【インド神話】家庭の幸福を見守ってくれる慈悲深く美しい神慈悲の神とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々】
富と幸運と豊穣の女神ラクシュミー
家庭の幸福を見守ってくれる慈悲深く美しい神慈悲の神
ヴィシュヌの妻がラクシュミーです。ラクシュミーは、ヴィシュヌが亀へと姿を変えて乳海撹拌する際に生まれました。
あるとき、神々は不死の霊液アムリタを手に入れるため、ヴィシュヌに相談します。ヴィシュヌはマンダラ山を攪拌棒として使い、大海をかき混ぜるよう伝えます。
果たして、神々がそのようにしたところ、海底に穴が開き、山が沈みかけます。ヴィシュヌ亀に変身して海に潜り、甲羅でマンダラ山を支えました。
そして、乳状になった海の水から、無事、アつばムリタの入った壺が出てきますが、その際、美しいラクシュミーも出現します。その美しさに神々はラクシュミーを欲しますが、彼女が夫に選んだのはヴィシュヌでした。
ラクシュミーは豊穣の女神という点から、大地の女神とも同一視され、特に南インドでは、穀物を司る女神とされています。これは、古い信仰である地母神と習合したと考えられています。
インドで秋に行われる「ディワーリー」という盛大なお祭りがありますが、これは家庭にラクシュミーをお迎えするもの。語源が「光の列」といわれるように、各家で夜通し明かりを灯す、とても幻想的なものです。
※ディワーリー:10月から11月にかけて5日間行なわれる。この祭りの期間中に、買い物をすると縁起がよいとされる。
吉祥天のモデルとなったラクシュミー
水上に浮かぶ赤い蓮華の上に立つ姿で、手にも蓮華を持つ。手のひらから富の象徴である硬貨を無尽蔵に生み出している。夫ヴィシュヌが変身するときは、自身も変身して寄り添った。ヴィシュヌがラーマのときは妻シータ、クリシュナのときは妻ルクミニーに。
インドの女神信仰
数々の農作物をはぐくむ大地と女性の出産能力が結びついた女神信仰は、世界各地で古くから見られるもの。インドでも土着信仰の中にたくさんの女神がいて、それがシヴァの妃パールヴァティなどと結びついた。
芸術と学問の神サラスヴァティは、日本には弁財天として伝わった。インド神話には荒ぶる女神もいる。代表的なのは戦の神ドゥルガーやカーリー。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介