Yahoo! JAPAN

山口市出身のオペラ歌手・山中志月さん 地元の人たちに歌声を披露

サンデー山口

山中志月さん

 山口市出身のオペラ歌手・山中志月さんがこのほど帰山。その歌声を、地元の人たちに披露した。

 

 山中さんは、1994年9月山口市吉敷生まれ。吉敷幼稚園、良城小学校、鴻南中学校、山口中央高校から、2013年に東京芸術大学音楽学部声楽科へと進学した。

 

 彼が音楽に興味を持ち始めたのは小学4年生の頃。ドラムやラテンパーカッションに興味を持ち、習い始めた。そして、中学校の吹奏楽部ではパーカッション、高校のオーケストラ部ではコントラバスを担当した。

 

 歌を始めたきっかけは、小学5年生の時に良城小に誕生した合唱団に入ったこと。「声が大きいから」との理由で勧誘されたという。同合唱団は、結成からわずか100日余りでNHK全国学校音楽コンクール中国ブロックへの出場を果たし、翌2006年には同大会で第1位の金賞に。続いて出場した全国大会では銀賞に輝いた。中学2年生からは声楽家のモチェオ久美氏に師事し、本格的に声楽を勉強。その結果、独唱部門への出場を小学5年生から続けていた山口県学生音楽コンクールで、高校3年生時に大賞を受賞した。

 

 2017年の東京芸大卒業後、本格的に歌手活動を開始。北とぴあ国際音楽祭(東京都)、セイジ・オザワ松本フェスティバル(長野県松本市)、東京・春・音楽祭等のオペラ公演に出演。また、「メサイア」(ヘンデル)や「クリスマス・オラトリオ」(バッハ)など宗教的作品のソリストとしての活動も多い。さらに、古楽アンサンブル「エクス・ノーヴォ」のメンバーでもあり、2022年11月の舞台「魂と肉体の劇」(カヴァリエーリ)で「肉体」役を演じるなど、さまざまな公演に参加している。

 

 そして、プロのオペラ歌手を養成する機関・二期会オペラ研修所にも、東京芸大卒業とともに入所。2020年に優秀賞で修了し、同会会員になった。2023年7月には、二期会創立70周年記念公演「椿姫」のジュゼッペ役として、二期会本公演にもデビューした。

 

 山中さんは、6月5日から10日まで、山口市に滞在した。

 

 6日夕方には、湯田温泉のユウベルホテル松政での「イブニングコンサート」に出演。これは、山口高校66期生(1960年卒業)の70回目となる同窓会に合わせて企画されたもの。80歳の傘寿(さんじゅ)を3年前に迎えた彼らの「最後の同窓会」で「記念に歌ってもらおう」と、メンバーの酒井輝昭さんが中心となり山中さんを招いた。そして「せっかくの機会なので、われわれ以外の人にもその歌声を聞いてもらおう」と、地元で音楽に親しんでいる人たちなど、約70人を招待した。

 

 会場の約110人を前に山中さんは、軽妙なトークをはさみつつ「カタリ・カタリ」(カルディッロ作曲)、映画「ノッティングヒルの恋人」主題歌「She」(シャルル・アズナブール)、「小さな空」(武満徹)、オペレッタ「微笑みの国」より「君こそわが心のすべて」(レハール)を、山城麻衣さんのピアノ伴奏で歌唱。アンコールでは、イタリア・ナポリ民謡「オー・ソレ・ミオ」を、客席の通路を歩きながら披露した。

 

 トークでは、山口や東京での自身の遍歴や近況を報告するとともに、オペラ歌手・テノール歌手としての活動は「他者の演奏を聞いていても、命を削りながら生身で出す声は本当にすごいと思う。決して敷居は高くないので、オペラなど生の演奏に触れて、文化芸術を楽しんでいただけたら」と呼びかけた。

 

 そして9日昼には、かめ福オンプレイスで開かれた末永法律事務所(山口市駅通り)の「法曹60周年記念祝賀会」にも、ピアノの山城さんとともに出演。参加した約250人に、その歌声を披露した。

 

 今後について山中さんは「30代でも若手、40代で中堅と呼ばれるオペラ歌手の世界で、今年30歳になるわたしはまだまだ駆け出しにすぎない。まずは、自分自身が人生を通して音楽家・歌手でいられることが今後の目標。誠実に作品や作曲家に向き合いつつ、それを現代的な感性で実演していきたい」と話している。

おすすめの記事