細長いからだを持つ<ヘラヤガラ>は擬態の名人 ユニークな見た目だけど狡猾な捕食者?
細長い口と体、そして鮮やかな体色をもつヘラヤガラ。海や水槽でみかけたときには、つい驚いてしまいます。
多くの魚種の中でも目立つ存在のヘラヤガラは、実はとても美味な魚として知られています。
別名は<トランペット・フィッシュ> ユニークな体を持つ魚
ヘラヤガラはトゲウオ目に属する魚類です。同じ分類にはタツノオトシゴやヘコアユなど特徴的な体をもつ魚たちが多く属しています。
全長はおよそ1メートルほどで細長い口と体で器用に泳ぎ、尾鰭には黒色斑、下顎部分にはヒゲがついています。この不思議な形から、英名では”Trumpetfish(トランペットフィッシュ)”と名付けられました。
和名の由来は、料理で使われる「竹ヘラ」と、矢の棒の部分「ヤガラ」から名付けられています。
日本では相模湾から九州など、世界ではインド・太平洋域といった暖かい海域のサンゴ礁・岩礁域などに生息しています。
市場ではあまり見かけることがありませんが、漁ではときどき網に入る魚。食べられる部分が少なく骨も多いため調理に手間がかかりますが、かなり美味とされています。
白身なので味噌汁や塩焼き、唐揚げなどの幅広い調理法を楽しめるでしょう。ただ皮のまわりには渋みがあるとされ、焼くと独特の風味がでるようです。
黄色や茶色など様々な体色
見た目だけでもインパクトが十分にあるヘラヤガラですが、環境に合わせて体色を変えられる特技も持ち合わせています。
暗い色が多い海域では暗褐色、珊瑚礁など色が多い場所では鮮やかな黄色になるなど、個体によって色が変わるのも面白いポイントです。
また、不規則な縞模様が現れることもあります。見かけたときは、どんな色になっているか観察してみるのも楽しい魚ですね。
実は海の捕食者としてもあなどれない
人から見ると非常に目立つヘラヤガラですが、エサである小魚や甲殻類にとっては狡猾な捕食者です。
狩りの方法はいくつかあり、体色を変えて待ち伏せをしたり、口を下にして体を立てて海藻などに紛れたりすることで獲物を探します。
他にも大きな魚に隠れるようにして泳ぎ、近づいてきた小魚を食べることもあり、非常に多彩な行動を見せてくれます。
食べる際は、のんびりと泳ぐ普段の姿からは想像もできないスピードで細長い口をストローのように使い、獲物を吸い込んでしまいます。
狩りの際は普段とのギャップを感じさせるところも面白い魚です。
ユニークな姿は進化の形!
ユニークな姿で目を引くヘラヤガラですが、細長い体や擬態能力は捕食や天敵から身を守るための進化の形です。
水族館や釣りの釣果など、比較的簡単に出会うことができる魚です。体の形だけでなく、体色や擬態行動にも注目して観察してみてくださいね。
(サカナトライター:秋津)