中洲なのに大人数でも、少人数でもお手頃価格で楽しめる居酒屋
中洲の那珂川から1本裏路地に入ったところにあるビルの階段を上がるとこの店はある。
「デビさん、久しぶりですね。この前、お友達の方が来られましたよ」
「おお、そうでしたか。ずっと通い続けてくれるのは嬉しいですね」
ずいぶん久しぶりなのに店主の花田健一さんと女将のふさ子さんが快く迎えてくれた。
お2人はご夫婦で、健一さんが20歳の時に中洲で出会い、26歳の時に結婚したので、今年で出会って36年になるらしい。36年間ほとんど一緒に働いているのに、とても仲が良さそうだ。
店主の健一さんは福岡出身で、学校を卒業してから昼は美容師、夜はカラオケバーやパブで働いていた。この時から接客が得意だったため、サービス業を天職だと思ったようだ。
将来の事を考えるようになったのを機に26歳で結婚した。それから焼鳥店や和食店で修業し、2001年に「ごっそう道楽」をオープン。健一さんが32歳の時だった。オープン当時は炉端焼きの店だったらしいが、しばらくして大皿料理の店になったり、いろいろ試行錯誤して現在のスタイルに落ち着いた。ふさ子さんは経験を積むために、別の居酒屋で働いていたが、この店をオープンする時に一緒に合流して女将となった。
この店には、20年くらい前に友人が連れてきてくれたのだが、当時は板ウニがお通しで出てきたことに衝撃を受けたのを覚えている。しかも中洲なのにお手頃価格だったので、大人数でも少人数でも重宝した。
今でこそ、海鮮が安くて美味しい店はたくさんあるが、当時はそんな店は少なくて、穴場的な感じだったので、県外から友人が来た時にもお世話になったし、みんな喜んでくれた。
2009年には「花や」という焼鳥店を1階にオープンするなど勢いがあったが、2019年ごろのコロナ禍前くらいに、人の問題で閉店したそうだ。飲食店に限らず人の問題はどこの会社でも大変だ。
ここに来たらはやり「刺身盛合せ」(2人前1848円~)は外せない。だいたい6種類の刺身が入っているようだが、今回は板ウニも追加してもらった。魚市場にツテがあるので、新鮮なものを安く仕入れることができるらしい。
病みつきになる「ごぼうの唐揚」(638円)は当初は半分の大きさで、大皿料理として提供していたそうだが、途中からワイングラスに入れてみたそうだ。私が来た頃にはもうワイングラスになっていたと思う。ごぼうに魔法の粉がかかっているので中毒性があるよ。
フワフワの「山芋鉄板(エビ入)」(968円)には以前、エビは入っていなかったが、ここ数年で入れてみたらしい。これはアクセントになって良いね。
コロナ禍の終わりごろからメニュー化した「ごっそうサルサピザ」(880円)は、コロナ禍で暇だったので考えたメニューだそう。ピリッとするサルサソースがかかっているが、伸びるチーズとの相性が良い。
新しいメニューを考えるのが好きな健一さんだが、失敗もあるらしく、バナナを豚バラで巻いたバナナ豚バラは、焼いた時にバナナが溶けて大変だったようだ。
また、最近メニュー化されたという「ざるラーメン」(638円)はどこかで見たような気もするが、めんつゆにごま油がはいった中華風というのは珍しい。これは思わずシメに食べてしまうね。
いろいろとお世話になった「ごっそう道楽」だが、残念ながら今年いっぱいで立ち退きになるらしいので、その前にまた行かないかんね。移転先は同じ中洲周辺を考えているらしい。
ごっそう道楽
福岡市博多区中洲4-6-26
092-262-3433
デビ高橋
福岡グルメや福岡ランチを紹介しているブログ「デビログ」を運営。「お肉博士1級」の資格も持ち、グルメ関連のキュレーター・講師・審査員を務めたり、福岡のテレビ・ラジオで活躍中。著書は「15年間毎日外食して、1万軒を食べ歩いた『デビログ』が見つけた福岡グルメの答え全100店」(KADOKAWA)。インスタID:devi_takahashi