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DJI Mavic 4 pro レビュー後編 こんな圧倒的なハイダイナミックレンジ映像と表現力を見せられたら「もう、買う」しかない[Reviews]Vol.91

DRONE

2年ぶりのリニューアルとなったMavic 4 Proですが、発売日に購入した方はすでにお手元に届いている方も多いのではないでしょうか。レビュー後編となる今回は、実際にMavic 4 Proで空撮をしてきましたので、その所感をレポートしたいと思います。

Mavic 4 Proは機敏に、正確に、そして思い通りに飛行する

空撮レビュー場所として、岩盤が特徴的な海岸とつつじ群落が美しい山間部という異なる場所にて空撮をしてきました。つつじ群落はひとつの映像にまとめてみました。

編集はD-Logで撮影したものにDJI Mavic 4 Pro用LUTを当てて色の微調整をしたのみ。NDフィルターはなかったのでシャッタースピードで明るさを調整しながら撮影した

まず、Mavic 4 Proの飛行性能についてですが、Mavicシリーズ共通の滑らかかつ機動性の高さを感じました。滑らかに加速減速するのですが "もっさり"とした動きの鈍さはなく、思い通りに動かすことができるイメージです。

加えて、プロペラ音はMavic 3 Proよりも更に静かになっており、周囲に威圧感を与えることは少なくなっているのではないでしょうか。

また、最大水平速度自体も25m/s(90km/h)と歴代Mavicシリーズで最速となっており、飛行テスト時にもSモードを選択することでカタログスペック通り25m/sで飛行することができました。

驚いたのは、Sモードで速度を出しながら撮影をしていても画面のカクつきがほとんどないことです。これまではSモードだと過敏に加減速するので画面がカクつき気味になり、カクつきに注意しながら単純なワークで利用するか、移動時のみSモードを利用するか…というのがSモード利用の実情だったのですが、Mavic 4 ProではSモードで飛行しても通常のNモード飛行時と同じように空撮ができました。大きな被写体を遠距離から空撮するときなどに役立ちそうです。

海のような早回しのできない撮影環境ではジンバルが安定したSモードの撮影はとても役に立つ

Mavic 4 Proのハイダイナミックレンジ映像の鮮明さは一目瞭然

肝心のMavic 4 Proで撮影した映像についてですが、サンプル映像を見てもらったとおりパッと見で美しさを感じるレベルのクオリティです。特に幅広いダイナミックレンジの映像は、薄暗いところなどでは一世代しか差がないMavic 3 Proを遥かに凌駕しています。

同じ時間に同じような場所にて撮影したMavic 4 ProとMavic 3 Proの映像比較サンプル。薄暗い環境下でのMavic 4 Proの立体感ある表現に圧倒される

新機能のインフィニティジンバルもおもしろいですね。どのように使うかはアイデア次第…という感じですが、FPV機体のようにあえて傾けて飛ばしたように撮影したり、不安定さを演出する“ダッチアングル”として表現したり、いろいろ可能性がありそうです。

インフィニティジンバルは28mmだけでなく70mmでも168mmでも稼働できるので表現の幅が広がりそうだ

今回はMavic 4 Proクリエイターコンボをお借りしたので、「ALL-i(ALL-intra)」コーデックでの撮影もすることができました。Mavic 3 Proでは「Apple ProRes」コーデックの撮影もできたのでMavic 4 ProのALL-iコーデック収録には賛否あるようですが、その色編集耐性はYoutubeやSNSがメインの筆者の仕事環境では十分すぎるほどです。

映像ダウンロード

※同一のWayPointを利用して撮影した同じ画角の通常の映像とALL-iコーデック映像(D-Log)をダウンロードできます

クオリティが揃った中望遠・望遠レンズ

今回Mavic 4 Proをレビューしていて個人的にいちばん良かったのは、168mm望遠レンズカメラのセンサーサイズが大型化・高画質化し、70mm中望遠レンズカメラとともにD-Log収録が可能になったことです。Mavic 3 Proでは中望遠・望遠レンズカメラではD-Log収録ができず(D-Log Mは可能)、特に望遠レンズではセンサーサイズも小さく画質がイマイチでした。それがMavic 4 Proでは望遠レンズカメラの画質も向上、すべてのカメラでD-Log収録が可能になったので編集で色や画質を合わせやすくなりました。

Mavic 3 Proでは3つのレンズカメラで画質のばらつきが感じられたがMavic 4 Proでは違和感なく撮影・編集ができる

新型プロポRC Pro 2は最高の操作感

レビュー用に空撮をしていて思ったのですが、今回Mavic 4 Proに合わせて新登場となったRC Pro 2が思いのほか操作感がよく、モニターを見ながらの空撮もとてもやりやすく感じました。製品ラインナップにはDJI RC2付属の通常版Fly More Comboもありますが、RC Pro2イチ択なのではないか…と思えるほどです。

まず、高輝度大型モニターがなにより見やすい。サイズや輝度はもちろんのこと、せり上がったり角度を変えたりすることができるので、自分の操縦スタイルに合わせることができます。特に、プロポの上方に位置するのが操縦しながらモニターを見やすく感じました。

また、重量自体は旧RC Proよりも50gほど重いのですが、実際にRC Pro2を持って操縦した感覚では、旧RC Proよりもはるかに軽く感じるほどです。一回り大きくなった筐体や広くなったスティック間距離もとても操縦しやすく感じました。

もはやコレでいい…Mavic 4 Proはコンパクト高性能空撮機の決定版

レビュー用に空撮して感じたことは…「もう、買う」です。SNSやYoutube公開用動画、バラエティ番組撮影などをする筆者には決定版ではないかと思ったほどです。

一方、ワークフローの中にApple ProResを取り入れている方はその撮影ができるMavic 3 Proがしばらく手放せないかもしれません。加えて、NDフィルターがまだ市場には出回っておらず、今すぐ仕事に使うのは少し憚れるのも事実です。6月中旬頃までは10時間の飛行訓練とそれを踏まえての国土交通省への飛行許可承認申請を通して本格利用の準備をしておく…というところがリアルなところでしょうか。

とはいえ、今後数年はハイエンドコンパクト空撮機として君臨することは間違いなく、価格もMavic 3 Pro Premium コンボ(536,580円)よりもMavic 4 Pro クリエイターコンボ(497,860円)のほうが4万円ほど安くなっているとなれば買わないという選択肢はありません。空撮映像の表現のクオリティと幅を広げたいならば、迷わずMavic 4 Proクリエイターコンボを手に入れましょう!

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