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新宿駅のおすすめ待ち合わせ場所8スポット~とにかく座りたい、そんなあなたにおすすめの場所を求めて~

さんたつ

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「待ち合わせ」、それは情緒あふれる響きである。ところがスマホが浸透した現在、ひとは特に「待ち合わせ」をしなくても、なんとなく会えるようになってしまった。それでも駅に行けば、今日も多くの人たちが、誰かを待っている。皆はなぜ駅で待ち合わせるのだろう、そして駅のどこを目印にすれば相手に会えるのだろう。大規模な再開発事業が行われ、迷子になりそうな巨大駅・新宿駅で、おすすめ待ち合わせスポットを探っていきたい。

乗降客数世界一の新宿駅

いつ行っても多くの人でにぎわう新宿駅。それもそのはず、1日約270万人(2022年)と、日本一どころか世界一の乗降客数で、ギネス記録に認定されるほどの駅である。こんなに多くの人の中で待ち合わせをして、お目当ての人に出会えること自体が奇跡のように思えてしまう。

そもそも新宿駅には、ハチ公像のように待ち合わせ場所となるような目立ったモニュメントが少ない。西口地下に設置されている「新宿の目」あたりが思い浮かぶが、商業施設や映画館などから少し離れているため、結局のところは「小田急線の地上改札で」とか「JRの東口改札ね」といった約束になる。

1969年、「新宿スバルビル」地下に設置された「新宿の目」。現在「スバルビル」は解体されたが、この目は残されている。 都庁方面と新宿駅とを結ぶ通路にあるため人通りは多いが、ここを待ち合わせ場所にしている人はあまりいないようだ。

ところが、先に取り上げた渋谷駅同様、新宿駅周辺でも現在大規模な再開発事業が行われている。「小田急線の地上改札」は、小田急百貨店本館解体に伴い大きく様相を変え、「JRの東口改札」は東西自由通路の開通に伴い、移設されて「東改札」となった。

小田急線利用者はよく待ち合わせ場所としていた小田急線地上改札。現在工事中のためスペースが狭くなっており、待ち合わせ場所としてはちょっと落ち着かない。

改札での待ち合わせでさえ迷子になりそうなこの巨大駅・新宿で、どこで待ち合わせをすればよいのだろうか。

東西自由通路の巨大サイネージ【新宿ウォール456】(JR東改札・西改札)

これまでJR新宿駅の東口から西口に抜けるためには、改札を出て遠回りをする必要があった。ところが再開発に伴い2020年に東西自由通路ができたことで、その行き来がとてもスムーズになったことはうれしい。

この自由通路の壁を覆うのが、全長45.6mという巨大デジタルサイネージ「新宿ウォール456」である。このビジョンの前で待ち合わせをすれば、まず迷うことはないだろう。

JRの東改札・西改札を出るとまず目に入る巨大なビジョン「新宿ウォール456」。歩きながら広告の世界を体感できる。

ただ45.6mもあるため、東側・西側どちらで待ち合わせをするかを決めておくべきなのと、ビジョンを背にして待つ側が若干まぶしいといった課題は残る。

金色のライオン像【みらいおん】と昔日に思いを馳せる【馬水槽】(JR東口地上)

東口の階段を上って地上に出る。目の前には「アルタ前」として知られる有名な待ち合わせ場所、大型ビジョンを備えた「新宿アルタ」がある、はずだったが……。2025年2月、惜しまれながら営業を終了し、3月現在では解体工事が始まっている。

『笑っていいとも!』の収録が行われた「スタジオアルタ」が入っていた「新宿アルタ」。2025年3月現在、解体工事が進んでいる。「アルタ前」という言葉もそのうち使われなくなるのだろうか。

では代わりに、近くにある大型ビジョン「クロス新宿ビジョン」に映し出される巨大三毛猫「新宿東口の猫」を新たな待ち合わせ場所とするのはどうだろう。

「新宿東口の猫」。しばらく眺めていると登場するが、ビルの真下を待ち合わせ場所にしてしまうと肝心の猫が見えないというジレンマに陥る。

動きが愛らしく人気ではあるのだが、残念なことに登場する時間が限られており、「行ってみたら猫がいなかった」ということになると、待ち合わせ場所としては難しいだろうか。

一番現実的な待ち合わせ場所は、金色に輝くライオン像「みらいおん」だろうか。

東京新宿ライオンズクラブにより設置された「みらいおん」像。金色で目立つので、待ち合わせに利用する人も多い。

このみらいおん、口にお金を投入すると吠えてお礼を言ってくれるので、人を待つ間に募金を行うのも一興である。

歴史好きの人であれば、あえて「みらいおん」の隣にある「馬水槽」を待ち合わせ場所にするのもよいかもしれない。

目立つみらいおん像に比べて地味なせいか、馬水槽を待ち合わせ場所としている人はいないようであった。

明治39年(1906)にロンドン市から当時の東京市に寄贈されたもので、上部が馬、下部が犬猫、裏側が人間の水飲み場となっている。大正初期までは実際に荷馬車の馬が利用していたそうで、そんな時代に思いを馳せながら人を待つのも趣がある。

松山智一氏が手がけた【花尾】(東口駅前広場)

「みらいおん」や「馬水槽」を通り過ぎて南口方面に向かうと、「ルミネエスト」横に設けられた広場に、高さ7mの巨大な金属製モニュメント「花尾(Hanao-san)」が設置されている。

花束を持った少年をモチーフとしているという「花尾(Hanao-san)」。椅子だけでなくテーブルも設置されているので、PCで作業する人などもおり、便利である。

現代美術家・松山智一氏の監修により2020年にリニューアルされたこの広場は、モニュメントを含めた全体がアート作品となっているのである(参考:新宿観光振興協会ホームぺージ)。

このモニュメントの一番の特徴、それは周囲をグルリと囲むテーブルと椅子が設置されている点だ。また広場にはキッチンカーが出店し、飲食を楽しむこともできる。

【京王百貨店入り口】(京王線新宿駅)・【椅子/Suicaのペンギン像/新宿高島屋休憩スペース】(JR新南改札)

ここ数年、新宿駅周辺整備で目立つのが「椅子が設置されていること」である。そういえば昔、祖母と新宿で待ち合わせをしたのは決まって「京王百貨店入り口」であった。

古くからある「座れる待ち合わせ場所」、『京王百貨店』の入り口。ここを通るたび、私は亡き祖母を思い出す。

祖母は「座れるし、雨風もしのげていいのよ」と言っていた。子供だった自分にはピンとこなかったが、年を重ねた今になればわかる。とにかく大人は「座りたい」のだ。再開発を行っている側も、そうした人々の「座りたい欲」に応えようとしているのではないか。

新宿駅において、椅子の面で最も充実しているのがJR新南改札周辺である。改札を出てすぐの場所にも椅子がズラリと並び、待ち合わせスポットとして2016年に設置された「Suicaペンギン像」の周辺にも、腰かけられるような段差が設けられている。

オシャレなオブジェかと思いきや、椅子である。
新しい待ち合わせスポットとして設置されたSuicaのペンギン像であるが、ペンギン前というより周辺の座れる段差に集まる人が多いようだ。

また新南改札から直結している『新宿高島屋』入り口付近にも休憩スペースが設けられ、多くの人が腰かけている。

雨天時にはありがたい、屋根のある座れる待ち合わせ場所・『新宿高島屋』2階入り口。お年寄りが多いようであった。

飲料の自動販売機も充実しており、快適に人を待つことができるのだ。

Suicaのペンギン像の向かいにはズラリと自動販売機が並び、人々が次々と利用していた。

これからの待ち合わせ場所のトレンドは「いかに快適に座って待てるか」ということなのかもしれない。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

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