県高校総体前特集 バスケットボール女子(1)明豊 全員バスケでつかむ、再び夏の頂点へ 【大分県】
県高校総体の前哨戦となる南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九対抗)の女子県予選は明豊が優勝した。1月の県新人大会を制した大分との2校が優勝候補の筆頭だが、虎視眈々(たんたん)とタイトルを狙うライバル校も力を付けている。県総体を前に実力校の現在地を探った。第1回は2年連続の全国総体出場を目指す明豊を紹介する。
【チームパラメーター】( )は昨年の数値
オフェンス 7(8)
ディフェンス 8(8)
リバウンド 8(7)
シュート 7(8)
スタミナ 7(8)
高さ 8(8)
県高校新人大会の決勝戦。明豊のキャプテン中島綾香(3年)が試合開始直後に負傷退場するというまさかの展開で、チームは悔しい黒星を喫した。あの日のコートには、消化しきれない悔しさと、やるせない思いが残った。しかし、その経験が、選手たちの心に火をつけたことは間違いない。中島を筆頭に、チームはその雪辱を晴らすべく、2カ月間ひたむきに練習に打ち込んできた。
練習では、個々のスキルアップを重点的に取り組んだ。絶対的なエースはいないが「誰かを頼るのではなく、自分の役割を果たす」。そんな意識がチーム内に浸透し、一人一人が強さを磨くことで、再び「勝てるチーム」としての自信を取り戻していった。迎えた南九対抗の県予選決勝、相手は宿敵・大分。新人戦で敗れた因縁の相手に対し、明豊は真っ向勝負を挑んだ。そして結果は、約20点差をつける圧勝。リベンジを果たすと同時に、選手たちが積み上げてきた努力が実を結んだ瞬間だった。
エースとして勝利を呼び込む中島綾香
試合で光ったのは、平倉千春(3年)の存在感だ。杉山真裕実監督は「乗ると止まらないタイプ。前半は調子が悪かったが、(いつか良くなると)我慢して使い続けたことが功を奏した」と語る。また、ポイントガードの豊東苺子(2年)も県外遠征の経験を生かし、冷静な判断でゲームをコントロールした。こうした個の成長が、チームの厚みを増している。
エースの自覚が芽生えた中島は、完全復帰を印象づけた。第3クオーター終盤に放った3点シュートは試合を決定づける一投となった。「まぐれです」と本人は冗談めかして笑ったが、そこには冷静な判断と勝負勘が確かにあった。「全員で勝ち取った優勝」と語る中島の謙虚な姿勢こそが、今の明豊の強さを象徴している。
チームは新1年生の加入もあり、選手間の競争は激しさを増している。杉山監督は「シュート精度」「センター陣の育成」「戦術理解」などを今後の課題に挙げ、「総体までの1カ月でどこまで完成度を高められるかが鍵だ」と話す。指揮官は選手全員の成長を信じ、「全員で勝つチーム」への変貌を着々と進めている。
試合をつくるポイントガード豊東苺子
(柚野真也)