「青梅線」沿線が“まるごとホテル”に!?
東京の多摩地域にお住まいの方、出身の方もそれ以外の方にも多摩を楽しんでいただきたいという番組「立飛グループpresents東京042~多摩もりあげ宣言~」(略して「たまもり」)。MCは土屋礼央さん(国分寺市出身)&林家つる子さん(八王子市の大学出身)。
今週は、多摩の企業を応援していくシリーズ。土屋が先日取材でお世話になった、地域資源を“編集”するという「沿線まるごとホテル」プロジェクトを紹介!
「青梅線」沿線が“まるごとホテル”に!?
土屋:さっそくゲストをご紹介です。「JR東日本 八王子支社」の大友智仁さんです。
大友さん:よろしくお願いします。
土屋:大友さんは、今回紹介する「沿線まるごとホテル」プロジェクトの初期の段階から関わっている方です。大友さんは普段、どんなお仕事をされているんですか?
大友さん:「JR東日本 八王子支社」で多摩エリアを中心に地域事業に携わる部署に所属しています。新規事業の立ち上げですとかイベント業務などを行なっています。その中でも一番やっているのが、今回の「沿線まるごとホテル」事業を通じた「青梅線」沿線の活性化に尽力しています。
土屋:ということは・・・「JR東日本 八王子支社」にお勤めですけど、電車の運転とかそういうお仕事ではないんですね?
大友さん:そうですね。地域と一緒に沿線を盛り上げていくという職場です。
土屋:大友さんは鉄道好きなんですか?
大友さん:鉄道、そうですね・・・
つる子:(笑)。
土屋:鉄道好きを強制したわけではないので(笑)。鉄道好き以外の目線があった方がいいと思っているので。
大友さん:微妙な回答で申し訳ございません(笑)。
土屋:なぜ「JR東日本」に入られたのですか?
大友さん:もともと仙台出身で。仙台といってもそんなに企業が多くない中で、大企業で公共交通インフラというと近くにあるのが「JR東日本」で。鉄道もそうなんですけど、私がいる地域をどうにか盛り上げられないかみたいなところで、「JR東日本」を志望しました。
土屋:仙台にいた頃、多摩という地域についてどんなイメージでしたか?
大友さん:すごく言い方が悪いですけど、ちょっと田舎なのかなって(笑)。
つる子:(笑)。
土屋:ありがとうございます、この人は信じられる!
「沿線まるごとホテル」プロジェクトとは!?
土屋:そもそも「沿線まるごとホテル」プロジェクトとは何か、まずは概要を教えてください。
大友さん:「沿線まるごとホテル」プロジェクトは、駅とその周辺に点在する集落、地域資源を“編集”して、地域全体を“ホテル”に見立てたプロジェクトです。具体的には、「青梅線」の無人駅をホテルのフロントにして、「青梅線」沿線の空き家をホテルの客室に改修して、地域住民をホテルのキャストとして関わることで、単なる観光だけでなくて、地域の経済循環、人口の流入、創出などを目指した地域創生事業になっております。
土屋:地域事業の“編集”! かっこいい!
つる子:かっこいいですね!
土屋:“編集”っていいなと思うのは、更地にしてゼロから新しいものを入れていくのではなく、あくまでも地域というものを生かそうということですよね?
大友さん:そうですね。我々が共通しているのが、あるものを生かして変えて行こうというところで。一緒にプロジェクトをやっている堀部安嗣さんという方のすごくかっこいい言葉で、<もともとあったものがホコリを被っていただけで、それを取っただけなんです>とおっしゃっていて。その言葉はすごいなって。もともと良い物はあったんです、と。
つる子:なるほど。
土屋:「沿線まるごとホテル」プロジェクトが生まれた経緯や背景を教えてください?
大友さん:「JR東日本 八王子支社」が管轄する「青梅線」沿線の一部で人口減少、高齢化が進んで、それに応じて乗降客数も減少している状況でした。そういった中で、2018年に「青梅駅」から「立川駅」間を“アドベンチャーライン”と命名して観光路線化にして、それに紐付けたイベントをやっていたんですけど、一過性のものにしかならなかったんです。
つる子:はい。
大友さん:それをどうにかできないかということで、「奥多摩町」の隣の山梨県小菅村で「さとゆめ」さんという企業が“村まるごとホテル”というのをやっておりまして。そのモデルを「青梅線」沿線で展開できないかというところからこのプロジェクトが始まりました。
土屋:なるほど。地域創生の「さとゆめ」さんという会社が他の場所で村全体をホテルにしようというのがあって。それを鉄道をも含めた融合ということで。
つる子:なるほど。
土屋:つる子さんは、「青梅線」の「奥多摩」方面には行ったことがある? なかなか行かないエリアだけど。
つる子:1回だけ川遊びをしに行ったことがあるんですけど。
土屋:たしかに、1回行ってで終わることがある路線ではありますよね。青梅線の観光路線化は昔から長期的に考えられていたことなんですか?
大友さん:そうですね。2018年の7年前から「JR東日本 八王子支社」としてはいろんな取り組みをしていて。本格的に「沿線まるごとホテル」プロジェクトを始めたのが2020年で、今やっと日の目を見ているような状況です。
土屋:一番の特徴は、駅をフロントとしてそこで地元の方がキャストとしてアテンドしてくださるという。これはなかなか聞いたことがないですよね。
つる子:具体的にどんな形で宿泊するんですか? 流れが気になります。
大友さん:「青梅線」を“ホテルのエレベーター”として位置付けていて・・・
つる子:「青梅線」を!? おお~!!
土屋:フラットなエレベーターだ!
大友さん:「鳩の巣駅」はホテルのフロント。そこで、地域住民の方がお出迎えをしてチェックインします。チェックイン後、実際のホテルまで住民が送迎させていただいて。そこから地域の内外をお散歩して頂いたり、多摩川を一望できる客室やサウナでゆっくりしてもらうとか、そういう感じになります。
つる子:へえ! ホテルはどこにあるんですか?
大友さん:「鳩の巣駅」と「古里駅」の間に今、建てています。
土屋:地域資源を“編集”するというくらいですから、もともとあったものをリフォームしたんですか?
大友さん:そうですね。築120年の古民家を改修して新たに生まれ変わったという感じですね。
土屋:事前に「沿線まるごとホテル」のホームページを拝見したんですけど、なんてモダンなお部屋なんだろうと思って!
つる子:そうなんですよ!
土屋:それが「Satologue (さとローグ)」という宿泊施設で。今年5月にオープンばかり。聞くところによると、けっこう満室でお部屋が埋まっているらしいじゃないですか!
大友さん:ありがたいことに。今年5月に開業しまして、6月、7月、8月と今のところはたくさん予約を頂いているいる形です。
つる子:すごい。
土屋:正直にいうと。ほぼ行かない路線ですよ、申し訳ないですけど。「鳩の巣駅」も「青梅駅」からだいぶ先で30分くらいで。
つる子:「Satologue (さとローグ)」にはどんな施設があるんですか?
大友さん:レストランとサウナと客室。それと、施設内には「ビオトープ」という奥多摩の生態系を調べるお庭とか。あとは、「奥多摩」の名産のワサビ田を一部造成した複合施設となっております。
土屋:レストランは地元の食材を使ってフランス料理っぽくアレンジする感じですか?
大友さん:そうですね。こちらに移住してフレンチをやってきたシェフが腕を振るって、地域の食材とか、敷地内で自分たちで育てた野菜をアレンジしたり、「奥多摩」の名産のわさびを使ってフレンチベースで整えてお皿に出している感じになります。
土屋:「奥多摩」に移住してきて働いていらっしゃるんだ。
つる子:住んでいらっしゃるんですか?
大友さん:このプロジェクトをきっかけに、都会ではなくて田舎の方で自分で作った野菜を使って料理を出すというのをやってみたいという思いもあったそうなので。
土屋:独特で面白いと思ったのが、地元の人が改札に迎えに来てすぐにホテルまで送迎するのではなく、少し大回りをして村や町を紹介しながらホテルまで行くんですよね?
大友さん:地域の魅力を地域の人が語るという。そうするとより地域のことを知ることができ、それを通じて施設に泊まっていただくと里山の一員になれるという。普通の旅行だけではないというか、地域に入り込むみたいな形を目指しています。
土屋:町のことなどを知って宿に泊まるわけなんですけど、客室がどんな感じか説明してもらえますか?
大友さん:建築家の堀部安嗣さんという方の設計によるもので繭に包まれたような優しく落ち着いた空間というのが特徴の一つですね。それと、テラスから「奥多摩の自然」と「多摩川」がよく見えて、鳥の声や滝の音、それと「青梅線」が1時間に1~2本走っているんですけどその鉄道の走る音がたまに聞こえるという、すべての音がこの施設で聞こえるのも特徴です。
つる子:へえ!
土屋:しかも東京・新宿から1時間半くらいで来れちゃうから。いつの間にか別次元になる。
つる子:行きたい! それと、現地ではどんな遊びができますか?
大友さん:一番有名なのがリバー・アクティビティーで、カヤックやサップ、あとはトレックリングという自転車で地域を周遊したりもできます。「鳩ノ巣駅」に“電動トゥクトゥク”もあって環境に優しく地域を周遊できます。
土屋:運転免許さえあれば3人まで乗れるんですね。
つる子:トゥクトゥクは乗ったことが無い! トゥクトゥクで「多摩川」沿いを奥多摩の自然を感じながら乗れるわけですよね。乗ってみたい!
「沿線まるごとホテル」に対して鉄道好きの土屋が妄想提言!
土屋:「沿線まるごとホテル」プロジェクトは「鳩ノ巣駅」で終わりですか?
大友さん:今、「青梅線」沿線の中で5年以内に5棟から8棟くらい作って行きたいと思っています。
土屋:いろんな駅がホテルのフロントになるという?
大友さん:はい、“エレベーター”なので。「鳩ノ巣駅」が例えば“3階”としたら、“2階”の違う駅のフロントから楽しんでもらうという構想です。
つる子:なるほど。
土屋:ターゲット層は最初の段階は時間にゆとりがある40~50代というお話を伺って。先日取材で訪れた時、「中央線のグリーン車」で行ったんですよ、JREポイントを使って。
つる子:(笑)。
土屋:ここからは鉄道好きの意見、妄想だと思ってください・・・。グリーン車は「青梅駅」までしか行かないんですよ。「青梅駅」から「奥多摩駅」までは在来線なんです。ホテルのチェックインは午後3時ですよね。「鳩ノ巣駅」に午後2時半に着くのが理想だと思うんです。その時間帯だけに1車両だけグリーン車を連結して、ホテル利用者がそのままグリーン車に乗ったままだったら、よりいいかなと思って。ダイヤを見たら可能だと思うんですよね(笑)。予算とかまったく考えない、鉄道好きの勝手な意見です。本当は新宿から奥多摩まで行く便があると一番良いんですけど、それはダイヤの関係があると思うから。ひとつ、参考にして頂けたら!!
つる子:(笑)。
大友さん:わ、わかりました、、、僕がそんなに鉄道に詳しくないので、ちょっとびっくりしちゃいました(笑)。
つる子:(笑)。
土屋:在来線のロングシートの良さもあるんですけども! でもホテルに行くならボックスの前を向いたシートで行きたいな、と。・・・JREBANKからのお知らせでした(笑)。
大友さん:ありがとうございました(笑)。
土屋:最後に。仙台から来て多摩でお仕事をされている大友さんが感じる多摩の魅力を教えていだけますか?
大友さん:多摩地域は私の中ではもう一つの東京というイメージを持っておりまして。やっぱり東京と聞くと高層ビルが立ち並ぶイメージがあると思うんですけども、多摩地域は都市と自然、暮らしと観光が絶妙にマッチした地域かなというふうに思っております。なので、「奥多摩」は自然はもちろんですけど、水がすごく綺麗なので酒蔵さんがいて、酒蔵さんのお酒を飲みながら「多摩川」を眺めるというのもすごく贅沢な時間と思っています。サウナと一緒にただ「多摩川」を見つめるだけというのもいいと思います。
つる子:はい。
大友さん:それと、「JR東日本 八王子支社」とすると、東京という立地を生かして鉄道と地域が一体となって、この「沿線まるごとホテル」のモデルが日本だったり海外に羽ばたく、そんな魅力的な可能性を持っている地域かなと思っています。ぜひ、みなさんと一緒にこれからも多摩地域を盛り上げて行きたいと思っております。
土屋:多摩でこれが成功例として出来ると、他の地域でもこのパターンはあり得ますもんね。そのスタートが多摩となるわけで、絶対に成功させなきゃいけないので、「奥多摩」までグリーン車を入れた方がいいと思いますよ!
大友さん:(笑)。
土屋:本日は、「沿線まるごとホテル」について「JR東日本 八王子支社」の大友智仁さんにお話を伺いました!
大友さん:ありがとうございました。
(TBSラジオ『東京042~多摩もりあげ宣言~』より抜粋)