難関校合格ママが厳選! 【中学受験】「地理」「歴史」社会科に強くなる学習漫画3選
教育ジャーナリスト・佐野倫子さんが厳選。中学受験に有利になる学習漫画「理科」編3選。『はたらく細胞』『昆虫世界のサバイバル』『医学のひみつ』(全2回の1回目)。
【中学受験】の「理科」に効く学習漫画 3選を見る中学受験に向けて、子どものやる気が上がらない……。伴走(サポート)している保護者の方はモヤモヤしますよね。「そういうときにぜひ活用してほしいのが、漫画です!」とは、教育ジャーナリストの佐野倫子さん。
佐野さんご自身も、長男くんの中学受験勉強の際に、漫画の力を大いに借りたと言います。
そこで佐野さんに、これから中受に本格的に取り組む小学校低学年~中学年の子が、楽しく学べる「理科」の漫画を厳選。解説してもらいました。
「漫画」が受験勉強を楽にしてくれる!
「中学受験」というのは、受験の世界のなかでもかなり特殊です。大学受験だとある程度基礎がある状態で暗記をしたり、知識を増やすことをしますが、中学受験は「0(ゼロ)」を「1(イチ)」にする受験です。
なぜなら受験するのは12歳の小学生。学習の基礎があまりないところから4科目分を積み上げなければなりませんから、子どもの負荷は相当高くなってしまいます。だからこそ、漫画の力を借りて、子どもの負担を減らし、やる気が上がる作戦を取りましょう。
漫画から得た知識で「あぁ、あれか」と思えるだけでも、その科目にポジティブに取り組むことができますし、少しの知識だとしても「これは知っている」が積み重なれば、受験勉強がずいぶん楽になると思います。
勉強とうまく連動させて、漫画を知識を入れる一助にしましょう!
1.『はたらく細胞』
『はたらく細胞』著:清水茜(講談社)
【作品紹介】
人間の体内では約37兆個の細胞が息づき、それぞれの役割を果たしている。体内にウイルスや細菌が侵入したとき、身体の中でどんな攻防が繰り広げられているのか。白血球と赤血球をはじめ、さまざまな細胞の奮闘と活躍を描く。
【おすすめポイント】
『はたらく細胞』の画期的なところは、体内の細胞や細菌が擬人化されており、キャラクターごとに性格があるので、子どもはアニメを観ているような感覚で作品を読み進めることができます。
身体に関する情報が“物語仕立て”になっているというのは、大きなポイント。体の中は自分の目で見ることができないので、暗記が苦手な子にとっては、“見えない”ものを暗記するというのが非常に苦行なのです。ですからキャラクターの世界に没入することで、自然と身体の仕組みが理解できるようになるこの作品のつくりは、本当にすごいんです! うちの子も暗記が苦手で、この漫画にはずいぶん助けてもらいました。
ちなみに私が『はたらく細胞』と出会ったのは、5~6年前。情報の早いママたちの間で「この漫画はすごい! 勉強になるし子どもがすごく読む!」と話題になりましたね。
2.『科学漫画サバイバルシリーズ』
『昆虫世界のサバイバル1【改訂版】』著:洪在徹、イラスト:もとじろう、監修:小野展嗣(朝日新聞出版社)
【作品紹介】
次々と襲い掛かってくるピンチに、子どもたちが勇気と知恵で立ち向かっていくシリーズ。生き物や人体、宇宙、地球、自然災害など科学にまつわるさまざまなテーマが取り上げられており、スリリングなストーリーと共に、事象への理解が深まる。
【おすすめポイント】
科学漫画サバイバルシリーズは、韓国で生まれ、翻訳されて世界中で読まれています。作者の方が、大学で生物学をやっていてかつ編集者というハイブリッドの方。作品にエンタメ性があるのがヒットした理由かと思います。
『昆虫世界のサバイバル』は、登場人物たちが小さくなって“昆虫世界”の世界に入り込んでいく視点で描かれています。低学年の子どもも没入しやすく、昆虫が食べているシーンなどで、「この昆虫の口はこんなふうになっているのか」と、目で見て分かる。まるで映像を見るように昆虫の世界を覗けるんです。
中学受験の理科は、科学や生物、物理、地学と4つの分野から出題されます。苦手なジャンルを勉強だけで埋めていくのは、子どもにとってかなり大変な作業。ですから、お子さんが苦手なところや、知識が薄いなと感じるジャンルを、このサバイバルシリーズでフォローしましょう。
理科は大まかな流れを理解していることが強みになる科目ですから、このシリーズを子どもがいつでも手に取って読めるところに並べておいてあげるという環境づくりをお勧めします!
3.『新ひみつシリーズ 医学のひみつ』
『学研まんが 新ひみつ 医学のひみつ』監修:茨木保、まんが:ぬえりつき(Gakken)※電子書籍のみ
【作品紹介】
小学生向けに、子どもが身近で疑問に思ったり、興味をもったりすることの多いさまざまなテーマを、漫画で分かりやすく解説し理解を深める。『○○のひみつ』というタイトルから、“ひみつシリーズ”の愛称で長く子どもたちに親しまれている。
【おすすめポイント】
1972年から刊行されている学研のひみつシリーズ。今は「新ひみつシリーズ」となり、全15冊あります。ひとつひとつの話がコンパクトにまとめられているので、低学年でも飽きずに読み進めることができます。学校の図書館に揃っていることが多いので、読んだことのあるご家庭も多いかと思います。
なかでもわたしのイチ押しは『医学のひみつ』。ヒポクラテスに始まり、ジェンナーやコッホなど医学分野において重要な人物のことが数ページずつ描かれています。
また、『医学のひみつ』は伝記仕立てなので文字量も多く、しっかりした内容。一冊を通して医学がどのように発展してきたかということを社会的・国語的にも学ぶことができます。
内容は重くてもかわいらしい絵の力で引き込んでくれるので、最後まで楽しみながら読み切れるかと思います。読書が苦手なお子さんにもぜひトライしてもらいたいですね。
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楽しく読み進めながら、自然とさまざまな知識も頭に入ってくる漫画。ぜひ日々の勉強に取り入れてみてくださいね。
次回2回目では、社会科のおすすめ学習漫画を、引き続き佐野さんに紹介していただきます。お楽しみに!
取材・文/木下千寿