唯一無二の馬券師・弥永明郎『伝授』第10回 障害レースについての見解を伝授
今週は重賞レースもあるし、障害レースについて俺なりの見解を話してみたいと思う。
俺はレースに区別を付けていないので、障害レースでも馬券を買いたい馬がいればもちろん買う。では、どうやって狙う馬を決めるのかをお伝えしよう。
障害レースの向き不向きは試験で判断する
その馬が持って生まれた才能なのかどうかはわからないが、明らかに最初の障害練習の段階でセンスがあるかないかいうのはわかる。割合としては、だいたい50頭くらいが障害試験を受けて、センスがあるなと見ていて思う馬は1頭くらいだけ。
飛越が酷いなと思う馬でもだいたい試験は合格するけど、そういう馬はジョッキーも怖くて最初のうちは様子を見ながら乗るので、勝ち負けになることは少ない。
障害試験でセンスがあるかどうか見極めるのは全く難しくないけど、一般の人は見られないから残念ながら判断することはできない。
平地のレースでは俺はパドックを重視しているが、障害に向くかというのはパドックではわからない。なぜかというと、飛びが良いかどうかパドックを周回しているだけでは判断できないからだ。
ただし、明らかに状態が良くないという馬は平地レースと同じでパドックで見つけることができる。
オジュウチョウサンでもラスト2走はパドックで良くないとわかった
いまだからこそ言えることだが、オジュウチョウサンが引退レースとなった22年中山大障害の前走に東京ハイジャンプを使った時にパドック見ていて、加齢(当時11歳)などにより、表現はふさわしくないかもしれないが、個人的には浦島太郎の物語にある、玉手箱を開けたらお爺さんに…というような感じがしたものだった。
そして、結果は9着。そんな状態だったので、新聞の印は次走の中山大障害でも無印にした。
そのくらいパドックで明らかにおかしいなというのはたまにいるので、パドックも見ておくのは決して無駄にはならない。
障害レースで大事なのは”着地”
障害のポイントは“飛越”と“着地”これに尽きる。飛越はジョッキーが障害を飛ぶところまで導くけど、飛ぶタイミングが障害物から近いか遠いというのを苦にしない馬の方が良い。
この飛越が最も大事という人もいるけど、俺はそれよりも着地のほうが大事だと思っている。スピードを落とさずに着地できるかというのがすごく重要で、それができるのが、冒頭でも言ったように50頭に1頭くらいしかいない。
一般のファンでも初戦でどういう着地をしているかしっかり見れば、その馬にセンスがあるかどうかわかる。だけど、漠然とレースだけ見ていたら永遠に知ることはできない。
ちなみに障害から平地に戻った馬は、障害の訓練をして腰が良くなるとか言う人がいるけど、それはあり得ない。
本当に効果があるのだったら、どの馬も障害の練習をするはずだ。たまたま昔に障害帰りのメジロパーマーとかテンジンショウグンが重賞で穴をあけたから、いまだにそう言われているだけに過ぎないので注意してほしい。
障害レースはそれほど難しいものではない
昔、障害の本紙予想をやっていた時は、自分でも当たっていたと思う。
手前味噌になるが、障害レースは昔から見ていればわかるところが多く、それほど難しくはない。3000~4000m走るわけだから障害の飛越が得意・不得意の差が明らかに出る。
最後に障害レースの馬券を買ううえでの注意事項を伝授しておく。
障害こそ競馬場によってコースが全然違うのに「障害レース」と一括りにする傾向がある。東京、中京、新潟のコースは障害レースでも真っ平だから、ほぼ落馬しない。一方で中山や福島などはアップダウンもあってトリッキーなコースなので、偶然性がかなりある。コースの特性を理解するのも、予想する上で大事なファクターだと思う。
弥永 明郎(やなが・あきお)
唯一無二の馬券師。デイリースポーツ「馬サブロー」の美浦取材班・看板記者。グリーンチャンネル中央競馬中継のパドック解説でもお馴染み。狙った穴馬は決して逃さない「競馬界のゴルゴ13」。業界歴は長く、騎手、厩舎関係者、馬主など人脈も幅広い。<!-- .c-authorbox__contents -->