「オーディション参加者が全員泣いた」超話題ホラー映画の舞台裏とは?『ノスフェラトゥ』ついに日本上陸
吸血鬼映画の真打ち『ノスフェラトゥ』ついに日本上陸
『ウィッチ』や『ライトハウス』、『ノースマン 導かれし復讐者』などで知られるロバート・エガース監督の最新作『ノスフェラトゥ』が、ついに年5月16日(金)より全国公開。第97回アカデミー賞では撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門にノミネートされ、世界各国で高い評価を受けている話題作だ。
正体の見えない<彼>がじわじわと忍び寄る恐ろしさと、リアルを追求した美しさが織りなす至極の<ゴシック・ロマンスホラー>に仕上がっている本作から、「スタッフ全員の涙を誘った」という豪華キャストのオーディション秘話が到着した。
巨大セットに本物のネズミ2000匹! ド迫力の映像に世界が仰天
映画『ノスフェラトゥ』はロバート・エガース監督が幼少期に夢中になった1922年に作られたF・W・ムルナウ監督のサイレント映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』に独自の視点を入れ創り上げた渾身の新作映画だ。
撮影に必要な演出のためにキャンドルの明かりが必要となれば適したカメラレンズを使用し、スタジオには当時の建物を研究した約60ものセットを組み、本物のネズミ約2000匹を使って撮影をするなど、“本物”にこだわった本作の映像は、世界各国で高い評価を受けた。監督が本作にかける執念に近い想いが、リアルな質感としてスクリーンを通し観る者にじわじわと恐怖と共に襲ってくる。
物語は不動産業者のトーマス・ハッターが仕事のためトランシルヴァニアに住むクライアント、オルロック伯爵へ会いに行くところから始まる。トーマスの不在中、彼の新妻エレンは夫の友人宅で過ごすが、ある時から夜になると夢の中に現れる得体のしれない<彼>の幻覚と恐怖感に悩まされるように。エレンは夫の帰りを待ちながら、日を追うごとに自身の意識を越え迫る<彼>への恐怖につのらせてゆき……。
夜な夜な夢の中で、正体の分からない<彼>に怯える主人公・エレンを演じるのは、本格的なホラー映画への出演は初となるジョニー・デップの娘、リリー=ローズ・デップ。また、オルロック伯爵は、『IT/イット THE END “それ”が見えたら終わり。』のペニーワイズ役などで世界中を恐怖に陥れたビル・スカルスガルドが演じた。さらに、今作でロバート・エガース監督とは3度目のタッグとなるウィレム・デフォーがエレンを治療するフォン・フランツ医師を、エレンの夫・トーマスをニコラス・ホルト、トーマスの友人・フリードリヒをアーロン・テイラー=ジョンソンが演じるなど、豪華な俳優陣が名を連ねる。
リリー=ローズ・デップ「この役を演じるため、多くを犠牲に」
リリー=ローズ・デップは本格的なホラー作品への出演は今回が初となるが、闇に浸食される主人公をアクロバティックな動きを交えた凄まじい演技で魅せた。ロバート・エガース監督との顔合わせ時には、完璧に脚本を理解し、推薦された多くの吸血鬼、ドラキュラ映画を鑑賞していたそうで、彼女の気合の入りようにエガース監督も驚いたという。
オーディションでも完全に役になりきったリリーの演技は、その場にいたスタッフ全員の涙を誘う仕上がりで、「彼女の演技はとても力強かった。私もキャスティングディレクターもカメラマンも皆泣いていた。彼女ならこの役を力強く演じられることは明らかだった」とエガース監督は振り返っている。
リリーにとって、オーディションの場は自分の殻を破って役に没頭する機会だった。「この役を演じるためには、多くを犠牲にして肉体を超越し、悪魔のような、そして別世界にいるような存在になって自意識から解放される必要があった。私はオーディションでエガースにその覚悟を見せたかった」とリリーが語るように、並々ならぬ思いで臨んだ本作は、間違いなく自身のキャリアを塗り替える一作となった。
監督「ビル・スカルスガルドと、ずっと仕事がしたかった」
また、オルロック伯爵を演じたビル・スカルスガルドも、デップと同様にオーディションにより抜擢されたという。ご存知の通りビルは、『IT/イット THE END “それ”が見えたら終わり。』のペニーワイズ役など、すでにホラーアイコンとしての地位を確立していた。
そんなビルに「ずっと仕事がしたかった」と熱烈なラブコールを送ったというエガース監督は、「彼もリリー・ローズと同様に素晴らしい演技をしてくれた。いつもの声を変えて低音にしてくれた。加えて撮影のために長時間にも及ぶメイクアップが必要だった。しかし、彼はアメイジングな演技を披露してくれたんだよ。それ以外に、オーディションでは奥に潜む闇を模索する役づくりでもあった。オルロック伯爵をリアルに演じるのは、簡単ではなかったはずだ」と、複雑な役所に深みを与えたスカルスガルドの演技を絶賛している。
長年、自身の手で『ノスフェラトゥ』を映画化することを夢見てきたエガース監督の思いに共鳴し、集まった豪華キャストたち。本作で圧倒的存在感を放った彼らの怪演を大スクリーンで目撃しよう。
『ノスフェラトゥ』は5月16日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開