寒~い冬の新定番!?兵庫県発の“温かなビール”が北海道の乾杯を変える!?|クラフトビール専門店「Atta maruyama」
「カンパーイ!」
1月の札幌で、厳しい冬を温かくする特別な“乾杯”の声が響き渡りました。
円山のクラフトビール専門店「Atta maruyama」で提供が始まった、新しい冬の楽しみ「ホットビール」。
寒さも吹き飛ぶ、新感覚のビールに注目しました。
円山のクラフトビール専門店「Atta maruyama」で楽しむ“温かなビール”
地下鉄東西線「円山公園駅」から徒歩3分に位置する「Atta Murayama」。木のぬくもりあふれるインテリアと心地よい空間が特徴のクラフトビール専門店です。
毎月、スタッフが厳選した国内の珍しいクラフトビールを、樽生で5種類以上提供しています。
「Atta maruyama」代表の佐々木健太さん
この日の目玉は、ホットビール。(1杯700円)
冬季限定で、60℃~70℃に温めたビールを、ホットビール専用のビールサーバーで提供します。
ラインナップは、札幌のクラフトビールメーカー「TRANS BREWING」と精和工業所が開発した「ぬくもりバニラ」と、北海道麦酒醸造(小樽)が開発した「チェリー&ベリービール」の2種類。
いずれもホットビール専用に開発されたビールで、温めることでそれぞれの香りと風味がより引き立つように工夫されています。
お客さんの心も身体もホッとさせてくれる“温かなビール”
この日訪れたお客さんたちは、「ホットビールにはあまり馴染みがない」という人がほとんど。さてその感想はいかに…?
ビール好きコンビ「いい意味で期待を裏切ってくれるおいしさ」
まずお話をうかがったのは、「クラフトビール大好きコンビ」の山下さん(向かって右)と、新保さん(左)。おいしいクラフトビールを求め、よく一緒に飲み歩いているそうです。
「あ!おいしい!」と、山下さん。
「いい意味で想像を裏切られました。温めると、熱燗みたいにクセが出るのかと思っていたけど…むしろ飲みやすい」
続けて、お隣の新保さんも感想を語ります。
「炭酸がちゃんと残っているのがすごいですね。特に『チェリー&ベリービール』が好きかな。冷たいフルーツビールよりも、フルーツのフレーバーが全体に広がっている感じがします」
常連客のたかしさん「おつまみなしでも全然OK」
常連客の”たかしさん”にも感想を聞いてみました。
もともとビールは苦手だったというたかしさん。今から約4年半前、「Atta maruyama」でクラフトビールの魅力に出会い、今では2週間に1回のペースでお店に通っているそうです。
「(ホットビールは)おつまみなしでも全然いけますね。寒い外からお店に入って来て、まずは一杯目に飲みたいビールです。ホッとする感じ」
カウンター席の木村さん「表情がすべてを語る!」
最後に、カウンター席に座っていたお客さんにも話を聞いてみました。
常連客の木村さんです。毎週末、このお店でビールを飲むことが楽しみの一つなんだそう。
ホットビールにはあまり馴染みがないとのことですが、「ぬくもりバニラ」を飲んだ感想は…?
「あっ!思ったよりも熱いんですね!どれどれ…飲んでみますか」
「あ~~~~~~沁みる~~~」
「これ、いい。“オツ”な感じ!おいしいです!」
もう言葉は要りません。
木村さんの笑顔がすべてを物語ってくれました。
ホットビールの“仕掛け人”は?
この日、店内には、スーツ姿の男性2人組の姿がありました。
他のお客さんたちのようすを、遠くからそっと見守っている、ちょっとアヤシイ2人…?
「皆さんにホットビールを気に入ってもらえてよかった…」
安堵の表情で、乾杯を始めた2人は、兵庫県伊丹市で、ステンレス加工と溶接技術を手掛ける「精和工業所」の神坂さんと内池さんです。
実は、この「ホットビール」と、それを提供するための「ホットビールサーバー」を開発したのが、まさにこの精和工業所なのです。
精和工業所は、ホットビールの魅力を世に広めるべく、昨年から様々な取り組みをスタート。今回の「Atta maruyama」での提供も、その一環なのだそうです。
兵庫県のモノづくり会社が、なぜ北海道で「ホットビール」?
精和工業所が「ホットビール」の普及に挑戦したきっかけは、2012年、地元企業・兵庫県の「小西酒造」からの相談でした。「冬場に売り上げが減るビールを温かい形で提供できないか?」という要望に応え、同社のステンレス技術を活用して開発がスタート。2013年には世界初の業務用ホットビールサーバーを完成させました。
背景には、ヨーロッパの冬の飲み物として楽しまれる「ホットビール文化」があります。日本では「ビール=冷たい」という固定観念がありますが、「温かいビール文化を日本にも広めたい」という思いが原動力になったといいます。
北海道で「ホットビール文化」を根付かせたい
精和工業所は、ビールサーバーの提供だけでなく、ホットビールの文化そのものを育てることにも力を注いでいます。
ホットビール専用のオリジナルビールをクラフトビールメーカーと共同開発し、北海道をホットビール文化普及の第一歩の地と位置づけました。
でも…なぜ北海道なのでしょう?
神坂さんと内池さんに質問したところ、次の3つを挙げてくれました。
1.冬の寒さが厳しく、温かい飲み物の需要が高いこと。
2.クラフトビールメーカーが多く、フルーツビールなど多様なビール文化が根付いていること。
3.冬季のイベントや観光需要が多く、新しい飲料文化が受け入れられやすいこと。
こうした背景から、小樽や函館などのクラフトビールメーカーと連携し、ホットビールの試験販売を展開。その結果、冬場の屋外イベントで大きな反響を得るなど、少しずつ、成功の兆しが見えてきたといいます。
「これからも温かいビールの文化を広げるために、もっとたくさんの人に体験してもらいたい!頑張ります!」
ホットビールを片手に、そう語る精和工業所の神坂さんと内池さん。
挑戦への期待に輝いていました。
ホットビールで、心も身体も温まる乾杯を!
取材の最後には、精和工業の二人、「Atta maruyama」店主の佐々木裕之さん(写真・左)と佐々木健太さん(右)と共に、みんなで乾杯をしました。
寒さ厳しい北海道の夜、店内に響いた「カンパーイ!」の声。
お店のスタッフや常連客を巻き込んで、温かな「乾杯の輪」が生まれていました。
これこそが、ホットビールの魅力を象徴する光景だったように感じます。
ホットビールで心と体を温める、新しい冬の楽しみ。
あなたもぜひ、一度その味わいを体験してみませんか?
クラフトビール専門店「Atta maruyama」
「Atta maruyama」クラフトビール専門店
地下鉄東西線「円山公園駅」5番出口徒歩3分
北海道札幌市中央区大通西24-2-18 パレンテ 1F
公式Instafram@ atta_maruyama
(毎月、様々なビールイベントを開催中!ぜひInstagramでチェックを!)
★冬季限定・ホットビールの提供は、2025年3月末までを予定しています。
取材協力:精和工業所
文・写真:Sitakke編集部ナベ子
※2025年1月取材時の内容に基づきます。最新の情報は、店舗SNSをご確認ください。