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北小金駅前南口東地区第一種市街地再開発事業が本格始動。2025年8月に解体工事に着手

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JR北小金駅周辺地区とは

JR北小金駅南口入口 ※2025年9月撮影

JR北小金駅(きたこがねえき)は、千葉県松戸市の北部に位置するJR常磐線(各駅停車)の駅である。今年、9月に公表された2024年度の1日あたりの平均乗車人数は21,716人、うち定期券利用者の割合は約67%に達する。これは、JR武蔵野線との乗換駅である隣の新松戸駅(同36,169人、定期券利用者割合約59%)と比較し高い水準であり、主にJR北小金駅が通勤・通学として利用されていることを示している。

水戸道中の道標(1768年(明和5年)) ※2025年9月撮影

松戸市北小金駅周辺地区は、かつて旧水戸街道の宿場町「小金宿」として栄えた歴史を持つ。その面影はわずかだが、宿場町として栄えた歴史を感じさせる一部の建物や道標が当時の名残を今にとどめている。

このような歴史ある北小金駅周辺で、現在、新たな市街地再開発事業が進められている。

駅周辺で再開発事業が行われるのは今回が2度目であり、1度目の事業では1994年、駅南口に商業施設「ピコティ」(施行:現UR都市機構)が誕生した。今回が2度目となる再開発事業は、ピコティが位置する駅南口の東側エリアを対象としている。

本稿では、東京圏の郊外都市の北端で進む再開発がどのような計画なのか、具体像を分かりやすく解説する。

JR北小金駅南口駅前交通広場 ※2025年9月撮影

再開発が実施される北小金駅南口の特徴

再開発事業地の位置 ※国土地理院空中写真を一部加工

北小金駅の南口は、駅のメインとなる玄関口として機能しており、1994年に完成した商業・公益施設「ピコティ」が長年にわたり駅前の顔となっている。

改めて、今回の再開発事業の対象となるのは「ピコティ」の東側に広がるエリアである。当該エリアには、低層の木造家屋や店舗、駐車場などが密集し、土地が細分化された利用状況にあった。そのため、防災性の向上や、地域の拠点である駅前にふさわしい土地の高度利用が長年の課題となっていた。今回の事業は、これらの課題を解決し、商業機能と居住機能を備えた新たな駅前の核を形成することを目的としている。

再開発に至るまでの経過

再開発エリアの現状(県道280号線、旧水戸街道側より撮影) ※2025年9月撮影

・1997年:地元地権者により「北小金駅南口・東地区街づくり研究会」の発足
・2018年:民間事業者を事務局とした「北小金駅南口東地区市街地再開発協議会」の設立
・2020年:再開発準備組合の設立
・2022年:再開発に必要な都市計画の決定
・2023年:再開発組合の認可
・2025年:権利変換計画認可・同年8月に解体工事着手

20年以上にわたり再開発の実施に向けた検討が進められてきており、2020年に準備組合の設立、2022年には再開発の実施に不可欠な都市計画決定が行われ、その後、2023年には再開発組合が設立された。そして、2025年8月に既存建築物の解体工事に着手している。私が取材を行った2025年9月時点では仮囲いが設置されており、一部で解体が進められている状況を確認できた。今後、本格的に解体工事が進められる。

市街地再開発事業の概要

再開発エリアの現状(JR北小金駅南口側より撮影) ※2025年9月撮影

市街地再開発事業の正式名称は、「北小金駅南口東地区第一種市街地再開発事業」といい、施行者は「北小金駅南口東地区市街地再開発組合」、組合員として、野村不動産株式会社ならびに株式会社長谷工コーポレーションが参画している。

設計方針として事業計画書では5つ掲げられており要約すると次のようになる。

①300戸超の多様な世帯に対応する質の高い都心型住宅を集約配置し、利便性と独立性に配慮
②商業施設は南敷地の低層階に集約し、広場と調和した賑わい空間と適正配置を計画
③建築物の省エネ基準に適合し、運用コスト低減と地球温暖化抑制に配慮した設計
④住宅は機能性を確保した鉄筋コンクリート造、商業施設は可変性を持つ鉄骨造で計画
⑤上下水道容量を超えないよう配慮し、雨水流出抑制槽や防災倉庫を備えた自立性ある計画

施行面積は約0.9ヘクタール、建築物が建てられる敷地は北と南に分けられており、北側敷地には延べ面積約2万m2、南側敷地には延べ面積約1万m2に及ぶ共同住宅(分譲住宅)を中心とした用途の高層建築物が建てられる。また、敷地と道路境界との間には、約2mの歩道状の空地や北側敷地と南側敷地との間には約1,000m2の広場が設置される計画となっている。

再開発建物完成イメージ ※出典:北小金駅南口東地区市街地再開発組合、野村不動産株式会社、株式会社長谷工コーポレーション(2025年4月11日)「JR常磐線北小金(千葉県松戸市)駅前における「住宅×商業×広場」の再開発事業」

<北側敷地・建物概要>
・建物名称:未定(北小金駅南口東地区第一種市街地再開発事業 北側敷地)
・敷地面積:約4,280m2
・用  途:住宅、店舗、駐車場、駐輪場
・建築面積:約1,730m2
・延べ面積:約21,830m2
・規  模:地上20階
・高  さ:約60m
・総事業費:約170億円(南側敷地を含めた全体事業費)

<南側敷地・建物概要>
・建物名称:未定(北小金駅南口東地区第一種市街地再開発事業 南側敷地)
・敷地面積:約1,880m2
・用  途:住宅、店舗、駐車場、駐輪場等
・建築面積:約1,300m2
・延べ面積:約10,110m2
・規  模:地上15階
・高  さ:約45m

住宅部分については、北側敷地および南側敷地合わせて379戸が計画されており、戸あたりの床面積の平均は約70m2、設計方針のとおり多様なタイプの分譲住宅の計画となる。なお、分譲住宅のタイプや戸数等の計画は次のとおり。
(型/戸数/戸当り床面積)
1LDK/26戸/30m2〜45m2
2LDK/58戸/50m2〜60m2
3LDK/281戸/70m2〜80m2
4LDK/14戸/80〜85m2

その他の詳細は市街地再開発組合のホームページを参照
▶︎https://kita-kogane.com

再開発事業地の配置図 ※出典:「松戸都市計画 北小金駅南口東地区第一種市街地再開発事業 事業計画書(令和7年1月)」を一部加工

市では再開発に関連・連携した基盤整備を実施予定

北小金駅周辺地区(千葉県松戸市) 整備方針概要図(都市構造再編集中支援事業) ※出典:松戸市(https://www.city.matsudo.chiba.jp/shisei/toshiseubi/seibikeikaku.html)

今回の再開発事業では当該事業のみならず、松戸市では再開発と連動し、駅周辺の広範囲なエリアを対象とした「都市再生整備計画(北小金駅周辺地区)。都市再生特別措置法に基づくもので市区町村が策定するもの」を2025年3月に策定している。

計画期間は法定の2025年度から2029年度までの5年間で 、「公園等の利便性向上」や「安全安心な都市機能の向上」などを目標に掲げている 。

具体的な事業としては、地区内22箇所の公園で遊具更新やバリアフリー化を実施するほか 、公共サインの整備やマテバシイ通りの街路樹再整備によって歩行空間の魅力を高めるとしている。さらに、街頭防犯カメラやデザインマンホールの設置なども盛り込まれた。

同市はこれらの社会基盤整備と民間による再開発事業との相乗効果によって、北小金駅周辺地区全体の魅力向上を図ることとしている。

いつ完成する?事業スケジュール

北小金駅南口東地区の再開発事業は、2025年8月現在、解体工事に着手しており、建築工事の着工は2026年4月が予定されている。また、建築工事の竣工は着手から2年後の2028年が予定されている。

スケジュールを整理すると次の通りである。
• 2026年4月:建築工事着工(予定)
• 2028年10月:全体竣工・開業(予定)
なお、再開発事業に関する完了時期は、2029年3月が予定されている。

※出典:「松戸都市計画 北小金駅南口東地区第一種市街地再開発事業 事業計画書(2025年1月)」

北小金駅周辺の交通利便性と居住性

JR北小金駅改札口 ※2025年9月撮影

都内へのアクセスに優れたJR常磐線沿線では、いくつかの駅で市街地再開発の動きが進んでいる。荒川区のJR三河島駅や葛飾区のJR金町駅に続くのが、JR北小金駅である。隣接する柏市でも、JR北柏駅北口で土地区画整理事業が進められているが、市街地再開発事業という点では、千葉県から茨城県南部にかけての都内通勤エリアで特に注目されるプロジェクトである。

交通面では、松戸市の中心であるJR松戸駅(約10分)よりも、大規模商業施設が集積するJR柏駅へ約7分とアクセスしやすい。隣のJR新松戸駅でJR武蔵野線に乗り換えれば、埼玉方面への移動もスムーズである。また、JR東京駅へは、松戸駅で上野東京ラインを利用して約40〜50分でアクセス可能だ。このように、活気あふれる柏と落ち着いた松戸、両方の生活圏を享受できるのは大きなメリットと言える。

居住性の面では、駅南側や旧街道沿いの商業系用途地域は限定的で、エリアの多くは第一種住居地域や第一種中高層住居専用地域に指定されている。そのため、住宅街では大規模な商業施設や中大規模の工場が建設される可能性が低く、落ち着いた住環境が保たれやすいといえる。

駅周辺には暮らしに必要な施設が整っており、日常生活がコンパクトにまとまる。普段使い以外の買い物は柏や松戸、都心へ出るというメリハリの効いた暮らし方が可能だ。さらに、かつての「小金宿」としての歴史が街の落ち着いた雰囲気を育んでおり、今も残る神社仏閣の多さや下総台地らしい起伏に富んだ地形が街の個性を形作っている。

最後に、今回の再開発は、再開発の事業計画書にある通り、北小金駅前の防災性を高め、土地の高度利用を図ることで都市機能を更新するものである。事業完了後は、宿場町としての歴史的背景を持つこの街に、新たな大規模共同住宅と商業施設、加えて、約1,000m2に及ぶ広場が加わることになる。これにより、地域に不足している都市機能が導入されることで暮らしやすさが向上するのではないだろうか。

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