ヒトの身体はすでに分析が完了してる?よく聞くゲノムとは?【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】
よく聞くゲノムって何?
すべての遺伝情報の総称がゲノム
遺伝に関するニュースなどで「ゲノム」という言葉をよく耳にすると思います。ゲノムは遺伝子を意味する「gene(ジーン)」と、集合という意味の「ome(オーム)」を合わせた言葉で「その生物が持っている、すべての遺伝情報」を指します。DNAの構成は生物によって異なるので、イネのゲノムはイネゲノム、大腸菌のゲノムは大腸菌ゲノム、ヒトのゲノムはヒトゲノムと呼びます。
細胞が分裂する際、核の中のDNAはコンパクトに折りたたまれて棒状の物体に変化します。これが「染色体」と呼ばれるものです。私たちは母親と父親から染色体を23本ずつ受け継いでいて(詳しくは20ページを参照)、各細胞に23対46本の染色体を持っています。ヒトの細胞内におさめられている、これらすべての染色体に書き込まれている遺伝情報(DNAの塩基の配列)がヒトゲノムです。
ゲノムを調べれば、私たちの体がどのようにつくられ、遺伝子がどのようにはたらいているか知ることができます。そこで、1990年より、ヒトが持つ約30億対の塩基を解読する「ヒトゲノムプロジェクト」が開始。2022年に解読の完全な完了が発表されました。これらの情報をもとに、私たちに恩恵をもたらすさまざまな研究が日々行われています。
ゲノム、DNA、染色体の関係
細胞の中のDNAはほどけたヒモのような形をしていますが、細胞分裂を始めると「染色体」と呼ばれる棒状の物体になります。これらの染色体に記録されている、すべての遺伝情報のことを「ゲノム」といいます。
細胞内のヒトの染色体の数は23対46本
細胞の中のDNAはほどけたヒモのような形をしていますが、細胞分裂を始めると「染色体」と呼ばれる棒状の物体になります。これらの染色体に記録されている、すべての遺伝情報のことを「ゲノム」といいます。ヒトが持つ46本の染色体のうち44本は「常染色体」といいます。残る2本は男性と女性で異なるため「性染色体」と呼ばれていてX染色体を2本持つXX型だと女性、XとY染色体を1本ずつ持つXY型だと男性になります。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康