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ゲストも釣れる!?冬シーズン本番のメジナ釣り食い渋り攻略のメソッドとは?

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ゲストも釣れる!?冬シーズン本番のメジナ釣り食い渋り攻略のメソッドとは?

まだまだ寒い季節ですが、磯釣り(メジナ釣り)に好適なシーズンです。海水温が低下するこの時期はエサ取りと呼ばれる小魚が少ないため、大型をねらうチャンスでもあります。とはいえ、近年は温暖化による海水温の上昇が顕著となり、ねらい通りに本命が釣れないこともありますが、ゲストとして釣れた魚たちもそれなりに処理して持ち帰ると、美味しい食材として楽しむことができます。
今回は、本命のメジナが食い渋った際の攻略法と、ゲスト魚を美味しくいただく模様をお届けしましょう。

メジナ釣りのシーズンは冬から春がイイ

磯釣りで人気ターゲットといえば、まず「メジナ」を筆頭に挙げてよいでしょう。私がよく通う伊豆半島では、「メジナ(クチブトメジナ・関西ではグレ)」と「クロメジナ(関西ではオナガグレ)」がよく釣れます。両者のなかで冬場とくに人気があるのはメジナで、産卵期が2~5月ということで冬から春にかけて釣りやすくなります。

メジナもほかの魚種と同様に産卵期に入ってしまうとやや味は劣りますが、岩場に付着するノリ類を食べるために日当たりのよい浅場に集まってきて、普段はポイントにならないような小場所でも、大釣りできる可能性が高まります。

私見になりますが、伊豆半島では南伊豆で4月の2週目、東伊豆だと4月いっぱいが楽しめる季節。年によって状況は異なりますが、それ以降になるとイスズミやアイゴといったゲストが多くなる印象です。

まずはおさらい!


冬ゆえの準備と注意

道具と装備

渡船を利用する場合でも徒歩で釣り場に向かう場合でも、救命胴衣磯用のシューズは必須のアイテムです。また、夏場は釣れた魚を持ち帰ろうとする場合、傷みが早いので「クーラーボックス」と「氷」の準備は欠かせませんが、冬場は「ライブウェルバッカン」と「ドングロス」を用意すればおおむね大丈夫です。

これ以外にも、釣れた魚を生かしておくのに「スカリ」はとても便利ですが、近年は沿岸でもサメが多く、頻繁にサメが出没するような釣り場では使用しない方が無難です。

サメが出没するエリアでのスカリ利用は要注意!冬磯、冬の釣りの注意点

メジナの好物であるノリ類は、海水温が17℃を下回ると菌糸が伸びて成育します。波しぶきが上がる磯場では、足場がよいと感じてもこれらノリ類が付着していて、一見乾燥しているようでも滑ることがあります。救命胴衣の着用は当然ですが、スパイクシューズの用意が必須です。

また、冬から春先にかけての磯場では、天候の急変にも十分な注意が必要です。安定した強い季節風が吹いている間は波静かなポイントであっても、風が収まると途端に風に押さえつけられていたウネリが入ってくることがあります。強風の日は風が収まるからと安心せず、波の変化にも十分注意してください。

さらにもう1つ。冬場は寒いとどうしても厚着をします。普段は何ともない岩場でも、厚着をすることにより動きが制限され、飛び移る際に足が届かないなどの事故が起きることがあります。また、狭い釣り場に多くの荷物を置いた場合、救命胴衣などが引っ掛かって思わぬ落下につながることもあります。恥ずかしながら過去に私も、一眼レフカメラを入れたバッグに救命胴衣が触れて海中に落下させてしまったという苦い経験があります。
このように、厚着をしている冬場は周囲への注意動作の注意が必要です。渡船利用は釣りにおいて大変便利ですが、安易に飛び移れると慢心せずに、足場の位置や距離が十分届く範囲であるかを確認して渡礁しましょう。その際少しでも不安があれば、マスクやヒップガードなどは外し十分な視界を確保しつつ、身軽にしておくことも重要です。

基本的なタックルと仕掛

竿は5~5.3mの磯竿。1~1.5号が標準ですが、根の荒い場所では2号の竿を用意しておくと無難です。リールはスピニングリールで、ナイロン3号を150m巻けるものがよいでしょう。レバーブレーキの有無は好みで構わないと考えています。

前述の通り、道糸にナイロンを使用する場合は3号程度。しかし、PEラインを使用する場合は0.8~1号でよいでしょう。ただし、足下の釣りではナイロンの中糸を使用することでショックを和らげる効果があります。
ハリスにはフロロカーボンの1.5~3号を。細くし過ぎてしまうと、磯際で食わせたときに根ズレによるバラシが生じてしまう恐れがありますので注意が必要です。

ウキは「円錐ウキ」でも「立ちウキ」でも好みのもので構いませんが、私は感度と視認性の高い「彩ウキ・新遠投きはだ(MAKOTO FISHING)」を使用しています。ハリは「グレ」バリまたは「伊勢尼」の7~10号を使用します。

エサの準備はマキエとサシエを

渡船で7~14時(7時間)ということであれば、オキアミ・キロ板1枚+アミエビ2kg、それに配合エサ1袋というのがエサ量の標準です。オキアミは完全に解凍する前にスライサーで細かく砕いておきましょう。配合エサは1~1.5kgのものを用意しますが、使いやすいのは「遠投タイプ」です。
ちなみに、集魚力をうたった商品が多く出回っていますが、高集魚のものとそうでないものと比較しても、個人的には実際の違いはほとんどないように感じています。なので集魚力に関してはお好みで…。

サシエには生のオキアミを使用しますが、マキエの一部を使用するのが一番同調して食ってきます。特別にほかのエサを用意する必要はないでしょう。

ブロックから分けたオキアミのサシエ

食い渋ったときの対処

産卵期とはいっても、年間で最も海水温度が低くなる2月下旬から3月上旬にかけては、日によって食い渋ることが多くなる季節でもあります。寒波が襲来すると2~3日ほどあとになって海水温度が下がることがあり、そんなときに限って潮が澄み、メジナは食欲が低下するうえに警戒心も高くなり、とても手ごわい相手となります。
そんなときは次の点に留意してみましょう。

タナの設定

食いが渋くなったメジナは、エサを食べるタナが狭まるとともに海底近くに居るようになります。冬場は比較的エサ取りが少なくはなりますが、エサ取りにとってもエサを食べることができて居心地のよいタナは狭まるため、普段はメジナよりも深いタナ、あるいは浅いタナで食ってくるゲストもメジナと一緒に釣れることがあります。「エサ取りがいるからタナが合っていない…」と考える必要はありません。
サシエのオキアミが仕掛を回収しても残ってくるような場合は、たとえエサ取りであっても、反応のあるタナを見つけることがとても重要です。

食いが渋いとき、私が立ちウキを使用する理由は、ウキ止め糸を反応が出たタナに設定しておくことにより、次の投入からダイレクトにそのタナにサシエを届けることが容易になるためです。
活性が高いときや潮が動いている場合は、中通しウキで上から落としていくのが効率のよい釣り方だと思われますが、前述した通り活性が下がったメジナはタナの幅が狭くなるため、毎回上から攻めてくのは効率がよいとはいえません。

朝のうちや潮の効く場所ではメジナの活性が高く、磯際を垂直に移動しながらエサを食べます。しかし活性が低いとき、釣り人のマキエが大量に投入されると、メジナのポイントは遠くなりタナも狭まります。こんなときは立ちウキでタナを決め、アタリが出るまでじっくり待つことが効果的と考えています仕掛の自重を軽くするよりも…

仕掛の自重を軽くする。浮力ゼロのウキが高感度と思う方がいるかもしれませんが、そうではありません。それよりも、エサを吸い込む力が弱いメジナにオキアミを食わせるためには、自重の軽い仕掛を用いて、むやみに糸を張らないことが重要です。

エサに関して、オキアミだけでなくアミエビを併用するのは、メジナが満腹になるまでの時間を稼ぎ時合を長くするためです。満腹になると釣りバリの付いたエサには見向きもしてくれなくなります…。
また、ついつい力んでマキエを仕掛よりも遠くに投入してしまうことがありますが、メジナは仕掛ではなくマキエに集まってきますから、マキエが仕掛よりも遠い位置にあれば、メジナはそれよりも手前に寄ってくることはありません。

マキエの投入位置と投入量に注意。食いの渋いときにアタリがないからと大量のマキエを投入してしまうと、メジナたちは満腹になり、釣りバリが付いたオキアミに見向きもしなくなってしまいます

「繊細な仕掛にする」「ウキや仕掛の自重だけでなく道糸やハリスを細くする」「釣りバリを小さくする」などは食わせるために重要ではありますが、細すぎる仕掛はいうまでもなくバラシの原因になりますから注意が必要です。食い渋りのときのバラシは、あとあと影響が大きいのでなおさらです。

冬磯で実釣!


予想通り渋いながらも美味しいゲストに満足

さて、2月の上旬に熱海の沖磯「カンノン」に渡船してみました。お世話になった「フィシングショップサンワ」さんではエサや仕掛などの販売のほか、オキアミの解凍と渡船店さんの手配も行っています。

フィシングショップサンワ

住所:〒413-0023 静岡県熱海市和田浜南町1694-18
TEL:0557-81-3967
HP:http://www.fishing-sanwa.jp/index.html

定休日:第3水曜・木曜

今シーズンはメジナの釣果がよく、さらに当日は週末とあってどの磯も予約で満杯でした。熱海は伊豆半島の東側に位置しているため季節風に強く、この時期でも渡船できる日が多いというメリットがあります。一方、凪が続くと連日攻められるとあってシビアな一面があるものの、メジナの魚影は濃いうえに首都圏からも近く、とても魅力のある釣り場です。

朝5時半にサンワさんに到着すると、頼んでおいたオキアミはほどよく半解凍状態になっていました。専用のコンテナとスコップを貸し出してくれるため、容易にオキアミを砕いて配合エサと混合しバッカンに入れることができます。残りの配合エサとアミエビは後半の食い渋り用に取っておきました。

日の出時刻が早くなり、周囲が明るくなった午前6時半に熱海港を出発。ポイントまでは約10分で到着します。途中で人気磯の「エボシ」と「アラレ」にお客さんを降ろし、われわれの釣り場に到着しました。

さっそくポイントに到着後、仕掛をセットして投入しましたが、普段のようなフグの猛攻もなくオキアミが残ってきます。そこでタナを変えながら探ると、ようやくフグの反応がありました。
フグの反応から「このタナに魚が集まっている」と判断し、投入した仕掛の位置に一定の間隔でマキエを少量ずつ被せるように投入。しばらく待っているとようやくアタリがきましたが、空振り続き…。

そこで、仕掛全体を軽くしてしぶとくねらってみると、小型のメジナが食ってきてくれました。しかし、アタリはなかなか続いてくれません。そんななか、唐突に強いアタリがあり強烈な引きが…! 上がってきたのはタカノハダイでした。

それでもとにかく辛抱。仕掛を回収して、サシエのオキアミが残っているようなら20~30cmタナを下げ、2~3投続けてエサがなくなっているようなら逆に20~30cmタナを上げる…。この繰り返しから4.5mほどのタナで魚の反応が多くあったため、ウキ止め糸でこのタナに設定し粘っていると、少ないながらメジナのアタリが出てきました。

最終的に手のひらサイズから34cmのメジナと、同サイズのクロメジナを釣り上げたものの、合計6尾という貧果に終わりました。
とはいえ、十分に釣りを楽しみあっという間に時間が経過。磯の掃除をしたのち、午後3時に撤収。小型はリリースして、タカノハダイとメジナたちを持ち帰り美味しくいただくことにしました。

ゲストと侮るなかれ…


煮付けが最高!なタカノハダイ

タカノハダイは鮮魚として流通することがほとんどない魚なので、磯釣りをされない方には馴染が薄いかと思われますが、実は大変美味な魚です。釣れた直後に血抜きをすることにより磯臭さもなくなります。
持ち帰ったタカノハダイは、最初に背ビレと腹ビレをハサミで切り落としてからウロコを取ります。タカノハダイはウロコを取りにくい魚なので、ヒレを切り落としておくことで調理の際に手にヒレが刺さることを防ぐことができます。そのあと内臓とエラを取り除けば下処理が完了です。

そして「煮付け」にするにはまず、みりん、醤油、日本酒(調理酒)、そしてそれらと同量程度の水を鍋に入れ、沸騰したらタカノハダイを入れます。ポイントはアルミ箔を被せることで、汁に浸かっていない部分にも熱をいき渡らせること。20分ほど煮たら一旦冷まし、しばらくしてもう一度温めれば完成です。

冬の磯釣りはメジナだけでなく、このタカノハダイやボラなどのゲストも大変美味な季節でもあるので、持ち帰って食べるという楽しみも加わりますね。

3月は年間で最も海水温が低下する季節となります。これから磯釣りに出掛ける予定があるなら、ぜひ当記事を参考にしてみてくださいね。

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レポーター

プロフィール:長岡 寛
1960年生まれ、東京都出身
北里大学水産学部(現・海洋生命科学部)を卒業後、大手釣りエサメーカーに入社し研究開発担当として数多くの新製品を手掛けた経歴を持つ。
定年退職後の現在は、「フィッシング彩」代表としてメジナ、クロダイ用の立ちウキ「彩ウキ」を製造・販売するほか、釣り関係の新聞・月刊誌などの執筆、大学や高校での講師としても活躍。代表著書に「釣りエサのひみつ(つり人社)」がある。
趣味はもちろん釣りだが、写真撮影、魚の組織標本作成、釣りに関連したアニメーション作成など多方面にわたる。さまざまな活動を通じて、ハードルの高い釣りのとっつきにくさやその先入観を拭い、できるだけ手軽に楽しんでもらうキッカケづくりができればと考えている。

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