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発動機に魅せられて 伊賀市長田の百北さん

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発動機を始動する百北さん

 脱穀や精米をする機械の動力源として利用されてきた農業用の発動機を集めて楽しんでいるのは三重県伊賀市長田の百北幸雄さん(82)。農業用倉庫の1階には、15台ほどの発動機が置かれているが、今もバリバリと力強い音を響かせて動く“現役”だ。

並べられた数々の発動機

 約45年間、鉄工所を経営。多い時には25人ほどの従業員を雇い、主に鉄製品の旋盤加工に携わってきた。同時に、親から継いだ約1万平方メートルの水田を耕作し、米作りにも励んできた。

 しかし、コロナ禍を契機に鉄工所を閉鎖。米作りも、百北さんが設立に協力し、今も理事の一人になっている農業法人に委託したことから、一気に自由時間が増えた。

 古いものが好きだったという百北さん。集めた発動機の中には、伯父が亡くなった時に譲り受けた脱穀機に使われていた「百年もの」の発動機や、学生時代に家業を手伝うために購入したという思い入れのある発動機もある。灯油を燃料とするクボタ製、軽油を使うヤンマー製、更にヨシダ、サトウなどのメーカー品もある。

 百北さんは一番古い百年ものの発動機を始動させようと燃料タンクに灯油を入れ、潤滑油を差し、慣れた手つきで駆動部を何回か回し始めた。ポッポッポッという機械音とともにピストンが動き、車輪が回る。しばらくして冷却口に水を入れる。回転数が上がるにつれ、機械油のにおいとともにバリバリという力強い音が倉庫内に響いた。「伯父はこの重い発動機を田んぼまで運び、脱穀していたと思うと愛着が湧く」と話す。

 倉庫の2階もレトロな農機具の宝庫。わらから縄をなう製縄機、風力を起こしてもみとくずなどを選別する唐箕、手作りのリヤカーなどと並んで、足踏み式の脱穀機もある。

「もの好きの道楽」

 百北さんは「発動機を使う以前は、人が足踏みペダルで踏み込む力を利用して脱穀していた。こんな古いものを持っている人は、今はあまりいないと思う。もの好きの道楽」と笑い、大きな音で動き続ける発動機を温かい目で見守っていた。

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