大晦日・三が日に掃除はタブー?大掃除を30日までに済ませたい理由
三が日とは?
三が日とは1月1日から3日までの3日間のことで、正確には「正月三が日」といいます。国民の祝日にあたるのは1日の元旦のみですが、2~3日は労働基準法上で休日とされており、三が日は事実上の祝日と考えられます。
この期間は官公庁や多くの企業がお正月休みになり、おせち料理を食べながら新年を祝うのが一般的です。1年のなかでもっともおめでたく、日本の伝統文化に触れる大切な期間でもあるため、三が日の風習をしっかり学んでおきましょう。
正月・松の内とは何が違う?
三が日と混同されやすい言葉に「正月」や「松の内」があります。
正月とは、本来は旧暦における1月の別称で、かつては1月全体を正月と呼んでいました。現在は、年のはじめのお祝い事をする期間といった意味合いで使われることが多く、三が日を正月と呼ぶこともあります。
また、松の内とは門松を飾っておく期間のこと。地域によって異なり、関東を中心とした北日本では元旦から1月7日まで、関西では1月15日までを差す場合が多いようです。一般的には、松の内までを正月と呼びます。
良い運気が入る新年。年末から三が日までの伝統的な過ごし方
古来より、日本では元旦には「歳神様(年神様)/としがみさま」が各家を訪れるといわれています。歳神様とは、家族の健康や繁栄、豊作などの良い運気を運んでくれる神様。新年にさまざまなご利益を授けてくれる家の守り神として大切な存在です。
歳神様を迎え入れるための準備は年末におこないます。一年の汚れをしっかりきれいにする意味合いとして、「年末だから大掃除しなきゃ!」と意識される方も多いと思いますが、実は年末に大掃除をするようになったのは、平安時代からだそう。歳神様に気持ちよく過ごしてもらうための、日本独特の風習なんです。
神様に失礼がないよう、新年を迎える前に神棚や仏壇をきれいにし、家の隅々まで掃除をして清めましょう。
お正月飾りは、12月28日頃までに飾るとよいとされています。お正月飾りは歳神様に敬意を払い、家に招き入れるためにおこないます。家の目印となる門松、家が神聖な場所であることを示すしめ飾り、歳神様が宿る依り代とされる鏡餅などを飾るのが一般的です。
そして、年が明けてからの三が日は新年をお祝いする期間です。初日の出を見たり初詣に行ったりと伝統行事を楽しみ、おせち料理を食べながらゆっくり過ごしましょう。
一方、三が日に控えたほうがいいとされる行為もいくつかあるんです。ここからは、三が日にやってはいけないことについて、詳しく紹介していきます。
三が日に掃除はNG?その理由とは
三が日にやってはいけないと言われる行為のなかで、代表的なのが掃除です。三が日は新年の始まりを祝い、歳神様をお迎えする特別な期間。せっかく歳神様が福を持って来訪してくれているのに、掃除をすれば福を払ってしまうことから、避けるべきとされています。
そもそも、神様が滞在している期間中に掃除をするのは、神様への敬意を示すうえで失礼にあたるもの。同時に、三が日は家族と伝統行事を楽しみながらゆっくり過ごす期間という風習的にも、掃除を控えるほうが無難です。
運気や福を水に流す行為
キッチン・バス・トイレなどの水回りの掃除は、歳神様を水で洗い流してしまうので縁起が悪いと考えられます。
また、せっかく歳神様が運んできてくれた良い運気や福も水に流してしまう行為と考えられ、タブーとされているんです。水回りの掃除はすべて年内に済ませて、新年をゆっくり過ごしましょう。
掃除は仕事の一部
古くより、お正月に仕事をするのはNGという考え方があります。そもそも、保存食のおせちとお餅を作るのは、1年間がんばって働いた人が三が日だけでもゆっくりできるようにという願いから。昨今では元旦営業も増えましたが、かつては三が日を休むお店が多かったのです。
掃除も仕事の一部ともいえるので、三が日はできるだけ控えるべきと考えられます。年末に大掃除をおこなうのは、神様を迎える準備をするとともに、休養期間を設けるという意味合いもあるのです。
いつから掃除をしていい?
掃除を控えたほうがいいとされているのは三が日なので、1月4日以降は好きなだけ掃除をしてかまいません。3日分の埃やよごれをきれいにしましょう。
きれい好きの人にとって3日間掃除をしないのは辛いと感じることもあると思います。三が日に掃除を控える理由をきちんと知っておけば、少しぐらい汚れても我慢できるかもしれません。どうしても我慢できないときは、お掃除シートで床を拭いたりお風呂だけ洗ったりと、最小限の掃除に留めてみてはいかがでしょうか。
とはいえ、三が日に掃除をしないのは古くからの風習であるため、現代にそぐわないという考え方もあります。無理に風習を守ろうとするとストレスが溜まってしまうので、自分なりのやり方でお正月を楽しんでくださいね。
実は大晦日も掃除はしないほうがいい
年末に済ませたい大掃除ですが、実は大晦日にもしないほうがいいとされているのをご存じでしょうか?歳神様が今まさに訪れようとしているとき、家のなかがバタバタしていては入りづらくなると伝えられています。
そもそも大掃除とは、平安時代の12月13日におこなわれていた「すす払い」が由来です。現代でも12月13日は「すす払いの日」とされており、この日から大掃除を始める慣習が残っています。
また、二重苦を連想させる12月29日も、大掃除を避けるべきと言われています。よって、大掃除は12月13~28日に済ませるのがベストです。
ほかにもある。三が日にしないほうがいいこと
掃除以外にも、三が日にしないほうがいいとされる行為がいくつかあります。詳しい内容は地域によっても異なりますが、主なものを以下にまとめてみました。
なお、ここで紹介するのは昔からの風習が多く、現代に実践するのはむずかしいものも含まれています。あくまでも一例としてご参考ください。
火を使う(煮る・炊く)
三が日は煮る・炊くなどの火を使う料理を避けるべきといわれています。煮炊きをすると灰汁(あく)が出ますが、悪(あく)を出すという意味に繋がるためNGなのだとか。
また、火を使うところには「荒神様(こうじんさま)」がいるとされ、三が日から火を使うと荒神様を怒らせてしまうという説もあります。お正月におせち料理を準備するのは、火を使わないで食べられるという理由もあるんです。
刃物を使う
刃物を使ってはいけないと言われる理由はいろいろです。包丁やハサミで物を切る行為が縁を切ると連想されてしまうこと。また、お正月に刃物を使って怪我をした際、血が流れてしまうとお祝いの期間を穢(けが)してしまうという説もあります。
いつも使っている包丁を三が日ぐらいは休ませてあげようという考え方や、三が日ぐらいは台所に立たずにゆっくり休もうという慣習もあるようです。
水仕事(洗濯)・針仕事
三が日は仕事を控えて休むべきという慣習は、古くは家事全般をこなす女性向けのものでした。女性が担うことが多かった洗濯や裁縫も仕事と考えられ、三が日に避けたほうが無難です。洗濯は水回りの掃除同様、福を水に流すという観点からもNGといえますね。
また、裁縫は刃物を使う行為がNGなことも要因のひとつです。三が日は切る・刺すなどの行為を控えると同時に、正月から針仕事をして怪我をしないようにという意味も込められています。
喧嘩や裏切り行為
普段から避けるにこしたことはありませんが、特に三が日は喧嘩や裏切り行為がタブーとされています。新年のおめでたい時期に悪いおこないをすると、縁起が悪いという理由からです。
三が日は家族や親せきが集まってお酒を飲む機会が多いため、人間関係のトラブルが起きやすくなります。子供たちのテンションも上がって兄弟喧嘩が起きやすくなるので、いつも以上にゆったりと過ごすよう気を付けたいですね。
お賽銭以外のお金を使う(浪費)
年の初めの三が日にお金をたくさん使いすぎると、その1年はお金が貯まらないという説があります。お正月は初売りやお年玉、帰省や旅行などでどうしても散財しがちですよね。無駄な浪費を避け、事前に支出の予測を立てて計画的に使いましょう。
なお、お賽銭は神様への祈願や感謝の気持ちを伝えるためのものなので、お金を使う行為には該当しません。
まだある風習
爪を切る(指を切って血を流してしまう・体の一部を切り落とすなど)
布団を干す(掃除と考えられ福を逃してしまう)
牛肉、豚肉など四足動物の肉を食べる(仏教の教え・昔の天皇の禁止令説など)
ついで参り(用事のついでに墓参りに行くのはご先祖様に失礼)
現代では少数派ですが、地域によってはまだ残っている風習もあります。ここで紹介した以外にも、地域や家系ならではのNG行為があるかもしれません。年末年始に帰省した際に、訊いてみるのも一興ですよ。
三が日におすすめの過ごし方
初詣 / 年の初めにお参りすると新年の幸福が増える
目標・抱負を考える / やるべきごとが明確になり目的意識を持って行動できる
書き初め / 1年の目標を文字で表現して気を引き締める
大切な人と過ごす / 1年でもっともめでたい期間を家族や恋人と一緒に祝う
リラックスする / 忙しい日常から離れゆっくり過ごして気分をリフレッシュ
三が日は1年のなかでも特別な期間。普段、家族と離れている人は、できるだけ帰省して一緒に過ごしたいですね。日常を忘れてゆっくり過ごし、お正月にしかできない伝統行事を楽しみましょう。
無理のない範囲で日本ならではの伝統文化を楽しもう
掃除を含め、三が日にやってはいけないことは諸説ありますが、あまり神経質になりすぎると何もできなくなってしまいます。昔の風習は知識として吸収しつつ、無理のない範囲で現代の生活に合わせたお正月を楽しんでみてくださいね。
ライター:あき(Webデザイナー / ライター)