400年間公開されたことのない 久能山東照宮 の禁足地にある古社と、富士山を望む 日本平ホテルでの絶景カフェタイム(静岡県)
徳川家康を一番最初に祀った、国宝「久能山東照宮」。前回の記事ではその貴重な拝殿・本殿の内部や家康のお墓などをご紹介しました。
徳川家康を最初に祀った「久能山東照宮」と富士山・日光東照宮との不思議な関係とは! 貴重な建造物が残る観光スポット
今回は、創建以来の約400年間、一般には公開されてこなかったというさらに貴重な場所、久能山の杜に入山する機会を頂きましたので、お伝えしていきます。
400年間一般公開されてこなかった「禁足地」を特別に公開
ここからは、今回の取材で、本当に特別に場所に、取材で立ち入りができましたので、ご紹介します。特別な場所に立ち入る前には、久能山東照宮の拝殿の中で、国宝社殿での精神修養(心のお清め)を行い、禁足地に足を踏み入れる準備を行います。
そしていよいよ、神職以外の一般の人は入ることが出来ない、久能山の山頂をめざし禁足地に入ります。ご案内を頂いたのは、前回に続き、久能山東照宮 の齋藤曜さんです。
久能山の山頂には、末社愛宕神社という一番の古社があり、そこを目指して山を登っていきます。
この久能山には、久能山東照宮が出来る以前の戦国時代には、山城がありました。現在の参道としてされている道は40万人が行き来する道ですが、山に登る際にはそれとは異なる道を、戦国時代には使っていたようです。織田信長や徳川家康などが、ここを訪れた際に歩いたとされる通路も残っており、現在は神職の人が使うための道となっているそうです。
久能山にあった山城は、地形的に3方を山で囲われていますが、西側だけが弱点だったようで、本曲輪を守るための城壁が構築されており、その城壁が400年間変わらずに残っています。
この杜は400年ほどの間、手付かずのままの場所がほとんどで、道は400年前に武将が歩いていた “けもの道” を通路としているそうです。ただし最近になり、あまりにも育ちすぎた危険木などが、通路や建物に影響を及ぼす懸念があるために、そういった危険木を計画的に伐採し始め、たそうです。
動物も現れるという杜の中を、進んで行きます。道沿いには、葵の御紋が付いた石なども残されていますが、これは東照宮建築時に建てられていた、何かが崩れたものなのでしょう。
途中には、山の斜面の切り拓き、土塁で壁を造り構築された「切り通し」も、山城の時代のまま残されていました。通常時は人や馬が通るため、戦の際には城の防御や攻撃のために使用されました。
さらに山道を登っていきます。
歩き続けると階段が見えてきます。階段を上った先には、目指す建物である「末社愛宕神社」が見えてきました。
「末社愛宕神社」は、東照宮の創建の前から存在し、久能山の山中第一の古社という言い伝えがある古い神社で、火伏せの神として信仰されています。禁足地内の危険な場所に位置しているため、一般の方は参拝することはできませんが、年に1度、神社例祭が久能山東照宮の神職の方により行われています。
山頂にある神社の周囲は、今は大きな木が生い茂っているため眺めることは叶いません、山城だった頃には見晴台とされていた場所だったという事で、駿河湾や遠くの御前崎などまでを眺めることが出来てる景色の良い場所だったそうです。
そして、この末社愛宕神社の建物のちょうど真後ろに富士山の山頂が位置しているそうです。ツアーでは、この末社愛宕神社の前から、その裏側にある富士山を遥拝(ようはい、遠く離れた場所から拝むこと)することになるそうです。
ここまでに至る道沿いには「久能山」という山の名前にゆかりのある場所もありました。「久能寺縁起」によると7世紀頃の推古天皇の時代に、久能忠仁が初めて山を開き、一寺を建て、観音菩薩の像を安置し補陀落山久能寺と称したことに始まると記されているそうです。途中にはその久能忠仁を祀る祠がありました。
今回は、400年余り一般の人が入れなかった 禁足地の取材という、非常に貴重な体験をさせていただきました。実は、この禁足地に入ることが出来るという貴重なツアーは、JR東海が行っている「もれなく富士山キャンペーン」というキャンペーンで取り扱っているツアーです。
「もれなく富士山キャンペーン」
「もれなく富士山キャンペーン」は、富士山を見る事と一緒に楽しめるレジャー体験、観光名所、グルメなどを紹介する旅のキャンペーンで、EXす。その中の、” 国宝・久能山東照宮の禁足地で特別拝観&富士山を遥拝 特別限定御朱印紙付き” という旅行プランでは、「久能山東照宮の」国宝社殿で行う精神修養(心のお清め)で禁足地に足を踏み入れる準備を行い、神職のご案内で入山。久能山の山頂にある第一の古社(末社愛宕神社)から富士山を遥拝するというプランになっており、限られた日程で人数を限定して実施されています。
プラン内容に関しては、JR東海の「もれなく富士山キャンペーン」のWebサイト(「もれなく富士山」でWeb検索ください)からご確認ください。(※こちらのプランは、この原稿を書いている時点では販売停止になっているようです。「久能山東照宮」で祈祷をしてもらう事で拝殿の中に入ることが出来るプランなどは、JR東海のEXツアーなどで取り扱いがありますので、久能山東照宮の建物の内部まで行ってみたいという方は、こちらを探してみてください。)
久能山東照宮博物館
楼門の下、ロープウェイの久能山駅の近くには、「久能山東照宮博物館」という博物館があります。ここは、大人は400円、小中学生が150円(社殿との共通券であれば割引があり、大人800円、小人300円)で入館できる、久能山東照宮に奉納された数多くの伝世の宝物を収蔵している博物館です。
この博物館に収蔵されている資料は、徳川歴代将軍の武器・武具が充実している事や、徳川家康公の日常品が多くまとまっているのが特徴であり、その総数は2,000点を超えるという充実ぶりです。館内は写真ではご紹介できませんが、博物館には、スペイン国王から徳川家康に贈られたと伝わり、国の重要文化財でもある「洋時計」が展示されています。また、徳川歴代将軍全ての兜や鎧、刀といった武具が揃っているなど、この博物館でした見られない貴重なものがたくさんありますので、ぜひ久能山東照宮と一緒に、見学をしてみてください。
久能山東照宮からの帰りは、往路と同じように、2パターンの帰り方があり、久能山下まで1,000段あまりの階段を使い歩いて降りるか、日本平ロープウェイに日本平に向かうか、の選択になります。
日本平のロプウェイ乗り場まで車で来た方は、そちらへの帰路となると思いますが、もしも体力があれば途中まで階段を降りてみて、海の見える場所で景色を楽しんむのも良いかもしれません。
「日本平ホテル」から市街地や富士山を見ながらケーキセットを
日本平周辺で、「もれなく富士山キャンペーン」で実施されているプランをもう一つご紹介します。
静岡市清水区の高台に位置する「日本平ホテル」は、清水駅周辺の市街地の景色と駿河湾、そして富士山を一望できるという絶景を眺められ、「風景美術館」というコンセプトを持つホテルです。(この辺りの地名は、日本平/にほんだいらですが、このホテル名は、 にっぽんだいらホテル と読むそうです)
高台にあるホテルから見える、富士山と街並み、駿河湾やそこに浮かぶ「三保の松原」は絶景ですので、一度は訪れる価値がある場所といえるでしょう。
そんな場所でのおすすめプランは、別棟のカフェレストラン「ガーデンラウンジ」で、ケーキとコーヒー/紅茶が楽しめる「ケーキセットプラン」(1200円)です。
こちらは、通常はカフェタイムの事前予約が出来ないところを、「もれなく富士山キャンペーン」・EXサービス会員向けに特別に事前予約ができるそうですので、席の確保しておきたい方は、是非こちらをご利用ください。(「もれなく富士山」で検索し、キャンペーンページから日本平ホテルのガーデンラウンジ ケーキセットを選択ください)
日本平ホテルの別棟に向かう途中にある中庭からは、こんな絶景が広がっていますので、天気の良い日であれば、中庭でゆっくりするのも良いと思いますよ。
日本平ホテルへは、JR静岡駅から、路線バスで約35分、タクシーで約25分でアクセスでき、ホテルご利用のお客様向けにはシャトルバスも運行しています。
今回は、静岡県の静岡市、日本平周辺の観光スポットをご紹介しました。
「久能山東照宮」は、松本潤さんが徳川家康役を演じた2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送以来、更なる注目を集めている場所で、江戸時代初期の豪華な建造物がそのまま残されている貴重な場所です。近くにある「日本平ホテル」から、市街地や駿河湾そして富士山を望む絶景も一見の価値があります。静岡県を旅する機会があれば、是非、訪れてみてください。
鎌田啓吾
(鉄道チャンネル)