ちとせ研究所 万博で「藻」の技術披露 日本館ファームエリア監修
現在開催中の大阪・関西万博で、藻類などの研究開発を行う(株)ちとせ研究所(本社・宮前区野川本町)が、日本館ファームエリアの技術監修を行っている。メイン展示に協力するほか、連携企業と共に藻類による循環型社会の未来像を描いた展示も公開している。
前身のネオ・モルガン研究所は2002年に設立。08年に「千年(ちとせ)」の交差点近くに本社を移し、「千年先まで続く豊かな世界の実現に貢献」すべく社名を「ちとせ」とした。グループメンバーは約400人。約15年前から藻類の可能性に着目し、かながわサイエンスパーク(KSP)など、国内外複数の拠点で研究開発を展開。20年には国の採択を受け、マレーシアで世界最大級(5ha)の藻類生産の実証実験を行い、現在は100haの新施設建設に取り組んでいる。
現地で培養
同社はこうした実績が評価され、万博で技術監修を担うことになった。日本館は「循環」がテーマ。3つのエリアのうち、ファームエリアは「藻類」が主役だ。メイン展示では、チューブの中に本物を入れて「いのちみなぎる藻のカーテン」を表現した。藻類のリアリティーにこだわり、現地でも光エネルギーを効率的に利用し、少量の水で育てられる独自装置「フォトバイオリアクター」を用いて培養。現地責任者の松崎巧実さんは「準備を始めた3月は寒暖差が激しかったので、藻類の培養に苦労した。展示に合わせて藻類の種類を変えている」と話す。期間中は、社員3人体制で運用に携わるという。
また、ファクトリーエリアでは、ちとせグループが主導し、他企業などと協働して藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」の展示も実施している。藻類は光合成を通じて太陽エネルギーを効率的に蓄え、多様な有機物を生み出すという。展示では、燃料や食品、化粧品などさまざまな素材への応用のヒントを示している。広報担当者は「『藻類の可能性が爆発的に広まったのは万博からだった』と語られる日が待ち遠しい」と期待を寄せている。