光さんが「和趣」の屋号で制作する、精巧な作品の可愛らしい表情や形が「見ているだけで癒やされる」と人気を呼んでいる。
40年ほど前に同市へ転入し、陶芸家として活動してきたが、10年ほど前に負ったけがが原因で活動を休止。ただ、「ものづくりへの願望」は捨てられず、自分で自宅をリフォームする中、フェンスなど作っているうちに金属が好きになってきたそう。それから、処分する空調機の配線などを利用して帽子かけやトイレットペーパーホルダーなどのワイヤーアート作品を作り始めた。
また、子ども用に木材の廃材で、さやまでついた本格的な木刀などの作品も制作。その際に模様を入れたのが「ウッドバーニングの始まりだったのかな」と振り返る。
家中に作品があふれ返っていた2年半前、イベント出展への誘いを機に、これまで制作したワイヤーアートやウッドバーニングの作品を初出展した。
素材は、廃材を利用したり、購入したりとさまざまで、頭の中に思いついたデザインで制作。コロナ禍などの経験から、「楽しい、面白いと感じてもらえるものを届けたい」との思いがあるそう。
「ふふっと笑ってもらえるような明るいデザインを意識している」と話すのは、マネジメントを担当するなど二人三脚で創作活動を支える妻の三喜子さん。可愛らしい絵や形は家族で案を出し合って決めているそうだ。
愛猫をモデルにした「おひな様」、猫や金太郎のオブジェ、剣など、全ての作品が細かい作業で丁寧に作られており、どれも人柄を表わすような愛嬌ある表情だ。「少しでもウッドバーニングを知ってもらえたらうれしい」と吉住さん。
7月6日に伊賀市文化会館(同市西明寺)で開かれる「キレイアートフェスタ」への出展を予定しており、「これからも夫婦でともに制作、出展していきたい」とほほ笑んだ。