風前の灯となった185系 40年以上の歴史の中で存在したカラフルなカラーバリエーションたちに迫る!
text:芦原やちよ
先日、185系B6編成がΕF64牽引で長野総合車両センターへ回送されました。廃車前提の回送と思われており、これによりいよいよ185系も残すC1編成6両のみということになりそうです。そんな185系ですが、かつては様々な塗装が存在しました。今回はその塗装の変遷を見ていきたいと思います。
【写真】貴重な当時の写真と共に振り返る!185系のカラーバリエーションを詳しく見る
■0番代登場時/0・200番代現行塗色 緑ストライプ
1981年に従来の特急型とは全く違うコンセプトを持った車両としてデビューした185系は、塗装もイメージを一新しました。
これまでの国鉄特急型の塗装と言えば、151系から始まったクリーム色4号と赤2号の「国鉄特急色」と言われるカラーリングが基本でしたが、185系ではその慣例を破り、アイボリーの地色に斜めにあしらった緑ストライプという大胆な塗装デザインとなりました。このストライプは太い方から1,600mm・800mm・400mmと太さに変化が付けられており、車両をどちら側から見ても右下がりになるようにデザインされています。
▲登場当時は斬新なカラーリングだった緑ストライプ。現在在籍する185系はすべてこの装いである。
‘17.12.28 東海道本線 大磯~二宮 P:東條ともてつ
‘17.12.28 東海道本線 大磯~二宮
このカラーリングは1999年からのリニューアルによって一時期消滅したものの、2011年に踊り子30周年を記念してA8編成がこの色へ戻されました。それ以降、2014年頃から0番代・200番代問わず順次このカラーリングへ変更され、現在在籍する185系はすべてこのカラーリングになりました。
■200番代登場時 緑帯
0番代のデビューを追うようにして登場した200番代でしたが、こちらの塗装は新幹線リレー号での運用を想定して200系の塗色をイメージし、緑ストライプではなく窓下に太さ300mmの緑帯を纏った塗装となりました。また細かい点となりますが、前頭部の塗り分けも若干変更となっており、0番代にはあった車体裾の緑帯が省略されました。
JR化後のリニューアルで一時は消滅したこのカラーリングでしたが、2022年に0番代C1編成を200番代風のタイホンカバーが取り付けられて復活しました。緑ストライプのB6編成が回送された現在、最後の185系はこの緑帯を纏うC1編成ということになりそうです。
■200番代 フルフル塗装
フルフル塗装は1995年の1月より新前橋区のS201・S202編成とS215・S216編成2編成を対象として、冬季に運転されたスキー列車「シュプール」号用に塗装変更したものです。塗装は車体上半分を水色に、下半分を白色とし、その境界線は全体に緩いウェーブを描くようにした淡い紫色の帯が入るデザイン。そこへスキーを楽しむ人やキャラクターのイラストをあしらった、なんとも賑やかなカラーリングでした。
「シュプール」号の運転シーズン終了後も通常運用に就いていましたが、しばらくして標準塗装に戻されました。
ちなみに「フルフル」の名前の由来は雪が「降る」と雪や冬への気持ちが「いっぱい(full)」という願いが込められてのネーミングでした。
■200番代 新前橋車リニューアル塗装(エクスプレス色)
新前橋区の185系は1995年度より、それまでの緑帯塗装から順次リニューアル色へ変更となりました。基調色は白色とし、上毛三山をモチーフとした黄色・灰色・赤をブロックタイプで配した塗装となりました。また、窓下に「EXPRESS 185」のレタリングを施し、それまでの185系のイメージを一新しました。
ですが先述の通り、2014年頃から緑ストライプ塗装への変更が行われ、この塗装については2017年に消滅しました。
■0番代・200番代 田町車リニューアル塗装(湘南ブロック)
1999年度からは田町車でもリニューアルが始まり、こちらは新前橋車と同じブロックパターンながらも配色が改められ、東海道本線の伝統色である緑2号と黄柑色の通称「湘南色」をブロックパターンであしらっていました。また、田町車では「EXPRESS 185」のレタリングは省略されました。こちらの塗装についても2017年に消滅しています。
■200番代 OM03編成 湘南色80系風塗装
上野口に突如として現れた湘南色の185系。特急型が格下である準急・急行型の塗装であった湘南色を纏うのは異例でしたが、これは2010年秋に企画された「特急草津号50周年感謝キャンペーン」に合わせて、大宮総合車両センターのOM03編成が同年9月に80系電車をイメージした湘南色に変更されたものです。80系独特の湘南色の塗り分けはさることながら、グリーン車の淡緑色の等級帯まで再現されるなどの忠実な装いが当時非常に話題になった塗装でした。
▲湘南色塗装となったOM03編成のグリーン車 サロ185-206。往年を思わせる淡緑の等級帯まで再現されたこだわりの塗装だった。
’10.11.27 高崎線 上野 P:東條ともてつ
■200番代 OM08編成 国鉄特急色157系風塗装
2012年、大宮総合車両センター所属の185系OM08編成が、157系風の塗り分けとした国鉄特急色を纏って出場しました。塗装変更直後、157系を意識した列車であった臨時特急「上州踊り子」/「あまぎ」に使用されました。
直接的な関係性はないながらも、その設計思想やフォルムに185系と似ているところが多く見られる157系の塗装は、多くのレイルファンの間で受け入れられ話題となり、既に登場していた湘南色と共に人気の編成となっていました。
いよいよ風前の灯となった185系。同車の魅力の一つとして、こうしたカラフルな装いのバリエーションも挙げられるのではないでしょうか。
2021年2月の記事を加筆修正の上掲載