中村勘三郎、坂東玉三郎によるハッピーな恋物語 シネマ歌舞伎『鰯賣戀曳網』をテレビ初放送
CS放送「衛星劇場」にて、2021年6月に公開されたシネマ歌舞伎『鰯賣戀曳網』を2024年11月16日(土)にテレビ初放送することが発表された。
『鰯賣戀曳網』は稀代の作家・三島由紀夫が『地獄変』に続き、二作目に手がけた歌舞伎作品。三島が手掛けた全6作品のうち、唯一、三島自ら企画を持ち込んだ作品で昭和29年11月に十七世中村勘三郎の鰯賣猿源氏と、六世中村歌右衛門による傾城蛍火で東京・歌舞伎座にて初演された。室町時代に成立した御伽草子の「猿源氏草子」などをベースに、歌舞伎の持つ様式美を活かしながら、古風で大らかな味わいをもった笑劇として執筆された本作は、他の三島歌舞伎作品とは異なり、幸福に向かって進んでいく男女二人の恋物だ。
本公演では、猿源氏を十八世中村勘三郎が、蛍火を坂東玉三郎が演じた。この二人による『鰯賣戀曳網』は、平成元年11月の歌舞伎座での「勘九郎の会」公演を最初として、十八代目中村勘三郎襲名披露公演など、繰り返し上演されてきた。互いに身分を偽って、想いがすれ違いながらも、運命の恋の糸を手繰り寄せる二人。勘三郎と玉三郎が醸し出す愛嬌と ファンタジックな要素が混ざり合って、三島由紀夫が意図した通りの大らかで和やかな笑いが観客を幸せな結末へと導く。
最高にハッピーなエンディングで劇場を和やかな笑いで包み込んだ名舞台が十二年の時を経て、シネマ歌舞伎として全国の映画館にて公開された。今回の放送では、坂東玉三郎の特別インタビュー映像も収録。息の合った掛け合いから愛嬌溢れる花道の引っ込みまで珠玉の舞台を楽しもう。
なお、片岡仁左衛門、坂東玉三郎が出演した『桜姫東文章』なども放送される。