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新幹線は60年でどれだけ速くなったか【コラム】

鉄道チャンネル

10月1日に東京駅で開催された開業60周年出発式の様子(写真提供:JR東海)

1964年10月1日に開業した東海道新幹線――戦前の「弾丸列車」計画をルーツとする日本初の新幹線が、ついに60周年を迎えました。東京駅で開催された出発式では、JR東海の丹羽俊介社長がこんなことを述べています。

「最高速度は開業当初は210km/hでありましたけれど、現在は285km/hで運行しております。ダイヤにつきましても、開業当初は1時間に片道2本のダイヤでスタートいたしましたけれども、現在は1時間あたり片道でのぞみ号が最大で12本走ることができる『のぞみ12本ダイヤ』を実現しております。多い日には1日に上下合わせて480本以上の列車が運行しております。

今後につきましても、ますます快適で便利で、そしてお客様にご安心できるような新幹線を作るべく取り組んでまいりたいと思います。特に激甚化する自然災害への対応も含めました、安全輸送につきましては、最優先事項で取り組んでまいりたいと思います」

その長い歴史の中で安全性・安定性を重視しつつも、スピードアップを続けながら東名阪輸送に貢献し続けてきた東海道新幹線。その最高速度と所要時間短縮の歴史をご紹介します。

新幹線前史、電車特急「こだま」の登場

ボンネットスタイルが美しい電車特急「こだま」(写真:さんり/PIXTA)

新幹線の話を始まる前に、開業直前の状況に触れておきましょう。当時は在来線の東海道線で特急「こだま」が活躍していました。登場は1958(昭和33)年11月、運行区間は東京~大阪・神戸間。長距離列車は長らく機関車が客車を牽引するスタイル(動力集中方式)でしたが、ここで初めて動力分散方式の電車特急が登場したのです。

特急「こだま」は「ビジネス特急」の異名を持ち、それまで7時間30分ほどかかっていた東京~大阪間を6時間50分で結びます。東阪間の所要時間は1959年、1960年のダイヤ改正で10分ずつ短縮され、6時間30分で結ばれることとなりました。

特急「こだま」は大変な人気を呼びましたが、東海道新幹線の開業によりわずか6年でその名称を新幹線に譲ることとなります。

新幹線の始祖・0系が登場、翌年には「大幅短縮」も

団子鼻の形状も愛された「0系新幹線」。小田急ロマンスカーの技術なども使用された新幹線の始祖(写真:トモくん / PIXTA)

1964年の東海道新幹線開業と同時に、高速鉄道の新しい時代を拓いたのが「0系」です。最高速度は210km/h、開業当初は東京~大阪間を4時間で結んだ革新的な車両で、その愛嬌のある団子鼻の先頭形状も人気でした。

0系の車両に関する説明は他の記事に譲るとして、不思議なのはその所要時間です。実は0系新幹線を使用した「ひかり」は、1985年時点では同区間をわずか3時間8分で結んでいます。20年で改良が進んだのかと思いきや、なんと開業翌年の1965年11月には3時間10分と、たった1年で50分も所要時間が縮まっているのです。

なぜこのようなことが起きたのでしょうか。東海道新幹線は弾丸列車計画の遺産も活用したとはいえ、着工からわずか5年ほどで開業にこぎつけました。そのため開業時点では路盤が固まっておらず、160km/hの徐行運転を余儀なくされたのです。翌年にはもう大丈夫ということでいよいよ本領が発揮され、電車特急「こだま」時代のおよそ半分の所要時間で東京~新大阪間を行き来できるようになりました。

100系の登場、300系で「のぞみ」時代が幕開け

0系をベースに開発された100系新幹線(写真:喜多良助/Damatic-photo / PIXTA)

1985年、新型車両「100系」が登場します。0系の性能をベースとしたこの車両は、2階建てグリーン車や個室を導入するなど旅客サービスの向上を果たし、最高速度も220km/hに向上。1986年のダイヤ改正で東京~大阪間の3時間切りを達成、2時間52分まで短縮します。JR発足後の1988年にはさらに短縮し、2時間49分へ。

300系新幹線の登場が新幹線第2世代の幕開けを告げました(写真:Nozomi / PIXTA)

1992年には新幹線第2世代とも言える新型車両「300系」が登場。新種別「のぞみ」用に開発された車両で、車体にはアルミニウム合金を採用、ボルスタレス台車を導入するなどして軽量化を図りました。最高時速は270km/hを誇り、東京~新大阪間の所要時間は2時間30分まで短縮されます。

背景にあったのは航空業界との熾烈な旅客争奪戦。東海道新幹線開業時は飛行機から大きくシェアを奪ったものの、その後は大幅なスピードアップを果たすこともなく、徐々にシェアを奪われていたのです。JR東海が満を持して投入した300系「のぞみ」は、東海道新幹線の新たな時代を切り開きました。

改良を重ねる東海道新幹線

300系のあとは「500系」(JR西日本開発)「700系」「N700系」「N700A」と次々改良を重ね、安全性や快適性を磨き続けながら、2020年7月には最新型の「N700S」が登場。「S」は「最高」を意味する「Supreme」の頭文字から取られ、まさしく最高の性能を備えた新幹線車両として東海道新幹線の顔として走り続けています。

東海道新幹線の最新車両「N700S」(写真提供:JR東海)

速度・所要時間を見ると、2007年に2時間25分、2015年に285km/h・2時間22分、2020年3月(のぞみ12本ダイヤ)に2時間21分と改良が続いていますが、さすがに300系登場時と比べると速度・所要時間の面では劇的な変化はありません。

性能だけ見るなら最新のN700Sは360km/hを叩き出すこともできますが、東海道新幹線の運転本数の多さ、快適性や環境上の問題など様々な理由から285km/hに落ち着いています。

いずれは超電導リニアが主役に躍り出るか

超電導リニア L0系改良型試験車(写真:鉄道チャンネル編集部)

東海道新幹線とは別にJR東海が進めているのが、超電導リニアのプロジェクト。東京(品川)~名古屋間を最速40分、将来的には新大阪まで最速67分で結ぶ計画です。その速度は500km/h、実現すれば東海道新幹線開業以来の革新となるでしょう。

記事:一橋正浩

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