【エジプト神話】政治と歴史にもまれて融合されていった絶対の太陽神「アモン・ラー」とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々】
エジプト神話|万能の力を手に入れた神アモン・ラー
政治と歴史にもまれて融合されていった絶対の太陽神
4つの神話に多くの神の存在を信じた古代エジプトの人々。その中でもアモン・ラーは別格の存在です。
神話の根底となるエジプトの考え方は、太陽への崇拝と、人間を構成する5つの要素からなります。
心臓を守るためにミイラがつくられ、死者は命であるカーと個性であるバーが一体化したアクになることで、永遠に楽園「イアルの野」で暮らすことができました。
そして、太陽を運ぶ神ラーが、日の出とともにこの世に生まれ、日没には死んで、冥界を旅します。この船旅が終われば魂は再生し、再び生まれ出て朝が訪れます。
この世界観と死生観のもとに、数々の神話と神々の中から台頭したアモン・ラーが、絶大な力を持つ最高神となっていきます。
アモン・ラーは王であるファラオの権威を表すものともなりました。歴代ファラオは太陽王としてラーの息子を名乗り、自身の名前の中にアモンを取り入れていました。
アモン・ラー信仰が強すぎることを懸念したファラオ、アメンホテプ4世は、アトン神を最高神と定める宗教改革を行ないます。
しかし民衆はアモン・ラー信仰を捨てず、アトン神信仰は一代限りで終わりました。
ファラオ:古代エジプトの王を指す称号のこと。もともとは「大いなる家」、つまり王の宮殿を意味した。神々と人間を結ぶ存在として崇められた。
絶大な崇拝を集めるアモン・ラー
主に2枚の羽でできた冠を頭に頂く人の姿で描かれる。左手に持つアンクという十字のものは清明、生命力の象徴。
ヒツジの頭、もしくはヒツジそのものの姿で描かれることもある。また、誕生を象徴するガチョウとも結びついている。
もとはテーベの守護神で豊穣の神だったアモンに、太陽神ラーなどさまざまな神様が結合した。アモンは「隠すもの」「不可視」という意味。
謎なぞ多き神から最高神へ
テーベの守護神・大気の神
一地方神だった
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大気の神シューと習合
神々の「バー」を司つかさどる神へ
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生殖の神ミンと習合
ガチョウの象徴も取り込む
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ヘリオポリス神話の創造神アトゥムと習合
太陽神ラーも習合
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テーベ3神として崇拝される
妻、息子そろって3大神に
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創造神にして太陽神へ昇格
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介