元教諭らの市民団体 「先生を増やして」 深刻な現状訴え 署名活動へ
「先生を増やして」「未配置ゼロを」--。市民団体「相模原の子どもと教育を考える会」(篠崎修代表)が、教員不足の解消と教員定数の増加を求める署名活動の準備を進めている。2月9日にはスタートアップ集会を市民会館で開き、現役教諭や保護者らも参加し、教員不足の深刻な現状を訴えた。
同会は2018年、市内の小・中学校の元教諭らによって発足。21年には公立小学校の1クラスの人数上限を「40人以下」から「35人以下」へ引き下げる少人数学級の早期実現を求める活動を行い、3324人分の署名を本村賢太郎市長に提出した。
同会が今回訴えているのは、相模原市の教員不足の深刻な現状。担任の教員が産休・育休を取得したり、病気で休んだりした場合に臨時の教員が見つからない状態、いわゆる「未配置」状態になっているのが市立小学校で7人、中学校で5人になっているという。
市教職員人事課や市議会答弁によると、昨年9月1日時点で年度途中退職者や育児休業取得者等が229人で、そのうち187人分について常勤代替教諭や任期付き職員を配置し、残り42人分は非常勤講師30人を任用しているが、12人が欠員になっているという。
募集しても来ない
今回の集会には同会のメンバーのほか、小中学校の現役教諭や高校の教員、保護者、学生ら62人が参加した。
参加者のひとり、市内の小学校の教諭は「以前いた学校では担任4人が休職となった。臨時的任用職員が入らなければいけないが、その年は臨人者の登録が足りておらず1人もこなかった。その結果、少なくない教員に負担が増える。教務や副校長が対応せざるを得ない状況になる」などと事態を説明し、「働き方の改善と待遇の改善は切実。教育にお金を使ってほしい」と訴えた。
また中学校教諭は「新卒者が4月から赴任すると決まっていたが突然キャンセルになり、代わりの教員を確保できずしばらくの間、混乱が続いた学校があると聞いたこともある」と話した。
私立高校の教員は「定員不足と大変さは公立学校と変わりない。2人休職者がいる。復職を想定して期限付きで募集しているが、1人も来ない」と教員不足の厳しい現状を訴えた。
同会ではこれから、署名活動を開始し、市議会や市議会議長あてに提出したい考え。
篠崎代表は「単なる数字の列挙だけでは、教師の未配置が現場の教師と子どもにとってどれほど深刻なものであるのか伝わらない。今回の集会はひとりでも多くの市民、保護者に実態を知ってもらい、多くの署名をいただきながらこの声を大きくしていきたいと、改めて決意を固め合う機会になった」と話している。