【バイクの日ゲスト】ロードレーサー岡崎静夏選手が伝えたいバイクの楽しみ方
現役高校生のレーサーとしてデビューして以来、百戦錬磨のライバルとともにサーキットを駆け抜けるロードレーサー岡崎静夏選手(以下、岡崎選手)。レーサーとしてキャリア15年目を迎えた今年も、参戦する全日本ロードレース選手権で好成績を収めつつ、表彰台を狙ってアグレッシブに走り続けています。
2024年8月19日(月)、アキバ・スクエア(東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX)で開催される『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY』(以下、『バイクの日』)にゲストとして登壇する岡崎選手は、日常ではどんなバイクライフを過ごされているのでしょうか。レースから離れたライダー岡崎選手のバイクの楽しみ方、そして『バイクの日』に来られるライダーの皆さんやバイクに興味を持っている方に伝えたい“幸せなバイクライフ”についてお話を伺いました。
岡崎 静夏
1992年6月12日生まれ、神奈川県出身。
10歳で初めてポケバイに乗り、高校3年生で『全日本ロードレース選手権』に初出場。2016年には全日本でランキング6位、世界選手権に初参戦。また2020年には実弟がメカニックを務めるチームを立ち上げた。2022年から「日本郵便 Honda Dream TP」に所属、ホンダNSF250Rで全日本ロードレース選手権 J-GP3クラスに参戦。
“レースに勝ちたい”気持ちで走り続けるレーサーキャリア
国内最高峰の大会である全日本ロードレース選手権で走り続ける岡崎選手のキャリアスタートである“バイクとの出会い”はどこにあったのでしょう。
「両親がともにバイクに乗っていたこともあり、小さい頃からバイクが身近にある環境でした。子供の頃は両親のバイクの後ろに乗って、よく海やプールなどに遊びに行ったりもしていました。
3歳年下の弟が7〜8歳のときにポケバイを始めたんです。そのとき私はバイクに乗る気もなくて、ただ見ていただけでした。でもあるとき、弟が「膝擦りができた」と自慢してきたんです。それを聞いて、姉としての威厳を保たなきゃという意識が芽生えてしまい、私もポケバイを始めるようになりました」
憧れのライダーはいたのでしょうか。
「いませんでしたね。有名なライダーに憧れて(ポケバイを)始めた、という感じではなかったので。今もそうですが、負けず嫌いな性格がきっかけでしたね。だから当時はバイクに関する知識もそんなになくて、ミニバイクや全日本ロードレース選手権といったクラスの違いも理解していませんでした。MotoGPも、漠然と観ていた記憶しかありません。それぐらいの知識からバイクレースを始めていました」
そうして始まったレーサーとしてのキャリアはどんなものだったのでしょう。
「ポケバイを始めた頃は弟と一緒に空き地で乗っていただけでしたが、ポケバイに興じる私たちを見た両親が、千葉にあるポケバイ専用のサーキットを見つけてきてくれて、そこでトレーニングとレースをするようになりました。今思い返すと、割りと自然な流れだったと思います。11歳でポケバイレースを始めて、それからミニバイクにステップアップしました。
実は私、バイクよりも以前から器械体操をやっていて、オリンピック出場を目指して取り組んでいたほどなんです。しばらくはバイクと器械体操を掛け持ちしていたんですが、小学校を卒業する頃にはレースの方が面白くなっていて、どちらかに打ち込むと決めるときは迷わずバイクを選んでいました」
本格的にレース活動に打ち込むようになった岡崎選手。ここから順調にキャリアを積み重ねていきます。
「進路を決めてから、弟と一緒にロードレースアカデミーに入ったんです。中学を卒業してから参戦したレディースロードレースで優勝しました。それから地方戦を数多く経験して、18歳で全日本ロードレース選手権に出場することになりました」
現役高校生のロードレーサーとして注目を集める存在となりましたが、学生生活についても普通の高校生とは違っていたようです。
「学生時代はアルバイトとレースで埋め尽くされました。友だちと遊びに行ったり、お洒落をしたりすることもありませんでしたね。そこに時間を割いても速く走れるようにはならないので(笑)。
全日本ロードレース選手権に出るようになった当初、『22〜23歳ぐらいでレースを辞めるんだろうな』って思ったりしていたんですが、『ただ勝ちたい。でも勝てない』という状況がずっと続いていて、そうして今もレースをしていますね。学生の頃からずっと変わらない『レースに勝ちたい』という気持ちが、私の原動力なんです」
レーサー特有の考え方が礎となっているバイクライフ
岡崎選手の普段のバイクライフはどのようなものなのでしょうか。聞けば、通勤にはホンダ リード125を、ツーリングなどに行くときにはホンダ CB1300 SUPER FOUR SP 30th Anniversary(以下、CB1300)に乗られるそうです。
「バイクの免許を取ることは、岡崎家では当たり前でした。ツーリングも大好きで、バイクに乗って美味しいものを食べに行ったりしますね。通勤用スクーターに比べるとCB1300の出番は少なめですが、これはこれで乗ると車体の重さ(CB1300の車重は266kg、レースで乗る車両の3倍強)から、いいトレーニングにもなっているんです(笑)。
親から『自分で起こせないバイクには乗るな』と教えられてきて、266kgというCB1300の重さは正直自分で起こせるか不安はありました。どうしても乗りたくて購入しまして、教えに従ってCB1300の引き起こしをやってみようと、所属チームのスタッフに協力してもらってチャレンジしてみました。もし引き起こせなかったら、筋トレして絶対できるようになってやろうと思いながら。
いざやってみたら、割りとスムーズに引き起こせちゃいました。『大きなバイクは自分には無理』という声を聞くことがあるんですが、実は引き起こしってコツを知れば思っているより簡単にできるんですよね。もちろんある程度の力は必要ですが、テコの原理を知れば重いバイクでもスッと引き起こせちゃうんです。私みたいな女性でも大型バイクに乗るのは難しいことじゃないってお伝えしたいですね」
日頃バイクに乗るときのスタイルはどのようなものなのでしょうか。
「普段のヘルメットは基本的にフルフェイス、そして運転スタイルは、安全運転というよりは保身運転ですね。怪我をしたらレースができなくなるので、絶対に怪我をしないよう二手三手先を読んで、何があっても回避できる運転を心がけています」
『バイクの日』トークショーのゲストに選ばれて
今年の8月19日(月)、東京・秋葉原の「アキバ・スクエア」で開催されるバイクイベント『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY』(以下、『バイクの日』)のトークショーでのゲストとして岡崎選手が登壇されます。初参加となるイベントへの想いを伺いました。
「『バイクの日』の存在は知っていて、参加したことはありませんでしたがSNSなどで見ていて興味はありました。参加した知り合いからも『面白かった』と話を聞いていたので、行ってみたいなと思っていました。
今回、『バイクの日』運営事務局からお声がけいただいたとき、まず思ったのは『どんな人たちが来るイベントなんだろう』でした。同時に、ただバイクのレースをしている私にお声がけくださったことが嬉しかったです。『バイクの日』には、まだバイクに乗ってはいないけど興味がある一般の方もお越しになるとのことで、そういった人たちにバイクの楽しさ、レースの面白さを伝えられる絶好の機会だと思っています。私がお話しすることで、少しでも『バイクレースって面白そうだな』って思ってもらいたいですね。そして、サーキットまで足を運んでくれてレースを観たり、サーキットを走る楽しさを知ってもらうキッカケにしたいです」
ライダーも多数訪れることと思います。そんなライダーに向けてのメッセージもいただきました。
「世間的に『バイクは危ない乗り物』『レースはもっと危ない』と思われていると私は感じています。でも、実は公道よりもサーキットの方が安全なんです。一般道と比べても路面は綺麗に保たれているし、対向車など他の通行車両や歩行者がいませんので。でもそれって実際にサーキットを走ってみないと分からないことなので、興味ある人は是非一度サーキット走行を経験してみて欲しいです。
その一歩として、私 岡崎静夏というロードレーサーに興味を持ってもらって、その私がレース参戦しているモビリティリゾートもてぎ(栃木県)や筑波サーキット(茨城県)に来てもらいたいです。きっとバイクの新しい楽しみ方を知ってもらえると思います。
実際にサーキット走行を経験すると、普段よりも高い速度感を知ることができて、そこでの運転に慣れてくると今後は日常のバイクライフに戻ったときに自分のライディングに幅ができて、やれることが増えるんです。サーキットは、新たな気づきを与えてくれます。もちろんサーキット走行が合う・合わないがあると思いますが、(サーキット走行という)楽しみ方を知る機会を持ってもらいたいですし、『バイクの日』にレーサーとして呼んでいただけた私が参加される皆さんにお伝えできることかなと思います」
一般的に危ない乗り物と思われがちなバイクですが、それも「乗り手の使い方次第」と岡崎選手は説いています。
「バイクは包丁のようなものだと思っています。使う人の意識次第で、良くも悪くも変わってくるという意味で、です。上手に使うには技術が必要ですし、使い方を正しく理解していれば危険を回避できます。日常生活において不可欠な包丁に対して、バイクは欠かせないものではありませんが、それでもあえて乗っている私たちだからこそ、技術と心を磨いて、周りから『カッコいいな』と思われるようなライダーになりたいですよね」
『バイクの日』トークショーで岡崎選手に会おう!
サーキットでは勝利を掴むためにストイックにライディング技術を磨き続けるロードレーサーとして、そして日常の公道においては街乗りやツーリングを安全に楽しむスマートライダーとして日々バイクと向き合う岡崎選手。極限の世界で戦う彼女が語るバイクとの付き合い方や乗り方は、世のライダーにも知って欲しい大切なことがいくつも含まれていました。『バイクの日』のトークショーにゲスト登壇する岡崎選手を是非見にきてくださいね!
『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY』イベント情報
『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY』には、今回お話を聞いた岡崎選手のほか、MCを務める梅本まどかさん、タレントの平嶋夏海さんやバイク声優の難波祐香さん、『オートバイ男士部』のメンバーがゲストとしてトークショーに登壇します。会場の「アキバ・スクエア」でお待ちしています!
『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY』
開催日時:2024年8月19日(月) 12:00~17:00(予定)
※雨天決行(荒天によりイベントが中止の場合は、特設WEBサイトならびに自工会公式X(旧Twitter)にてアナウンス予定)
開催場所:東京・秋葉原「AKIBA SQUARE(アキバ・スクエア)」
住所:東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原 UDX 2F
>>秋葉原周辺のバイク駐車場を探すYouTube Live:2024年8月19日(月)に開催するイベントステージの模様を生配信予定
特設サイト:https://bikeday.jama.or.jp/
お問い合わせ先:「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY 2023」特設サイト - 日本自動車工業会 、岡崎静夏 公式Instagram 、岡崎静夏 公式YouTubeチャンネル