寒い季節になると増加する犬の病気5つ 油断できない主な初期症状から予防策まで解説
寒い季節になると犬が病気になりやすい理由
寒い季節に病気になりやすいのは、犬も人間も同じことが理由です。
気温がグッと下がる寒い季節には、空気が乾燥することによって、鼻や喉の粘膜の働きが弱まります。そうすると、ウイルスや細菌への抵抗性が低くなります。
ウイルスや細菌は、気温と湿度が低くなる寒い季節を好むため、感染しやすいです。
寒い季節になると、喉の渇きが少なくなり、水を飲む量が減ります。運動量が減ることも、水を飲む量が減る理由のひとつです。
また、運動量が減ると、筋肉量も減ります。手足の関節に負担がかかりやすくなり、手足を痛める理由になりやすいです。
飼い主のみなさんの体にも思い当たることがあるのではないでしょうか。愛犬にも全く同じことが言えるため、寒い季節の病気対策をしっかり考えておきましょう。
寒い季節になると増加する犬の病気
前章で説明したように、寒い季節には愛犬の健康を守るためにも、病気にかからないようにしっかりとした対策が必要です。
では、具体的にはどのような病気が寒い季節に増加するのでしょうか。適切な対策ができるように、この機会に学んでおきましょう。
1.泌尿器系疾患
寒い季節になると、犬が泌尿器系疾患になりやすくなります。水を飲む量が減ることが主な原因です。
メス犬の場合では、尿道が短いため、「膀胱炎」になりやすいです。オス犬の場合では、尿道が長く、先になるほど細いため、結石が詰まりやすく、排尿が困難になることがあります。
また、去勢していない高齢のオス犬の場合では、「前立腺肥大」の症状が見られることがあります。
初期症状でよく見られるのが「血尿」です。血尿が出ること以前にも、何度もトイレに行ったり、おしっこが出づらそうにしたりなど、普段とは違う様子が見られることがあります。
おしっこの回数・量・色・ニオイなどの違いにも敏感になる必要があると思います。予防策として、1日に「体重1kgあたり50ml」を目安に水を飲ませるようにしましょう。
2.心臓循環器疾患
寒い季節になると、犬が心臓循環器疾患になりやすくなります。冷たい空気を吸い込んだときの刺激が主な原因です。超小型犬や高齢犬にとくに要注意です。
心臓循環器疾患は早期発見が難しいとされています。我が家のポメラニアンにも心臓病がありますが、高齢だからと何となく受けたレントゲン検査で発見されました。
初期症状でよく見られるのが「咳」です。愛犬の心臓は大丈夫かな?と不安に思われるときは、「安静時呼吸数」を数えてみてください。
犬がリラックスしているとき、1分間の呼吸数を数えます。「吸って吐く」で1回です。30回以上であると呼吸数が多め、40回以上であると呼吸数が異常に多いと判断することができます。
予防策は、定期的な検診を受けることです。
3.呼吸器疾患
寒い季節になると、犬が呼吸器疾患になりやすくなります。口・鼻・喉・気管・気管支・肺に症状が見られます。
冷たい空気によって冷やされること、乾燥した空気によって乾燥すること、それらによって抵抗性が低くなり、ウイルスや細菌に感染しやすくなることが主な原因です。
初期症状でよく見られるのが、「鼻水」「くしゃみ」「咳」です。ひどくなると、呼吸が苦しくなり、呼吸困難に陥ることもあります。
予防策は、こまめに換気をすること、加湿すること、常に新鮮な水を飲めるようにしておくことです。
4.骨関節炎
寒い季節になると、犬が骨関節炎になりやすくなります。関節が冷えること、運動量や筋肉量が減ることが主な原因です。
朝起きたばかりのときは、関節が冷えていたり、動きが鈍くなっていたりします。急に運動をすると関節に負担がかかり、痛めてしまいやすいです。
初期症状でよく見られるのが「痛み」です。歩きたがらない、触ると鳴く、手足をひきずるなどします。
予防策は、急な運動をさせないことです。朝は犬の体や手足を温め、関節の曲げ伸ばしをするなどストレッチをさせた後でお散歩へ行きましょう。
5.伝染性疾患
寒い季節になると、犬が伝染性疾患になりやすくなります。ウイルスの活動が活発化することが主な原因です。
初期症状でよく見られるのが、「元気消失」「嘔吐」「下痢」「発熱」「血便」です。
予防策は、混合ワクチンを接種させることです。健康状態を理由に接種することができない場合には、ドッグランなどの犬が多く集まる場所へ行かないことです。
ペットホテルやトリミングサロンに預けるときも要注意です。
まとめ
寒い季節になると増加する犬の病気を5つ解説しました。
✔泌尿器系疾患
✔心臓循環器疾患
✔呼吸器疾患
✔骨関節炎
✔伝染性疾患
「暑い夏を乗り切った!」と安心していると、今度はウイルスや細菌の活動が活発化する寒い季節がやってきます。
今回解説したような犬の病気の原因となるものを排除しつつ、予防もしっかり行っていきましょう。
(獣医師監修:葛野宗)