第76回エミー賞コメディ部門を席巻「一流シェフのファミリーレストラン」どんなドラマ?主要部門受賞結果を解説
にて配信中のTVシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン(原題:The Bear)」が第76回(2024年)エミー賞のコメディ部門で主要4部門を含む全11部門受賞に輝いた。海外での人気ぶりを改めて見せつける形となったが、まだまだ視聴したことがないという方も多いだろう。
そこで本記事では、「一流シェフのファミリーレストラン」の受賞結果、作品のあらすじ、受賞した俳優陣とそのキャラクターについてご紹介しよう。
「一流シェフのファミリーレストラン」第76回エミー賞受賞結果(コメディ・シリーズ部門)主演男優賞(ジェレミー・アレン・ホワイト)助演男優賞(エボン・モス=バクラック)助演女優賞(ライザ・コロン=ザヤス)監督賞(クリストファー・ストーラー、シーズン2第6話「Fishes」)キャスティング賞サウンド・ミキシング賞撮影賞映像編集賞サウンド・エディティング賞ゲスト男優賞ゲスト女優賞「一流シェフのファミリーレストラン」どんな物語?
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ニューヨークの有名店で働いていたカルメン“カーミー”・ヴェルツァット(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、亡き兄マイケルが遺したレストラン“The Beef”を継ぐために、故郷シカゴに帰ってくる。マイケルが放置していた金銭的な諸問題、荒れ果てた職場環境、言うことを聞かないスタッフたち、そして自らのトラウマなどに直面しながら、ビジネスの建て直しを図るカーミー。そこに新たに前途有望なシェフ、シドニー(アイオウ・エディバリー)が加わり、カーミーは多忙なレストラン運営とともに、新たな挑戦、成長、そしてカオスの連続の日々に突入する。
シーズン1(2022)では"The Beef"の再建から新店”The Bear”への序章、シーズン2(2023)では新店”The Bear”のオープンまでの奮闘の日々をじっくりと描いた。
2024年7月より配信開始となったシーズン3では、満を持して立ち上がったはいいが、何もかもがうまくいかない”The Bear”の毎日を、丁寧かつ前2シーズンより静かなトーンで捉えている。各キャラクターの内面や過去にフォーカスしつつ、このもどかしさや葛藤が2025年に配信されるとされているシーズン4でどう昇華するかが見ものだ。
「一流シェフのファミリーレストラン」 エミー賞受賞 解説主演男優賞 カーミー役 ジェレミー・アレン・ホワイト
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かつては星付きの有名店で名を馳せ、兄の死をきっかけにシカゴに戻り、“The Beef”の経営を担うのが、本シリーズの主人公カーミーだ。シェフとしての才能は一流だが、過去の上司によるパワハラやハードワークがきっかけで情緒はかなり不安定で、アルコール依存の問題も抱えている。3兄弟の末っ子として兄マイケル、姉ナタリーには愛されたが、育った家庭が機能不全気味だったことも、人となりに大きく影響している。
聡明で頼りがいのあるシドニーのサポートにより、少しずつレストラン経営を軌道に乗せていくが、窮地に陥るとすぐ声を荒げてしまい、厨房の空気を乱してしまいがち。”The Bear”の行く先は彼次第だ。
TVシリーズ「シェイムレス 俺たちに恥はない」(2011-2021)で注目を集めたジェレミーは、「一流シェフのファミリーレストラン」にて更なる飛躍を遂げ、映画『アイアンクロー』(2023)ではプロレスラー一家フォン・エリック・ファミリーの四男ケリーを好演。また、シンガーソングライターのレジェンド的存在ブルース・スプリングスティーンの伝記映画『Deliver Me From Nowhere(原題)』にて主演を務めることも決定しており、今後の活躍がますます期待される存在だ。
助演男優賞 リッチー役 エボン・モス=バクラック
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クセもの揃いの本シリーズでも、とりわけそのキャラクターの濃さで視聴者を印象づけるのが、“TheBeef”からのベテラン従業員で、亡きマイケルの親友でもあったリッチーだ。とにかく口が悪く、皮肉屋で辛辣な性格で、幾度もカーミーやシドニーたちと衝突を繰り返すが、シーズン2で最も大きな成長も見せるのも彼である。
シーズン2第7話「Forks」では、まるで神の天啓を受けたかのように自身の強みに目覚め、その後は、”The Bear”がレストランとして持つ精神性を象徴するような存在となる。最終話「The Bear」で発揮するそのプロフェッショナリズムは、BGMであるPearl Jamの"Animal”も相まって無双の域を感じさせるほど。
「GIRLS/ガールズ」「パニッシャー」「キャシアン・アンドー」など数々のTVシリーズで活躍するエボンは、2025年7月US公開となる(MCU)最新作『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップス』にて、チームの一員であるザ・シング/ベン・グリム役を務める。ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クインら実力派俳優たちとのチームに期待がかかっている。
助演女優賞 ティナ役 ライザ・コロン=ザヤス
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エミー賞初ノミネートにして受賞にも輝いたライザ演じるティナは、リッチーと同じく“TheBeef”に長年勤めるスタッフの1人。シリーズ開始当初は、これまたリッチーと同じく、変革を求めるカーミーとシドニーを快く思わず、キツい態度も取ることもたびたびあった。
しかし、シドニーの何気ない計らいや気遣いから変化が生じ、ただ、ルーティーンのように仕事をこなすのではなく、料理人として高みを目指すようになる。シーズン2では、未踏の領域へのチャレンジや、”The Bear”のスタッフを包み込む懐の深さを見せたティナ。シーズン3では、なぜ彼女は“TheBeef”とマイケルを深く愛していたかも語られる。
監督賞受賞、強烈すぎるエピソード「Fishes」
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見事監督賞を受賞したクリストファー・ストーラーは、本シリーズの原案、製作総指揮、そしてその他の多くのエピソードでも監督を務めている。監督賞に選ばれたシーズン2第6話「Fishes」は、クリスマスを親族や友人とともに祝うヴェルツァット家で起こった、大喧噪を描いている回想回。1話30分前後で構成される本シリーズで、このエピソードのみ68分の長尺で描かれるという、異色の1話だ。
母ドナ(ジェイミー・リー・カーティス)は皆をもてなし、感謝されたいが、人とのコミュニケーションも料理もうまくいかない。マイケル、ナタリー、カーミーはその場を和やかに進めるべく結託するが、これまた個性の強い親族たちが現れ、食卓は“TheBeef”や”The Bear”も目じゃないカオスに包まれてしまう。
エミー賞の前哨戦であるクリエイティブ・アーツ・エミー賞には本エピソードに登場したカーティス、ジョン・バーンサル(マイケル役)、ボブ・オデンカーク(リー役)がそれぞれゲスト女優賞、ゲスト男優賞にノミネートされ、カーティスとバーンサルが受賞する快挙を成し遂げている。出色の脚本、豪華なゲスト陣も含めた俳優たちの演技が炸裂する68分は、とてつもない疲労感と不思議な充足感を残してくれるだろう。
「一流シェフのファミリーレストラン」はディズニープラスで配信中。