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近5年の平均FA宣言者数は「6.2」 珍しくなくなった“宣言残留”、今年のカギは「ソフトバンク」と「捕手」?

SPAIA

2024年オフ・FA市場の注目選手,ⒸSPAIA

今年は111名が有資格選手として公示

日本シリーズが終わり、プロ野球界は本格的なオフシーズンの到来を迎えた。11月5日からはフリーエージェント(FA)権の行使期間もスタート。11月13日まで、選手たちの動向から目が離せない日々が続く。

今年は国内・海外あわせて総勢111名がフリーエージェント有資格選手として公示を受けた(※今季限りで現役引退の選手も含む)。このうち新たにFA権を取得した選手は国内が24名、海外7名の計31名。果たしてここから何名が権利の行使を宣言するのか。ここでは近5年の有資格者数と宣言者数を見ながら、直近のFA戦士たちの動向を振り返ってみたい。


2019年は近5年で最少となる90名(国内35:海外55)に有資格者数が留まったなか、6名(国内5:海外1)がFA権の行使を宣言。このうち十亀剣(西武)と則本昂大(楽天)は宣言をしたうえで元の所属球団と契約を結ぶ、いわゆる“宣言残留”という結末を迎えた。

一方で美馬学は楽天からロッテへ移籍。そのロッテはソフトバンクから福田秀平も獲得するなど活発な動きを見せたが、チームの中心だった鈴木大地が楽天へと移籍している。

この年唯一海外FA権を行使した西武の秋山翔吾はシンシナティ・レッズと契約を結び、メジャー挑戦の夢を叶えた。MLBでは2年間で通算142試合に出場。2022年のシーズン途中に広島と契約を結んでNPBに復帰した。

2020年は前年を上回る7名(国内6:海外1)がFA権の行使を宣言したが、熊代聖人と増田達至(ともに西武)、松永昂大(ロッテ)と小川泰弘(ヤクルト)の4名は“宣言残留”で移籍はせず。井納翔一と梶谷隆幸の2名が揃ってDeNAから巨人へと移った。

また、この年は電撃トレードで巨人からロッテに移籍した澤村拓一が移籍先で海外FA権を手にし、そのオフに権利の行使を宣言。ボストン・レッドソックスと契約を結んだ。MLBでは2年間で通算104試合に登板。その後、2023年の春季キャンプ直前にロッテに復帰している。

宣言者わずか3名の年も

2021年は計97名(国内40:海外57)が有資格者として公示されていたなか、FA宣言をしたのはわずかに3名(国内2:海外1)。しかも岡田雅利(西武)と大和(DeNA)は“宣言残留”となり、この年は又吉克樹が中日からソフトバンクに移籍したのが唯一の異動となった。

静かな秋冬を経て、2022年は近5年で最多となる8名(国内5:海外3)がFA権の行使を宣言した。この年は外崎修汰(西武)と岩崎優(阪神)が国内FA権を行使したうえでチームに残留。西勇輝(阪神)も海外FA権を行使したうえで引き続き阪神でプレーすることを決断した。

この年のFA戦線で特に目立ったのがソフトバンクで、DeNAから嶺井博希と日本ハムから近藤健介の獲得に成功。その一方で、エース・千賀滉大が海外FA権を行使してメジャー挑戦に乗り出し、ニューヨーク・メッツへと移籍している。

また、この秋は上記の嶺井も含めて捕手の異動が活発だった。伏見寅威がオリックスから日本ハムへ移ると、オリックスは西武から森友哉を獲得。森は新天地で110試合に出場し、チームの3連覇に貢献。2年ぶりにパ・リーグ捕手部門のベストナインも受賞した。

そして昨年のオフは計7名(国内5:海外2)がFA宣言。このうち石田健大(DeNA)と平井克典(西武)、田村龍弘(ロッテ)の3名は残留を決断。かつては異例とされ、そもそも「宣言残留は認めていない」という球団も珍しくなかったが、ここ5年では当たり前の光景となっている。

前年の千賀に続いて、この年は松井裕樹が楽天から海外FA権の行使を宣言。サンディエゴ・パドレスと契約を結び、1年目からポストシーズンで登板を果たすなど活躍を見せた。

国内では、リーグ3連覇を達成したオリックスから左腕の山﨑福也が日本ハムに移籍。前年の伏見に続く2年連続のオリックス→日本ハムのFA移籍となり、北の大地で“さちとらバッテリー”の再結成が実現。チームの2位躍進に大きく貢献している。

山﨑福也が抜けたオリックスは広島から西川龍馬を獲得するも、チーム全体で貧打に苦しみリーグ4連覇はならず。代わって王座に就いたのが、西武から山川穂高を獲得したソフトバンクだった。

2022年のオフに獲得した近藤が首位打者に輝き、2023年のオフに獲得した山川が本塁打と打点の二冠を達成。直近のFA補強がピタリとハマり、2位に13.5ゲーム差をつける圧勝劇で4年ぶりのリーグ制覇を達成したが、日本シリーズではセ・リーグ3位から勝ち上がったDeNAの勢いに飲み込まれた。

今年のカギは「ソフトバンク」と「捕手」

こうした流れを経て、迎えた2024年のストーブリーグ。FA有資格者数111名は過去5年と比較しても最多で、すでに大山悠輔(阪神)や佐野恵太(DeNA)といった大物選手の動向、コメントが大きな注目を集めている。

なかでも気になるのが、パ・リーグ王者ソフトバンクの動き。今季は上述したように近藤や山川といったFA組の活躍もあってリーグ制覇を成し遂げるも、日本シリーズでは悔しい敗北を喫した。日本一奪還に向けて戦力を整えていかなければならないなかで、まず着手しなければならないのが“流出回避”である。

チームでは甲斐拓也、有原航平、牧原大成、石川柊太の4名が今季新たに国内FA権を取得。特に扇の要である甲斐には複数球団からの興味が伝えられており、もしFA宣言となれば争奪戦となることが確実だ。

加えて、この秋は甲斐のほかにも捕手の有資格者が多くいる点もFA戦線の大きなポイントとなりそう。2022年のオフも3名の捕手がFAで移籍をしているように、ポジションがひとつしかなく育成が難しい捕手は必然的に市場価値も高くなる。

そこであらためて今年の有資格者を見てみると、甲斐のほかにも大城卓三(巨人)や坂本誠志郎(阪神)、木下拓哉(中日)といった経験豊富な捕手が国内FA権を手にしている。もしいずれかの選手に動きが見られれば、玉突き状態で他の選手の動向に影響が出てくる可能性もあるだけに、彼らの動きは特に目が離せない。

果たして、今年のFA戦線はどんな結末を迎えるのか。最終的なFA宣言選手の公示は11月14日、交渉解禁は15日からとなる。
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記事:SPAIA編集部

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